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災害などの有事に向けた企業のリスクマネジメント

事業継続力強化計画(通称”ジギョケイ”)は、企業が災害等の有事に遭遇した際に事業への損害を最小限にとどめ、いち早く事業を復旧させることを目的に計画されるものです。

いわゆるリスクマネジメントの一種ですが、これをお読みのみなさんは、そもそもリスクマネジメントとは何かについて明確に回答できるでしょうか。一言にリスクマネジメントといっても、ただ闇雲に防災器具を購入したり無闇に計画を立てるだけでは意味がありません。

今回は防災の観点を軸に”リスクマネジメントとは何をすることなのか”を明確にしていきたいと思います。

企業経営における防災リスクマネジメントは、自然災害やテロなどの防災リスクに対して、事前に対策を講じることで損失を最小限に抑えることを目的とします。

ポイントは以下の通りです。

1. リスクアセスメント

リスクマネジメントを行う上での大前提として「リスクとは何か」を明らかにする必要があります。そこで予防や対策、計画を立てるためにも、まずはどんなことが事業を行う上でのリスクになるのかを明確にするため、リスクアセスメントを行うことは重要です。

リスクアセスメントには、大きく分けて以下の2つが含まれます。

  1. 脅威の識別・評価
    防災上のリスクとなる可能性のある脅威が何かを特定します。

    地震や水害、雪害などの自然災害から火災などの事由のある災害など、あらゆるリスクを洗い出し損害のインパクトやその確率を評価します。

    たとえば、地震は常に発生する可能性はあるものの、日常的に起こり得るものではありませんが、飲食店などで火を扱う事業の場合には火災は日常的に発生しうる脅威だと言えます。

  2. リスクの表層化
    発生確率が高く事業へ大きな損害を与えうる重要なリスクから対策を講じるために順位をつけ可視化します。

    何を危険な災害だと認識し、対処すべき優先順位とは何か。複数の災害が同時に発生した場合、どちらへの対処を優先すべきなのかを可視化しておくことでいざという際に迷うことがなくなります。

リスクアセスメントは自然災害やテロなどの防災リスクに対して、事前に対策を講じるための前提となります。そもそも脅威とは何なのか、それによって想起される事業リスクとは何なのか。それらが明確になっていなければ対策を講じることもできません。

リスクアセスメントを行うことは、災害発生時の損失を最小限に抑える上で不可欠なものだと言え、この過程を無視することは防災リスクを高くすることに他なりません。また、リスクアセスメントは定期的に見直しを行いブラッシュアップしていくことが推奨されます。

2. 予防対策

リスクアセスメントで防災上の脅威やリスクを明確にしたら、次はそれに向けた対策を講じます。

防災上のあらゆるリスクに対し、事前に対策を講じることは、実際に脅威やリスクにさらされることを想定することでもあり、想定しているといないとでは回復に大きな差があることは容易に想像できます。

  1. 緊急時対応チームの作成
    災害等の緊急事態が発生した際に対応するための組織を作成します。普段から防災的な働きをするというよりも、緊急時の指示命令機能を果たすための組織図を作成するといった方が適切かもしれません。

  2. 予防計画の作成
    リスクアセスメントで明確になったあらゆる災害が発生した際の対策を具体的な行動単位まで計画します。行動は具体的にモデルにするなど可視化することで組織内で周知しやすい形にすることが望ましく、できる限りシンプルにします。

  3. 防災設備の設置や緊急用物資の保管
    災害が発生した際に必要な設備や備品、特に緊急用の物資やシステムの整備を行います。重要な書類等が火災で燃えてしまっても大丈夫なように電子データ化しクラウド上のデータベースに保管するなど、普段の業務も効率化することも同時に可能な方法を模索することも必要です。

  4. 通信手段の確保
    地震や水害などによって事業所や事務所からの退避を余儀なくされた場合、リアルタイムに情報を収集できる手段を確保しておくことによって安否確認だけでなく、避難や防災復旧に向けた行動を取りやすくなります。

  5. 防災教育と訓練
    災害が発生した際の対応方法について会社内で教育や訓練を行います。
    当然ながら、予防対策を講じる人だけが把握しているだけでは会社組織におけるリスクマネジメントを行えているとは言えません。従業員全体に情報を共有し、認識を合わせ実際に行動できる状態になってこそ防災リスクを低減することができるのです。

以上のように、リスクアセスメントで自社にとって防災上の脅威やリスクとは何かを明確にし、そこに向けた対処できる組織と対処法の考案、さらには実践できるような訓練までを含めて防災対策だと言えます。

経済産業省が啓蒙する事業継続計画とは、上記のような有事発生に向けた最低限の対処法を計画するだけでなく、実際に行動することまでを想定して立てるもの。

会社や事業を守るだけでなく、従業員の安全を守るためにも不可欠なものだと言えますので、ぜひ自社での導入や検討をオススメいたします。

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