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『Letter』解説

 今回は #HashtagAnimationFes2022 で参加した新作アニメ『Letter』について解説します。

①テーマ決め・シナリオについて

 9月半ばにFRENZ2022を終え、次の制作は#HashtagAnimationFes2022 に向けて始めました。今回は去年参加したアニメ作品『coffee break』と同じ系統の日常系手描きアニメにしました。

去年は休憩時にインスタントコーヒーを準備する話でした。今年は手紙を書いて、誰かに送るシンプルな話にしました。スケッチブックで簡略的なシナリオを描きました。

スケッチブックから簡略化したシナリオ
シーン毎の尺決め

募集要項に再生時間が最低15秒以上と記載しているので、20秒程のショートアニメに設定しました。テンポ良くシーン毎の尺を考えました。

②撮影

 今までは三脚をメインとした撮影がほとんどでした。しかし、本作は三脚以外での撮影も行いました。それはカメラ視点を移動するシーンを入れました。以前、公開した『breakfast』や『coffee break』はカメラ視点が固定のまま進んでいきますが、本作はポストやドアの郵便入れが接近するシーンとカメラ移動する場面を入れました。
 今回、撮影する際に使った機材はAmazonで購入したネックマウントです。

首かけタイプを使用する事でカメラ移動が可能となりました。苦労した点というと視点合わせでした。目で確認することが難しいので、数回撮影して画面構成などに上手くはまっているのかチェックしました。

③作画・編集作業

 スマホで撮影した映像は数百枚近くの画像に変換して、Photoshopで作画しました。今回は1秒に対して15枚作画しました。配色はモノクロに統一しました。背景は塗らず、実物のみ描きました。実物も髪や衣類、ポスト、手紙以外は塗りませんでした。今回の作画枚数は200枚近い描きました。

 作画した素材はAfterEffectsで編集作業をしました。今までは作画した素材をエフェクトの『色かぶり補正』で色を変えていました。しかし、今回は紙の質感や雰囲気をより強調させるために描画モードを活用しました。描画モードに関して知りたい方はこちらのサイトで詳しく解説しています。

こちらの動画も参考にしていました。

Adobe stockから紙質のあるテクスチャ素材を集め、いくつかモードパターンを設定を試みました。透過度やカラー補正などをして微調整した結果、雰囲気にあった描画モードができました。

人物・線画に対してモード『差』を使いました
手紙を書くシーンは描いている箇所だけ素材を『比較(暗)』

実物・線画に対して『』に設定しました。他のモードよりも色の変化や雰囲気が1番しっくりしました。紙を書くシーンや紙を三つ折りするシーンは描いているように見せるため、別のテクスチャ素材から『比較(暗)』にしてマスクで切り抜いて配置を自然に見せるようにしました。

背景は『ハードライト』、実物・線画は『比較(暗)』

背景はテクスチャ素材から『ハードライト』にし、コンポジションでまとめた実物・線画のレイヤーは『比較(暗)』ではっきり見せるようにしました。
調整レイヤーからブラー、カラー補正(カラートーン、輝度&コントラストなど)で微調節をして一つ映像作品が完成しました。

④効果音による演出効果

 今回は効果音にも工夫をしました。今回はAudio stockから室内・屋外の環境音に加えて、封筒をポストに入れたときの効果音を入れました。今までは一つの環境音のみにしましたが、ポストのしーんからタイトルへの展開にメリハリ感を出させるために追加しました。最初は文字を書く効果音や紙を折る効果音がありましたが、映像との同期が合わず、不自然になったので不採用になりました。室内&屋外との効果音の切り替えるタイミングを微調節したことでストーリーの流れが途切れることなく、自然に見せるようになりました。

⑤ようやく完成

 このような作業工程となり完成しました!

⑥余談

 今回Twitterで公開する際、ハッシュタグの『 #Hash_Anime22 』以外にもいくつかハッシュタグを入れましたが、本作に『 #poetrymovie 』を入れました。Poetry Movie (ポエトリームービー)とは菱川勢一さんが立案した映像用語です。以前FRENZ2022で出展した『Gallery』はポエトリームービーとして制作しました。

本作は誰に手紙を送ろうかと言うシーンはなく想像させるようにしました。環境音、封筒をポストに入れる音と身近な音から日常生活を想像させるようにしました。一度制作したポエトリームービーを終わらせたくなかったので、皆さんにまた知ってもらいたいと思い、今回『 #poetrymovie 』のハッシュタグを付け加えました。


解説は以上となります。最後まで解説を読んでくださりありがとうございます!
現在、 #HashtagAnimationFes2022 は開催しています。来月の14日まで行っています。インディーズアニメを作っている方は是非公式サイトをご覧になってください!インディーズアニメ界を大いに盛り上げましょう!


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