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#44 人工内耳を装用して見えてきたこと②(後編)

にいまーるは、障害福祉サービス事業を中心に手話普及活動も行なっている団体であり、ろう者と聴者が一緒に働く職場です。
障害福祉サービスの利用者は全員耳が聴こえません。
しかし、スタッフの比率は、ろう者2割:聴者8割と、聴者が多いので、双方の文化の違いが垣間見え、時には食い違うことも多々あります。
そんな職場から生まれ出る、聴者とろう者が共に仕事をする中での気づきを連載していきます。
今回は、にいまーると繋がりのあるCさん(匿名希望)から寄稿いただきました。ご自身の経験をもとに「人工内耳」について書いていただきました。
前編は、こちら
■プロフィール
Cさん(匿名希望)
生まれた時は中等度難聴。補聴器を装用して、地域の小中学校(難聴学級)に通う。13歳の時に完全失聴。手話を学び始め、高校は聾学校高等部に進学。以降、手話を中心にコミュニケーションをとる。30歳のときに人工内耳手術を受け、左耳のみ内耳を装用。現在は特別支援学校教員として勤務。

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大切なこと②

お互いに「できること」と「できないこと」を伝え合う

 人工内耳の聞こえはユーザー自身でさえ混乱してしまうのですから、それを周囲の人が自然に理解するのはなかなか難しいと思います。また聴覚障害者の聞こえがさまざまなように、ユーザーの聞こえも本当にさまざまです。
だからユーザーは

① 「どんなときによく聞こえ、どんなときに聞こえづらくて困るのか」などといった自分の聞こえの特性
② それをもとにどのように対処していけば良いのか、また周囲の人にお願いできることは何なのか

この2点を分析・整理してまとめておくことが何より大切だと私は考えています。ユーザーとして「my 取り扱い説明書」を作っておくと、さまざまな場面で大いに役に立つと思います。

私の場合は、

・静かな場所では比較的よく聞こえるので、大切な話の時は静かな場所へ移動してほしい。
・左耳に内耳を付けているので、音声で話すときは私の左側から話しかけてほしい。
・人が大勢いる場所での会話は聞き取れないので、「内容は聞こえていない」と思って接してほしい。
・音声でわからない時には筆談での対応をお願いしたい。

職場や人と関わる場面では、最初にこの4点を伝えるようにしています。

 でも、お願いしたいことは必ずしも「協力してもらえる」とは限りません。予算や時間的な問題が発生する場合もあります。なので、周囲の方も支援する側として「できること」と「できないこと」を整理して、伝えて頂けるととても嬉しいです。

 お互いが思っていることを伝え合って、新しい方法を編み出していく・・・。みんながそういう人間関係を大切にできる世の中であってほしいですね(^_^)

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文:Cさん

編集:横田大輔
Twitter:@chan____dai


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