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小説と小説風〜小説のちょっとしたコツ
崖っぷち作家のニジマルカです。
小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。
今回は「小説と小説風」です。
小説風とは
対象を描くのが小説ですが、たまに「小説風」のものを見かけることがあります。
特に、初心者で、最初から文章が上手い人が書く作品に多いようです。
小説と小説風の違いはこうです。
小説 :対象を描く
小説風:対象を描いた小説を書く
ちょっと違いがわからないと思うので、図で説明しましょう。
小説と小説風
図にするとこんな感じです。↓
![](https://assets.st-note.com/img/1670300730972-tJj4xgYD0y.png?width=800)
対象というのは描きたいモノ、コトです。
小説はある対象を文章で描くものです。
ですから、想像の中の舞台や登場人物などをじっと見て、その有り様を文章で表現するわけです。
一方、小説風というのは、対象を描いた「小説」を書こうとしている場合に感じられる印象です。
ですから極端にいうと、上の図のように、対象と作者の間に「小説」が挟まっているイメージになります。
ちょっとわかりにくいと思いますが、小説は「対象」を描くものであり、対象を描いた「小説」を書くものではありません。
初心者の方で特に文章が上手い人は、つい「小説」を書こうとしてしまうようです。
すると、よくある紋切り型の表現や、それっぽい言い回しに始終してしまい、対象をじっと見て書くことから離れてしまいます。
ごく単純に言うと、小説っぽく書こうとするのですね。
そういった作品からは、
「小説ってこういう感じでしょう?」
「こういうレトリックを使うものでしょう?」
といった作者の思いがにじみ出ます。
それは対象ではなく、小説を書こうとした結果です。
そういう作品を読んだときの感想は「小説を書こうとしてるなあ」というものになります。
「ああ、このこと(対象)を書こうとしたんだな」とは感じられないものです。
小説を書きたいなら対象を書こう
ちょっとややこしい感覚なのですが、なんとなくわかっていただけたでしょうか。
初心者の方だけでなく、表現力が高いと自負している方は少し注意した方がいいかもしれません。
もし上手く書こうとしているなら、上手く書く必要などないのだと考え直しましょう。
想像の中の対象と向き合って、それをそのまま書けばいいだけです。
つまり、結論はこうです。
小説を書きたいなら、「小説」を書こうとしてはいけません。
対象(描きたいもの)を書きましょう。
無理に「小説ってこういう感じだよね」「こういう言い回しを使った方がいいよね」などと考えて、小説っぽくしなくていいのです。
文章が上手くなくても大丈夫です。
むしろ、下手な方が対象と直に向き合えると思います。
文章が上手い人は、その表現力に引っ張られて、対象と向き合う前に小説的技術に流れてしまいがちです。
もっと素朴に対象(描きたいもの)と向き合いましょう。
書きたいのは「小説」ではなく、その「対象」のはずです。
今回のまとめ
小説のちょっとしたコツ「小説と小説風」でした。
小説は対象を描く
小説風は対象を描いた小説を書く
表現力のある人ほど「小説」を書こうとする
無理に小説っぽくする必要はない
「小説」ではなく「対象」を書こう
ちょっと上手く伝わらなかったかもしれませんが、写真展なんかに行っても、同じような印象を受けることがあります。
たとえば対象が花なら、花を撮ろうとしているのか、写真を撮ろうとしているのかという違いですね。
写真を撮っても仕方がないです。
お客さんが見たいのは、花だからです。
それではまたくまー。
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