文章作法を守る意味

崖っぷち作家のニジマルカです。

先日、仲間内で文章作法について話題になりました。

今回は「文章作法を守るとはどういうことか」という話です。


文章作法とは

ほとんどの方はご存じだと思いますが、文章作法について簡単に説明しておきます。

文章作法とは、文字どおり、文章を書くときのルールです。

たとえば、以下のようなものがありますね。

三点リーダは「…」を偶数個つかう
× 「そうなのですね・・・」「そうなのですね。。。」
○ 「そうなのですね……」

ダッシュは「―」を偶数個つかう
× その男はこんな話を始めたのである―
○ その男はこんな話を始めたのである――

?や!のあとは一字空ける
× 「え?そうなのですね!わかりました!」
○ 「え? そうなのですね! わかりました!」

改行後の行頭は一字下げる
× ある午後のことだった。
○  ある午後のことだった。

セリフで始まる場合は字下げしない
×  「なるほど! さすがです!」
○ 「なるほど! さすがです!」

数字は基本的に漢数字
× 「合計は1200円です」
○ 「合計は千二百円です」

ひとまず、これくらい知っておけば、問題ないと思います。


文章作法を守らないと

さて、文章作法は厳密なルールでもないので、破っても大丈夫です。

ですが、市場に出回っているほどんどの文章がルールに従っている以上、ルールを破るとこんな風になるかもしれません。↓

・普通の人にとって
「いつも読んでる文章とちょっと違う」という違和感が生まれる

・作法を知っている人にとって
「ルールを破るということは何か意味があるのか?」という疑問が生まれる

いずれにせよ、内容とは関係ない不要な情報を読者に与えることになります。

不要な情報とは、要するにノイズのことです。

ノイズを混ぜれば、話に集中したい読者を邪魔することになるでしょう。

それは、ほとんどの作者にとって、意図するところではないはずです。


このように、意味もなくルールを破ると、読者に負担をかけるだけになります。

ですから、ルールを破るなら、それなりの理由が必要です。

もし、ルールを破った方が読者の利益になると思うなら、ルールを破ってもいいと思います。

たとえば舞城王太郎さんは、?や!のあとに1字空けをしないことがあります。

おそらく疾走感や焦燥感を与えるためでしょう。

そういう演出上の理由があるなら、ルールを破るのもありだと思います。


読まれると思っていない

なんとなくですが、初心者の方ほど、ルールを軽んじでいるように見えることがあります。

それは、おそらく前提が違うからでしょう。

プロの人は、自分の文章が読まれるとは思っていません。

「読まれない」ことがデフォルトなのですね。

毎日何百冊も本が出て、ネットでも、SNSでも、山のようにテキストが生産されています。

そのなかで、自分の文章を読んでもらえることは、奇跡のようなものです。

市場に本を出している人は、そのことが骨身にしみています。

どれだけ時間や労力をかけても、読まれない(売れない)ことの方が多いからです。


ですから、プロの人たちは、その機会を絶対に逃したくないと考えています。

読んでもらえたなら、最後までちゃんと読んで欲しいのですね。

ですので、できる限り、文章から邪魔なノイズは取り除いておきたいと考えます。

その手段の一つが「文章作法を守る」という誰にでも簡単にできることなのです。

(もちろん校正・校閲は入りますが、もともとの文章でもルールを守っています)


ルールは変わる

さて、上で書いてきたとおり、ルールは守るのが基本です。

ですが、現在の文章作法が絶対的なものではないのも、わかっておいた方がいいです。

いまルールになっているものも、時代の中で変化してきたものでしょう。

ですから、今後もルールは変わっていくはずです。

最近では横書き文章の方が多くなってきた印象ですから、横書き用のルールが作られていくかもしれませんよね。

あるいは、現行のルールを破ったはちゃめちゃな文章が、多くの人から支持されるようになってもおかしくないです。

その場合はまたそのようにルールが変化していくのでしょう。

ルールが最初にあったわけではなく、読者の利益に適うように文章が整備されてきた結果が現在の文章作法です。

ですから、文章作法は、これからも多くの読者が望む形に変わっていくのだろうと思います。


今回のまとめ

「文章作法を守るとはどういうことか」という話でした。

1.文章作法は文章を書くときのルール
2.ルールを破ると、読者に負担を強いることになる
3.ルールを破るなら理由が必要
4.読まれないことが前提だと、ルールを守るのはあたりまえになる
5.ルールは読者のためにあるので、これからも変化していく

ルールにせよ、読みやすさへの配慮にせよ、最終的にすべては「読者のため」ということでしょうね。

それではまたくまー。



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