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王さまの本棚 2冊目

『カラー新版指輪物語』

全三巻/J.R.R.トールキン作/瀬田貞二・田中明子訳/アラン・リー絵/評論社

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本棚での位置はココ。
窓際の柳井金魚提灯が映り込んでいます。柳井にご縁があるわけではなく、「踊る金魚展」に行った時のセルフみやげです。かわいいねえ……。

さて、指輪物語にはわたしが知る限り、以下のバージョンがあります。

【旧訳】(瀬田貞二訳)
◎ハードカバー全6巻(表紙・挿絵:寺島龍一)
◎文庫全6巻
(表紙:バクシ版アニメーション映画ポスター
 (母によるとカバーはさらに古い版もあるらしい)、
 挿絵:寺島龍一)
【新訳】(瀬田貞二・田中明子訳)
◎ハードカバー全7巻
(表紙:古い版は寺島龍一、新しい版はアラン・リー、挿絵:寺島龍一)
◎文庫全10巻(表紙:アラン・リー、挿絵:寺島龍一)
◎愛蔵版全3巻(函・オールカラー挿絵:アラン・リー)

うち、こし庵(我が家)が所蔵しているのは、

【旧訳】(瀬田貞二訳)
◎ハードカバー全6巻
◎バクシ版表紙文庫全6巻
【新訳】(瀬田貞二・田中明子訳)
◎文庫全10巻
◎愛蔵版全3巻

……多い。わたしは人類なので、目はふたつ、脳はひとつしかない。あと、実家に古い方の新訳ハードカバー版全7巻(寺島龍一絵)があったはず。(追い打ち)

そのうちこのツイートで話題にしているのは、カラー新版(愛蔵版)全3巻(函・オールカラー挿絵:アラン・リー)という贅沢品。湯婆婆にめっちゃ叱られそうなやつ。
2000年中学二年生のころ、お年玉を握りしめ、人生初の大人買いを経験しました。最初に地元の本屋Aで第1巻『旅の仲間』を買い、次に第2巻『二つの塔』、第3巻『王の帰還』を地元の本屋Bに注文したのですが、本屋が3冊組で発注したらしく、函入りのものが入荷され、余った函をどうしよう、というところで、
『函も要りませんか?』
と、タダでくれたのでした……ありがたや。一瞬でBが推し本屋になりました。ああ町の本屋で働きたい!

まず、函がめっちゃきれい。これはボール紙でできているのですが、挿絵チョイスが神がかっている。いまはもう基本的に、気軽に手に取れる文庫版を読むことが多くて、これは本棚の飾りになっているのですが、時々でお気に入りの絵の面を表に向けています。第1部のギルドールとの宿りのシーンであることが多いです。ルシアン・ティヌヴィエルの絵も好きです。

つぎに、装丁がきれい。1部が分冊されていないので、3冊ともとても分厚いのですが、一冊一冊が入っている箱も美しくかつ丈夫。
そして肝心の本そのもの、これがまた、パラフィン紙に包まれていて、毎晩これを丁寧にめくるところからわたしの読書は始まっていました。

そう、指輪物語を始めて読んでいるとき、わたしの生活態度は規則正しさでいうと優等生そのものでした。(成績は普通でした。)
学校の宿題を宵のうちに終わらせ、風呂に入って身を清め、12時に布団に入って1時間だけ読む。その1時間がとても神聖で、想像にすぎませんが、まるでクリスチャンが聖書を読んでいるときのように厳かで、儀式めいていました。
本編を読み終えたときには長い間すすり泣きましたが、それは幸福の、あまやかな涙でした。

もうこの宝物のような本で指輪物語を読むことはないかもしれませんが、一生大事に持っておきたい本です。



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