【読書レビュー①】米澤穂信「可燃物」
こんばんは。PisMaです。
少し本を読みましたので、レビューしていこうと思います。
今回読むのは文藝春秋の米澤穂信「可燃物」。
ミステリですので、以下内容ネタバレにご注意下さい。内容が細かい部分が合っていない可能性もございますので、悪しからず。
では、一章「崖の下」より。
物語の冒頭は、スキー場での殺人事件から始まります。
崖の下に落ちた一人の重体・水野と、遺体となっていた後東。この事件を担当する葛警部がこの物語の主人公のようです。
重体ながらもまだ息のある水野は救急搬送され、意識は戻らない数日が続きます。水野の右腕は、開放骨折(骨が折れて皮膚の外側に出ている状態かな)を起こしておりかなり深刻な状態なよう。事情聴取出来ない状態が続くため、警察は取り調べよりも推理にて犯人に探すことに。
死亡した後東の状態は凄まじく、全身にひどい怪我を負っていました。致命傷は首からの失血ではないかと疑われています。首から夥しい出血を起こしていたのです。
また解剖の結果から三角錐に近い、鋭く尖ったものが凶器だろうとのこと。
十中八九水野の犯行だろうと考えますが、凶器が見つからないことから水野を捕まえる決定打を見つけられずにいました。私は氷柱で刺したのかなーと思っていたのですが、崖の下に氷柱ができる空間は無いようで。
雪山の崖の下で、鋭く尖った物を用意する。
当時身につけていた衣類や道具ではどう足掻いてもこの犯行に至ることができないため、捜査は難航していました。
葛警部が虱潰しにさまざまな可能性を考えるなかで、ついに水野の意識が戻ります。千載一遇のタイミングで、葛警部は尋問に向かい、そして一言だけ、まるで確認作業のような尋問をします。
「骨で刺しましたか」
聞いた水野は、もともと閉じていた目を開き、絞り出すように答えます。
「…違います、刺してはいない」
「刺さったんだ」
この文量だけで必要な情報が全て入っていて驚きました。水野の「刺さったんだ」とは事実なのか、それともまた別の意味なのか。
水野の母親は後東の車のせいで事故を起こされている背景もあり、水野からのある種の復讐だったのかもしれない。
このあと水野は死亡してしまうため、真相は闇の中ですが…色々想像してしまう最後になっていて興味深いなと感じます。
水野は後東は中学時代から全く逆らえない力関係があり、これでなんの恨みも抱いていない方が珍しいと思うので、どんな思いのこもった復讐だったのかと想いを馳せました。
今回はここまで。
また別の章が読めたら更新します。
お相手は黄緑の魔女PisMaでした。
真っ白な雪と骨が染まる頃に。
おやすみなさい。
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