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田舎に暮らして、街へ飲みに行くということ

りんご農家の妻の日常や思うことなどをつづっております。

先日、久々に飲みに行きました。「田舎に暮らして飲みに行く」というのはものすごーく特別なこと。夜の街に繰り出すと新鮮な思いでいっぱい。なのでついつい書き記しておきたくなりました。

公共交通機関がなければなかなか飲みにはいけない住まい環境


農園、そして自宅のある安曇野市は公共交通機関が全く充実しておりません。JRは走っていますが、我が家は駅から自転車でおそらく30分はかかるんじゃないかな(しかも帰りは上り坂!)という場所、バスもありません。ちなみにこどもたちはスクールバスで小学校に通い、中学校は自転車通学。そういうわけでとにかくマイカー頼みの日々です。

そういうわけで、コロナ以前から必然的に「夜の街に繰り出す」ことはごくごく稀。しかも自営業。会社の飲み会なんてものも存在しない。田舎の農家や地域の消防団に属していたらそこそこ飲み会はあるのだけど、自営業の妻というか子育て中の女性が飲みに行く機会なんてほぼない。……と書きながら、これはジェンダーギャップではないかと疑問に思えてきた。まぁ気のしれたご近所さんがいれば気軽にご自宅にお邪魔できるし、夏休みには集まって庭先でBBQしたりなんてこともできるので、別に「飲みにいけないからつまらない!」なんてことは普段まったく気にならないのだけど。

つまり、「よっしゃ今日は飲みに行くぞ!」と並々ならぬ覚悟をもってしか飲みに行く機会はないのである。飲みに行くっていかに特別か……。東京サラリーマン暮らしの頃には考えもしなかった状況。

松本サマーフェスト2023

行ってみたのはビールと屋台のお祭りのような「松本サマーフェスト2023」。新聞の裏面に大きく広告が載っていてそれを知る。ちょうどシナノリップ(夏りんご)の収穫が終わって、次の日は金曜日。これは!と思って家族で行くことにする。子どもたちが生まれてから、こんなことを思い立つのはおそらく初?くらいかも……。

6時過ぎには松本の市街地に到着、その時点で帰りの時間を決定、代行を予約。(代行って予約が肝心なのだ)。このあたりですでに、自分大人の飲み方を知っている!とちょっといい気分。長く楽しめばいいというものでもなくて、適量を楽しむことができるようになるのはきっと社会人生活の積み重ねの結果。サラリーマン時代の数々の飲み会も無駄ではなかったということだ。

会場には意外にも私たちのような子連れファミリーもわりといた。赤ちゃん連れも。このあたり、時代の変化を感じてちょっと嬉しい。とりあえずまずは子どもの飲めそうなドリンクとピザを調達して子どもたちを落ち着かせる。そしてとりあえず無難そうなビールから。

ビールはグラスがデボジット制になっていて、グラスで生ビール飲めるのは心地よかった。普段飲み会慣れしていないと「生」という言葉に弱いのよね……

ほどよくほろ酔い気分になったところで、子どもたちは飽きてくるので、ピカピカ光るおもちゃを買ってみたり(これは酔ってなければ絶対買ってあげないやつ)、かき氷やらで気をひいてみたりそこそこの工夫は必要。けれど、子どもたち自体も「夜の街」が珍しすぎて、あとはこんな量の大人たちを一度に目にするのも稀なのでキョロキョロしながらそこそこ楽しんでいる様子。

イベントで飲むことの良さって……

別に生ビールにこだわらなければ自宅でも飲めるわけで、ご近所で誘い合って飲み会があることだってもちろんないわけではない。けれど、「飲みに行く」人たちはそれなりに気負って来ている。その雰囲気をみるのも好きだ。
集う人々の観察。それが楽しい。

会社帰りのサラリーマン衆、おしゃれな女性たちやカップル、奇抜な服に身を包んだ人もいるし、ひとりでほんわり飲んでいる女の子もいる。いろんなショットを絵に描きたいなぁ(絵を描くのが趣味なので。とりあえずビールの絵は描きましたよ。)と思いつつ、自由に楽しんでいいんだな!と思えるところがイベントで飲むことの醍醐味な気がする。

ちなみに、おしゃれ大好きの4歳さんも、おしゃれな人の観察に余念がなく、頭のてっぺんからネイル、靴下の柄にいたるまでよくチェックしていて「〇〇ちゃんも大きくなったらあの格好する!」とそこそこ楽しんでいる様子。ここですかさず「20歳になったら一緒にビールを飲もうね」と約束しておく。

家族で来ているのでもちろん家族内での話も楽しい。どうでもいいことから最近思うことまで、ほろ酔い気分で気持ちもおおらかになっているので、いい気分で会話も弾む。会話が弾んだ結果の結論として……。

飲みに行った結論。
そもそも小さい子連れ、田舎暮らしが、代行覚悟で飲みに行く!というのは必然なことではなくて特別に決意が必要なこと。けれど、だからしてはいけない、慣習的に無理だということは全くない。やりたい!と思えば人の目を気にせずやればいい、楽しんでいいんだ!ということ。
……一応これは、酔いが冷めてから書き記していることなのできっとそういうことなんだと思う。いつの間にか、誰に言われたわけでもないけれど「こういうもんだ」という頭が邪魔をして自分の行動を縛ってしまっているけれど、別にそんなものは存在しないのだよね。そんなことに気づけるサマーフェストでございました。



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