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#41 ろう者と社会資源(医療編)

NPO法人にいまーるの理事・臼井です。
にいまーるは、障害福祉サービス事業を中心に手話普及活動も行なっている団体であり、ろう者と聴者が一緒に働く職場です。
障害福祉サービスの利用者は全員耳が聴こえません。
しかし、スタッフの比率は、ろう者2割:聴者8割と、聴者が多いので、双方の文化の違いが垣間見え、時には食い違うことも多々あります。
そんな職場から生まれ出る、聴者とろう者が共に仕事をする中での気づきを連載していきます。
今回は、ろう者にとっての「医療」について書いていきます。

先日、現役のお医者さんとお話しする機会がありました。
医療機関におけるろう者の受診の様子について、気軽に相談したくても筆談だと細かいことが聞きづらかったり、わざわざ筆談するまでもないから省いてしまったりすることがあると話をしました。

手話通訳派遣制度を使えばいいのではないかという意見もありますが、人によっては日本語でのアクセスの方が良かったり、手話通訳者に知られたくない事情があったりと一筋縄でいかないところです。
手話講師として顔が知られている以上、手話通訳を頼みたくても頼めないというような事情もあります。

また、手話通訳の使い方を知らないため、初めから選択肢に入っていないこともあります。
そんな事情を話していたら、お医者さんからホットな情報を教えていただきました。

小児科オンライン

動画はこちらから。

小児科オンラインはお子様についての質問や悩みをスマートフォンから気軽に小児科医に相談できるサービスです。
電話だけでなく、文字によるチャットやビデオ通話も可能であり、担当医によっては手話での対応も可能とのことです。

ただ、個人単位での利用はできず、企業の福利厚生、付帯サービスや自治体の住民サービスとして利用する仕組みになっています。
もしご関心のある方がいましたら、ぜひご所属企業の人事部や自治体担当者に対して導入の声を上げていただけましたらと思います。

ちなみに国内では、医療機関へのアクセスが困難なろう者を見かねた看護師さんが手話を始めたことをきっかけに手話サークルができたと言われています。また、手話のできる医師から診断してもらいたいと県外までわざわざ足を運ぶろう者もいらっしゃいます。それくらい、医療機関へのアクセスは社会参加の一つのハードルなのです。
手話で説明を受けたり、質問したりできるようになることは、大きな前進なのではないでしょうか。

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文:臼井千恵
Twitter:@chie_fukurou
Facebook:@chie.usui.58

編集:横田大輔
Twitter:@chan____dai

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