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#54 「日進月歩」を楽しむという生き方【管理栄養士・石村敦志さん・日本】2/2

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https://stand.fm/episodes/65fecc9b43ecb080aa4ef6bf

みなさん、こんにちは。『うれしい たのしい 日本語 さいちゃんねる』日本語教師の さいとう あきひと です。この番組は日本語を勉強している人と日本に関わるすべての人にお送りしています。

はい。今日のゲストも前回の前半でゲストに来てくれました、私の 友達で管理栄養士(かんりえいようし)さんの 石村(いしむら)敦志(あつし)さんです。よろしくお願いします。
お願いします。
はい。前半のほうではお仕事の話、ありがとうございました。
いいえ。
はい。管理栄養士さんって なんとなくわかってるけど、「で、なんだろう?」って思う人も、けっこう多いと思うので、はっきりわかりやすく教えてくれて、すごいよかったです。はい。あと、ミャンマーから来られた4人の方のうちの2人が、あっちゃんが 今働いているところで一緒に働いているっていうことも教えて いただきましたので、もしね、前半まだ聞いていないっていう方が いらっしゃったら、そちらもまず聞いてみてください。はい。で、後半から もし聞いてくれている人はいきなり私が「あっちゃん」って呼んでる から、びっくりしたかもしれないんですけど、石村敦史(いしむらあつし)さんは私の 同じふるさとのお友達なので、いつもどおり「あっちゃん」って呼んでます。 後半のほうもよろしくお願いします。
お願いします。
はい。

今、前半のほうでもちょっと 教えてもらったんですが、管理栄養士(かんりえいようし)さんなので、ご飯を食べる人の体 のことを考えて、栄養のバランスも考えて、お食事が作れるように してくれているっていう、そういうお仕事をしています。
はい。
で、あの、後半 のほうではそのミャンマーの方と働いて一緒に働いてて気がついた こととか、そういうのを聞いてみたいなと思ってるんですけど、まず、どうしよう かな。じゃ、そのミャンマーから来られた方2人ですよね。直接一緒に 働いているのは。とか、あとそのもう2人は介護福祉の方で働いている 方がいらっしゃって、時々その4人の人とあっちゃんが話をする っていうことも前半で聞いたんですけど、じゃ、まず、「これちょっと大変 かな」とか日本語の面でもいいし生活の面でもいいんですけど、ちょっと 大変に感じてるのかなとか、日本人だとこういうことはなかったかな とか、そういうのありますか?
うーんと、仕事がご飯作る仕事なので、その日本の料理の味付けが、なんかこう、わからないから、調味料も初めて 聞くのもあるし…
なるほど。
そう、切り方とかもちょっと違ってたりとか するから、そこら辺をどういうふうに「日本食ってこうなんだよ」っていう のを伝えていったらいいのかなっていうのは。
えー、大変。そういうことから なんですね。
そう。一応「献立(こんだて)」に、「こんだて」って、その 日の食事のメニューっていうか、その名前とそれぞれの食材、この「お浸(ひた)し」、「なんとかの「おひたし」だったら、おひたしの材料、えーと、白菜(はくさい)・にんじん・酢(す)とか砂糖とか、なんかいろいろ調味料書いてたりとかっていうのがあって、それが1人分のグラム、僕が書いてるんです。だから「白菜は60グラム使いますよ」とか。それで、その全部調味料も書いてるから、その通り作ったらいいんだ けど、ちょっとなんかこう塩梅(あんばい)っていうか、あるから、そこを調整するのに、どれを足したらいいのかなとか、全体のバランス、この味のバランスが 何を足したら、その出したいものに近づくかっていうのは、けっこう難しいところ。

そうか。そういうのはじゃ、どうするんですか?ずっと一緒に横にいて教えるの?
初めは僕が作ってるところを一緒に見てもらって「こうやって作るよ」って 言って、次からはミャンマーの方に作ってもらって、「これはこうやって するんだよ」って言いながらして、そう言ってやってるうちに、献立(こんだて)の横に全部僕が作り方を書いて、それで「ちょっと一回やってみて」って言って横で見るようにしてて。一回失敗したのは、塩が1人5グラムで、50グラム ぐらいしか要らなかったんだけど、ケタを間違えて500グラム入れて、 めちゃくちゃしょっぱいものができて、それを知らなくて、食べた時に「え?めちゃくちゃ辛いよ」って言って、言ったんだけど、その子たちは「おいしいです」って言うから、やっぱりちゃんとした、なんていうの、完成形を知らないとこうなる のかなっていうところはあった。
ああ、そうかそうか。
こういうしょっぱいものがおいしいから、ちょっと食べるにはいいんだけど、やっぱりね、小鉢(こばち)としていっぱい食べる には漬物(つけもの)が山盛りになってる感じの料理になっちゃったから、ちょっと 失敗しちゃいました。
へえ、なるほど。日本人だったら、そこで 絶対気づくじゃないですか。「なんかゼロ多くない?みたいな。そうか、そして食べたところで結果的にその日本食の味っていうのはまだあまり知らなかったりする から、「あ、こういう料理なんだ」みたいな。
そうそうそうそう。
あ、そうか。特に僕が教えてる学生とか でも、やっぱり日本食って、なんていうのかな、やさしい味付けのものが多かったりとか、外国の食事みたいにはっきりした味っていうのがなかったりするから、来たばかりの学生は薄いですとか、とても甘いですとかね、言ったりするけど、そういう感覚でもあるのかな。
そうそう。味噌汁(みそしる)とかも、なんかこう、 薄くもなく濃くもなくっていう、このちょうどいいラインっていう のが、けっこう難しくって、なんか僕はちょっと薄めに感じるかなぐらい の味、味付けにしてるんですけど、「私には薄いです」って言って。
「私には」。あ、なるほど。私基準でいきます、みたいな。へえ、あ、そっか。ま、面白いけど、聞いてると。
そう、おもしろい。
でも大切なことだから、そこはこう覚えていただいてっていう感じ。でも、あっちゃんがそういうのを楽しめる人でしょう?きっと。
そうそう、楽しんでます。
「なんでゼロを増やしてこんな料理 作ったんだ」じゃなくて。
そう、「えーっ?」て、だからもうみんなで ザワザワして、どうするどうする?って言って、一回ちょっと水に浸(ひた)してみて塩抜きみたいな、したりとかして。
へえ、あ、そうですか。ま、でもね、そういう失敗もあってお互いに気づくところは…
しょうがない。
…いろいろあるから。あ、そうか、なるほど。 それはやっぱり日本語学校とかでは、ない事例ですね。料理は作らない から。
そうそう。
えー、面白い。
なんか辛いものが好きみたいですね。
辛いの?あーやっぱり。
そうそう。
ミャンマーって辛い味付けが多い のかな?ミャンマー料理って。
なんかお弁当とか持って来てるの見てると、なんかキムチみたいなものがよく入ってます。

そうか。なんか、そういう味付けの 仕方とか、日本料理ってこういう味付けが多いんですよっていう のは働く前に勉強したりとかはなかったってことかな?
なかったと思う。なんかその食材 の名前とか、使う調理器具の名前、「これボールって言います」とか、「これ お玉(たま)って言います」みたいなのは、こちらが写真撮って全部名前付けて送ったんですけど、 料理の仕方(しかた)とか、その味付けに関しては全く何もしてなかった。
そうか。その今来てる人、ミャンマー の人たちは、あっちゃんのところに来る前は、どこかで日本語とかも 含めて、ちょっと勉強してたんですよね、きっと。
そうですね。なんかその学校、向こうの学校にいたんだと思うんですけど。
で、そこで研修じゃないけど、日本語 の、日本語教育みたいなのをやってきたってことですよね。
そう。
えー、そうなんですね。じゃ、なんか その、やっぱり、その料理を作るっていう 仕事で来るから、ちょっと そういうのもやってもらっといたほうがいいね。やってくれたら、ありが たいね。「日本料理を作ってみようのコーナー」みたいな。
そうそうそうそうそう。調味料はない かもしれないけど。
なんか「和食をちょっと食べてみる コーナー」とか。そういう授業をやってみてくれたらいいかもしれない。あ、そうですか。

じゃ、この間 ちょっとお話を聞いたときに、そのミャンマーの方ってすごい勉強熱心 で、ものすごく頑張ってやってくれてるって聞いたことがあります けど、じゃ、「これはこの人たちならではだな」みたいなのあります?いい ところっていうか。
あー、なんかその日本人だったら、 こう、仕事のやり方とかをこう教えても、なかなかやっぱ覚えられなかったりとかするんですけど、なんかそのミャンマーから来た方たちってすごく 仕事に対してあの熱心にしてくれてて、その前の日に言ったことは次の 日ちゃんと勉強っていうか復習して来てくれるんです。だから、なんか 昨日言ったことはその次の日はできるようになってて、だからなんかその積み重ねで毎日毎日こう、たくさんのことを覚えていくから、なんていう、一人前(いちにんまえ)になるスピードが速い。
あー、じゃ、もう1回こう習ったことは 次はちゃんとやるっていう感じ。
そうそうそう。
えー、じゃ、自分でもこう仕事の後に 勉強したりしてるんですよね。
なんかいっぱいメモったりとかしてね、あの、やってくれてます。
えー、そうですか。覚えるのが すごい早いって言ってたから。普通だったら、なんかどのくらい?1か月とか かかる?
普通だったら、たぶん、彼女たちが今 一人でやりだすのに2週間とかで、ちょっともうだいぶ目を離してても、できるようになったんですけど、ここまで日本人がいくには、2か月とか ぐらいかかるかも。
えー、すごい。
そう。
本当に勉強熱心で、じゃ、努力して くださってる。まあ、ありがたいですね。
本当にありがたいです。

その方たちは、どのくらい一緒に 働くんですか?予定なんですか。
3年間っていうふうに決まってます。
じゃ、3年経(た)つと、一度帰る。
一度帰るんだと思う。
へえ。その辺の将来の話とかも聞いたりするんですか?「どうするの?」みたいな。
なんかその、うちの施設(しせつ)に来るときに面接を 受けてて、将来何やりたいですかっていうことを聞いてて、日本に来てその後何やりたいですかとかっていう話をしたときに、国に帰ってお店 開きたいとかっていうふうに言っていました。
料理の?
料理の。どういうお店かとかはまだ聞いてないんですけど、 料理やっぱ好きだからお店やりたいって。

へえ、そうですか。なんかちょっと心が温かくなるお話です。やっぱりそのニュースになるのって、あんまりいいことはニュースになりにくい から、こういう外国の人が一緒に働いててこういう問題が起きたとか、日本語学校とかもそうだけど、そういうののほうが実は少ないんだけどなって、いつも思うけど。
そう。なんかその、仲介業者(ちゅうかいぎょうしゃ)の方とかと話してたら、 やっぱり、行ったとこの施設で、やっぱり みんなその一生懸命働く姿(すがた)を見て日本人も影響されるって言ってて、うちもそうだなっていうふうに思って。みんななんかこう一生懸命やってくれてる から優しくできるし、そのなんていうだろう、日本人ばっかりでなんかこう、ギスギス するような職場もあると思うんだけど、彼女たちが来てくれて一生懸命働いてる のを見て、学校をもっとなんかこう教えてあげたいなとか、そういう気持ちがこう みんな芽生(めば)えてる気がする。
なるほど、あ、そうか。そういう、なんかこう、人が不足してるから手伝ってくれて、こうありがたいっていうのだけじゃなくて、 そういう働く人のメンタルっていうか。
そう。
精神的な、心理的な面でもいいことがね。

で、なんかあの、もともと、なんかこう全然、外国人と話をしたりとか、あの、どういうふうに伝えたらいいか?とかっていうのが全くわからないまんま受ける、受け入れるっていうか、まず実際来たら全然違ったらどうしようっていうのもあって、なんかこう仕事の 流れを全部写真に撮って、全部こう、なんていうの、1日の流れを説明できるようにしたんですよ
へえ。あっちゃんが作ったの?
僕が全部作って。 僕が仕事しながら全部写真を撮り続けて、それに対して、こうやってやりますよとかいう説明書きを して、1日のこう、流れのマニュアルみたいなを作ったですね。だから、それがあったら、なんかそのミャンマーの子たちだけじゃだけじゃなくて、日本人で新しく来た子たちも、その写真とか説明を見ながらできるから。
なるほど。
作ってよかったです。
一石二鳥(いっせきにちょう)なんだ。
そう。
へえ。すごいですね、石村敦志(いしむらあつし)さん。なんかあの、日本語学校にも一人欲しいですけど。そう、まあ、ね、そういうのやるって大変なので、いろいろ時間もかかるし。だと思うけど。本当に。そうか、やっぱりなんか、こうやってお 話を聞いていると、技術とかも、もちろん大切だけど、要は人と人だから、そのなんかね、心の持ち様(よう)って大切だなって、すごく思いますね。はい。いい話。ありがとうございます。
いいえ。

で、あの、後半のほうで、こちら皆さんに伺(うかが)っている質問ですが、えーと、一つ好きな日本語とか、なんか、はい、気に入(い)っている日本語を教えていただきたいんですが、お願いします。
えーと『日進月歩(にっしんげっぽ)』っていう四字熟語(よじじゅくご)があるんですけど。
漢字4つで書けますが、漢字を 教えていただけますか。
日本の「日」に、「進む」。
「進む」。
「げっぽ」の「げつ」はあの、お月様の「月」に、「あるく」の「歩」。
『日進月歩』。
そう、日進月歩。
これはどういう意味でしょうか。
これは「日に日に絶(た)えず進歩(しんぽ)すること」って言って、「毎日毎日少しずつ前進(ぜんしん)していく」っていうようなことなんですけど、なんか あきひと君の時には、中学の時に「立志式(りっししき)」ってあった?
ありました。立志式。あの、15歳になった人がやる。20歳は成人式で、15歳になったら立志式。
そう。
ありましたよ。
立志式で、その、大人になる準備をするっていう、その、儀式(ぎしき)なんですけど、 その時になんか自分が、なんかこう「将来どういうふうな人間になりたいか」っていうのを 考えながら四字熟語をみんな選ぶんです。
それは、あっちゃんの学校がってこと?
うちの学校だけかもしれない。
へえ。
なんかそれをその時に僕はこの言葉を選んで。
おお。
そう、だから15歳の時からずっとこの言葉を持って生きてます。
15歳からこの言葉が胸にあるってこと?
そう、そう。
じゃ、もう何十年ですか。
何十年。
30年近くあるっていう。
そう、ある。
あ、そうですか。じゃ、今も毎日この言葉を、こう、胸の中に置いて生きているということ?
生きている。
「日進月歩」ね。まあそう、そうですね。なんか忘れがちだけど、これはでも基本的に大切なことかもしれない。
そう。
うん。言われると「そうだな」って思うけど、忘れてないか?って今、自分で自分に聞きました。そうか。「日進月歩」いいですね。はい。うん、あっちゃんらしいかなと思った。ちゃんとやっていく。
そう、ちょっとずつ。
一日一日。
一日一日、ちょっとずつ進んでいく。
まあ、ね、何十年先の未来も今の積(つ)み重(かさ)ねだから。
そう。
今がないと、何十年先ないから。
誰もが、いきなり急にはできないんですよね。だから毎日毎日、自分ができることを続けていって、何かチャンスがある時はそういう人、そういう人を選ぶと思っているから、選ばれるために毎日ちょっとずつ頑張るっていうのを心がけています。
なるほど。チャンスをつかむためには…
そうです。
一日一日やっていくことが大切。
そう。
ね、ありがたい言葉です。先生!って感じ。
先生じゃない。
石村先生、ありがとうございます。そうか。はい、ありがとうございます。じゃ、あの、後半のほうではミャンマーの方たちと働いて、具体的にどうかっていうのをね、はい、詳しく教えていただきました。はい、ありがとうございます。

はい、ではあの、今、私とあっちゃんが話した日本語で話している言葉を「note」というウェブサイトに文字で書いていますので、日本語を勉強している人はぜひそちらも見ながら、また聞いてみてください。そして私のインスタグラムではこの番組の紹介をしていますので、そちらもぜひ見てみてください。
はい、それでは前半と後半、石村敦志(いしむらあつし)先生、あっちゃんさん、ありがとうございました。じゃ、皆さんに うれしい・たのしいことがたくさんありますように心から願っています。また聞いてください。はい、じゃ、皆さんもありがとうございました。
ありがとうございました。
はい、さようなら。

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