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NETFLIXを真似て学級の規則を撤廃してみた【世界一自由な会社に学ぶ学級経営】

今日は「NETFLIXを真似て学級の規則を撤廃してみた」というテーマでお話したいと思います。このテーマで書こうと思った理由は、学級経営がうまくいっていないと感じるからです。

不登校は過去最多、精神疾患による休職も過去最多で、今の学校は「先生も子どもも苦しい」状況にあります。その原因の一つが「学級経営」。先生も、子どもたちも、古く腐った教育観に縛られているように見えます。西洋文化に触れたことで幕末以後の近代化が一気に進んだように、従来とは異なる価値観に触れることで私たちの学級経営を見直し、先生も子どもも楽しい教室を増やしましょう。


1.世界一自由な会社NETFLIX

なぜ、NETFLIXを教材にしたのかというと、「従来とは180度ちがう経営手法」にも関わらず、「めちゃめちゃ成功している」からです。

従来の経営と何が違うのかというと「規則」がない。No Rules。まず、休暇規定がありません。休むタイミングも、日数も、社員がすべて自分で決めていいのです。それから、旅費・経費に関する規則はたった一つしかありません。「NETFLIXの利益を最優先に行動する」これが唯一の規則で、それ以外はないのです。ヤバくないですか。管理職の顔色を伺いながら年次休暇簿をせっせと手書きする私たちと比べると、眩しすぎてジェラシーすら感じます。

それでいて、世界的に最も成功している会社の一つでもあります。株価は上場してから350倍以上の価値を付け、世界190か国以上で事業を展開。2018年には働きたい会社世界第1位に選ばれ、社員幸福度も世界第2位です。世界中の人々を幸せにしながら社員も幸せであるという、まさに「理想郷」を体現している会社なのです。なぜ、そんなことができたのでしょうか?


2.コントロールからコンテキストへ

NETFLIXが成功した神髄は、「書いてあるとおりに社員を動かす」から「与えられた条件を解釈して動く」社員を育てようとしたところにあると、私は思います。例えば、休暇規則がなくなったことで、自分が最高のパフォーマンスを発揮できる働き方を一人ひとりが考え始めます。その結果、家族との時間を大切に毎日同じ時間働く社員もいれば、3週間モーレツに働いて1週間は人里離れた奥地を旅する社員もいるような、多様な働き方が可能になりました。

規則がない代わりに、「最高のパフォーマンスで働く」という条件を求められるのです。これをNETFLIXでは、コントロール(規則)からコンテキスト(条件)による経営と呼びます。

学級経営もコントロールからコンテキストへ転換することができれば、先生も、子どもたちもハッピーになるのではないでしょうか。規則によって教師に管理され、動かされている状況は子どもにとっては「つまらない」ですし、動かしている側もいちいち注意や目を光らせないといけない状況は「大変」です。

この転換を達成するために大切なことは2つあります。1つ目は「従来教育のすべてを疑う」ことです。学級のルールを決めること。子どもに決まりを徹底させること。子どもとルールをつくっていくこと。年配教員から教え聞かされ、全国の学級で行われている実践も、NETFLIXの成功法則に照らし合わせれば「子どもを規則どおりに動かす」ためのものかもしれないからです。

2つ目は「やめる」ことです。規則を撤廃し、条件によって子どもが動きだすように学級をつくります。合言葉は、コントロールからコンテキストへ。ここからは、私が実践してきてよかったと思うことを5つ紹介します。


3.NETFLIXを真似て学級の規則を撤廃してみた


①係の紙

 うちのクラスには「係の紙」がありません。係に限らず、まちたんけんも、行事の進行も、授業のワークシートもすべて「白紙」が渡ります。「先生、白いんですけど?」と女子が苦い顔で聞きに来ても、「白をカラフルにしていくのが人生だ」と通達します。先生の言うことや、紙に書かれた項目どおりに書き進めるのがよいという固定観念は早めにぶち抜きましょう。2学期にもなると「自分色の出し方とデザイン」が分かってきます。

②ノートの取り方

 ノートの取り方について指示をしたことはありません。トップクラスのマラソン選手でも、長い距離を走りこむタイプと短い距離でスピードを磨くタイプがいて、そこに正解はありません。「ノートは学び史上、最高の武器」と言いながら、ノートの取り方を議論したり、比べたりしてオープンに対話をします。品質の低いノートは許さないこともあって、子どもは自分史上最高品質のノートをつくりはじめます。

③文房具を使うための先生の許可

 担任をもつと必ず、「先生、使ってもいいですか?」と聞かれます。はさみやのり、テープ、画用紙など、先生の許可がないと使ってはいけないと教えられてきているのです。「使いました」の事後報告だけでいいと初任時代は言っていましたが、ここ最近は事後報告もいらないと言っています。使う前より美しく、我が国の美徳を守らないときは特大の雷が落ちます。

④学級会のやり方

 学級会もやり方を一切教えません。他の先生は学級会キットを使ってマニュアル的に進めています。そのせいか、どの学年をもっても、4月の学級会は見るに堪えないくらいひどい有り様になります。本当に堪えないので、私は教室から退散して、職員室で珈琲を飲んでいることが多いです。先生がいないと自分たちでやるしかありません。数多の喧嘩と涙をのりこえながら、6月くらいから最高の学級会がはじまります。本気になった子どもたちはすごいですよ。大人が介入しないほうがうまくいくなんて、職員会議を見れば分かるしね。

⑤授業中は席に座る

 授業中は基本、何をしてもいいことになっています。何をしてもいいと奨励しているわけではなく、何してもいいとは言わないし、何をしちゃだめとも言いません。〇〇していいですかと聞かれたら、「で、おまえはどうしたいの?」と問います。勉強の目的は「世界をハッピーにすること」なので、登り方は任せますし、子どもたちのほうが知っている気がします。たまに収拾がつかなくなってマジギレします。

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