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マイルド反出生主義

はあ、今日も生きるのしんどっ。
仕事、行きたくないネ。

患者さんとゆっくり話せるのは夜勤中の搾乳の時間くらい。
夜にぶっ通し働くのは自分の身体とどうも合っていないと感じるが、
この時間は仕事をしていて一番好きな時間だ。

仕事、面倒だし、
朝は起きたくないし夜は寝たくないし
頑張ってとった資格の割にあんまお金ないし、
生きんのだるくない?

一人でも生活を整えるのに必死なのに
子どもを産むってどんな?

こんな物騒な世間に、先行き不安な日本に。
自分より大切な存在をつくりたくない、増やしたくない。

搾乳の時にいつも聞いちゃう。
「なんで子ども欲しいと思ったんですか?」
納得いく答えは得られたことないけど、聞いちゃう。

私、小さい頃から赤ちゃんが大好きだった。
産婦人科のガラス張りの中で
赤ちゃんが並んでいて
素敵なオルゴールが流れていて
わたしもあのガラスの中で
おむつを変えたりミルクをあげたりしてみたかった。
あのガラスの中に自由に入りたかった。

そう思って助産師になった。

自分が反出生主義について知ったのは川上未映子氏の著書、「乳と卵」「夏物語」を読んだ時だ。

反出生主義とは、その名の通り「自分は産まれてこない方がよかった(誕生の否定)と「人間は生まれない方がいいので生まない方がよい(出産の否定)」について考える、という思想である。

誕生の否定についてはさまざまな思想家や哲学者たちが思索を深め、さまざまな文学でも繰り返し描かれてきている。


私は、このような反出生主義とまでは
及んでいないと自負しているのだが
でも自分は今生きているのがなんとなく面倒で
もし生まれてこなければ何にもなかったのになと思うことはたくさんある。

何にもない世界というのを切望してしまう時が
ものすごく多い。


特に今の日本では合計特殊出生率は下がる一方で、それに伴って日本の景気も落ちる一方で。

助産師としての需要もいつまであるかわからない。

現に都内以外の助産師の求人は
「夜勤できる人しかいりません!」
ばっかりだからね。

こんな赤子大好き女でさえ、
将来が不安すぎて子ども産みたくないんだもん。

お金があればフルタイムでの仕事、
やめてるな。間違いなく。
なのにお金のために人生の半分以上の時間を使うなんてナンセンスすぎる。

せっかくいい病院に就職できた、
ここで経験できないことなんてないはずだ。
と入職した時は思っていたけど
その後まもなく寮の上から飛び降りたいくらいまで追い詰められることばかりだった。

そんなこんなで
自分の親から遠く離れた土地へ嫁入りした。

ちゃんと家のこともやりたいし
仕事もしないと生きていけない。

ごちゃごちゃ言ってないで
虎視眈々と自分の理想を追い求める。

理想の形で、生活と仕事を両立させる。


たった今は
結婚式の準備のことで
死にたいくらいに疲弊している。

何でどうせ死ぬのに
何百万円も払って何時間もかけて準備しているのかなって。

まぁいいや
どうせ明日も生きている。


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