本当にあった怖い話~ベトナム編~
『夜道は、決して前を向いて歩いてはならない』
それは、PCR検査の結果を受け取りに行くときのことでした。
早朝に検査を受けて、その日の19時以降に受け取れるということで、人の少ない夜の時間に家を出たのです。
普段はバイクや車通りが激しい道。
しかし、ロックダウンで不要な外出禁止という状況もあり、夜20時になると、バイクも車も数台になります。
ハノイの中でも主要な道路といってもよい道が、この静けさ。
虫の声は何とも風情があるものの、いつもは賑やかな道沿いのお店は閉まり、街灯の光だけでぼうっと照らされた長い道が不気味さを増します。
はやく受け取って家に帰りたいという思いから、自然と足早に。
そんなときでした。
「ひっっ」
見てしまったのです。
歩道のあちこちにたたずむ黒い物体を。
私はあまりの恐怖に震え上がりました。
太陽の日差しが眩しい日中は、排水溝でひっそりと。
涼しくなった夜に活動を始めるのです。
必死に目を凝らし、先を急ぎます。
冷汗をかきながら、ようやくアパートの前まできたときにはぐったり。
その日は、その光景が脳裏に焼き付いて寝られませんでした。
『夜道は、決して前を向いて歩いてはならない』
余談ですが、ベトナムにも足がない幽霊がいるらしいです。
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