【早稲田・慶應日本史】覚えられる！文化史の勉強法
日本史の勉強において、文化史が苦手だという受験生は多くいます。
・文化史はの暗記がきつい...
・どうしても丸暗記になってしまう...
・固有名詞をただ覚えるだけで、つまらない...
みなさんも、一度はこんな経験があるのではないでしょうか？
そんな文化史の勉強ですが、
もっとわかりやすく、効率的に暗記ができる方法があります！
今回は、その勉強法を解説しますので、ぜひ最後までご覧ください！
必ず通史と並行しろ！
よく受験生の中には、通史と文化史の勉強をわけていて、文化史を単体で勉強しているという人がいます。しかし、この勉強法こそが文化史暗記をつらいものにしているのです。
文化史の勉強は、かならず通史と並行してやってください。
なぜかというと、文化史はその時代の社会情勢などと密接に関わっているからです。
それでは、文化史と社会情勢の関わり合いを具体例で説明します。
下の表を見てください。この表は、弘仁・貞観文化と国風文化の仏教を比較したものです。（国風文化でも、密教は隆盛していますが、今回は対比するような形で説明させていただきます。）
弘仁・貞観文化：
唐から伝わった密教が貴族たちの間で受け入れられます。密教の、加持祈祷を通して現世利益を得るという教えが、現世での幸福を求める貴族たちの欲求に応えるものだったのです。
観心寺如意輪観音像に代表される密教芸術が生み出され、その制作には一木造・翻波式の技術が使われました。
国風文化：
末法思想の広まり、平将門の乱や前九年合戦等の戦乱、などを受けて社会不安が増大し、現世での幸せに人々は絶望します。そんな背景があって、現世での幸せはあきらめて来世での極楽を祈る、浄土教が流行るのです。
浄土教は、僧たちの布教の甲斐もあり、貴族だけでなく民衆にも広まります。こうして多くの人が阿弥陀仏を信仰するようになったため、阿弥陀仏像の需要が高まります。つまり、ここで阿弥陀仏像の大量生産が必要になるわけですね。この需要に答えるべく、いくつかの木材をパーツとして別々に作成することで、1体の像を同時に多数の仏師で制作できる、すなわち、大量生産を可能にするために生まれた技術が、寄木造なのです。
さあ、今回はカンタンな例でしたが、一木造り➡寄木造と機械的な暗記をするのではなく、このような時代背景とともに暗記をすることで、点であった文化史が、線になって見えてくるのではないでしょうか。
以上より、文化史は単体でやらずに通史と並行してやることを強くお勧めします。
資料集のススメ
上記のように、通史と並行して文化史を勉強することで、文化史単体を勉強するよりも、少しは楽に覚えられるようになります。
そうはいっても、なかなか覚えられないのが文化史ですよね。ですのでここでは、さらに楽に覚えられるようになるコツを紹介します。
皆さんは資料集を日本史の勉強で使ったことがあるでしょうか？
私の経験上、使ってる受験生は少ないです。
でも実は、資料集は文化史の勉強においてとても役立つのです。
なぜか、それは豊富な写真があるからです。文化史の暗記が単調で機械的なものに感じるのは、イメージがわきにくく文字情報しかないからです。
文字情報しかない状況での暗記は、名簿を見て人の名前を暗記しているようなものです。確かにできなくはないですが、ただきつい作業です。
しかし、その名簿の人たちと何度か顔を合わせたらどうでしょう。名前からイメージがわきますし、覚えるのも格段に楽になりませんか。
文化史も、それと全く同じです。
以下の仏像たちも、絵、つまり視覚情報とともにインプットすることで、暗記スピードが格段に上がるわけです。
＜飛鳥文化で覚えなければいけない仏像彫刻＞
・飛鳥寺釈迦如来像
・法隆寺金堂釈迦三尊像
・法隆寺夢殿救世観音像
・法隆寺百済観音像
・中宮寺半跏思惟像
・広隆寺半跏思惟像
仏像に限らず、絵巻物等、文化史に出てくるものは何でもそうです！
以上より、文化史の用語は、資料集を使って覚えましょう！
眺めるだけでも構いません！
文化史にも流れがある！
最後に、文化史の勉強をする上で皆さんが忘れがちなことを伝えたいと思います。それは、文化史にも流れがあるということです。
文化史は、〇〇文化とはっきり区分けされています。そのせいで、多くの受験生が、文化が時代を経て受け継がれていることに気づきません。
具体例として、ここでは鎌倉仏教の臨済宗に着目してみましょう。
臨済宗は栄西によって創始された禅宗です。座禅を組みながら禅問答に答えていく、公案問答という方法を説いています。そして、この臨済宗は武士の気風に合っていたため、幕府から保護を受けます。
具体的には、北条時頼は臨済宗の僧の蘭渓道隆に帰依して建長寺を開いたり、北条時宗は無学祖元に帰依して円覚寺を開いたりしています。ほかにも、北条貞時は一山一寧に帰依しました。
また、栄西は源実朝に「喫茶養生記」という書物を送っています。
実はこの幕府が保護した臨済宗は、のちの室町幕府にも受け継がれているのです。
その表れが、足利尊氏が夢窓疎石に帰依して建てた天龍寺です。
臨済宗が受け継がれた例は他にもあります。義満の時代の五山・十刹の制や五山文学、そして公案問答のひとつを題材にして書かれた如拙の「瓢鮎図」もすべて臨済宗とつながりがあるのです。
このように文化史は時代ごとに分断されているのではなく、流れやつながりがあるのです。このことを意識すれば、文化史の学習ももっと楽しくなるし、覚えやすくなると思います。
まとめ
今回は文化史の勉強法を紹介してきました。
文化史学習はやはり覚えなくては始まらないという側面もあります。
しかし、もっとラクに、有機的に、楽しく覚えられるということを、少しでも覚えていっていただければと思います。
ぜひ、明日から実践してみてください！
きっと、文化史の見え方が変わるとことでしょう。
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