旅したり、根を張ったりしながら暮らすこと
「旅をするように暮らす」、「暮らすように旅をする」。こういうフレーズに憧れ続けて、もうずいぶんになります。 自分に向いていないかもしれない、と、うすうすは気づきつつ。
だって、ドロシーの言うとおり、わたしにとっては「おうちがいちばん」なんですもの。
上記のフレーズを実践している友だちがいます。実際に旅をしていたり、旅をするなら、現地の暮らしをなぞるように滞在してみたり。魅力あふれる人たちで、わたしは、もしかしたら、旅に憧れるという蓑を被って、彼女たちに憧れているのかもしれません。
でも。メンタルの持病のせいで引きこもっているだけとは言えないくらい、わたしはおうちがだいすきなんです。
そりゃあ、たまには旅にも出たりします。先だっては携帯電話の電波のほぼない秘湯に行ってきたりもしました。それはそれで、とっても楽しい。
更に言うと実家が遠方で、帰るとなったらそれこそ旅で、大騒動。日数はどうするのか、交通機関の切符の手配は誰がするのか、実家では何が借りられて、何を持って行けばいいのか、何か買い足すものはないか、そしてその実家もわたしが住んでいた頃からは移転しているので、自室など影も形もないし、どうにもそわそわしてお客さん気分が抜けないいうか、寂しいけれど、「家」ではない。
わたしの家は、東京都ぽんぽこ村こし庵なんだなあと、こし庵に帰るたびに思っています。
家にいても、少し海外を感じることは好き。海外食材屋のカルディが大好きで、この間用事があって行った中華街もすごく楽しかった。今のブームは、このと悟空茶房でたんまり買ったプーアール茶、中国茶にサンザシを合わせるとうまいというので、今日カルディで買ってきました。ふむ、中国の人はこんな感じのお茶の時間を過ごすのね、と思いながら、サンザシを齧り、お茶を飲んでいます。今。すごく今。
日本の、この町にいて、少し海外を感じながら暮らすこと。これってわたしにとって、ちょうどいいのかもしれない。
和食も好き。和食を真面目に作ること、これも嫌いじゃない。ただ、ビーフシチューをハウスのルーに頼らず、フランス製の鋳物の鍋で煮込んで作ること。専門のウェブサイトで購入したスパイスを駆使して本格的なインドカレーを作ること。休みの日はいつもより手をかけて、燕三条のホットサンドメーカーで作ったハムとチーズのホットサンドを食べること。これは和洋ミックスか。まあ、こういうことの方に、より惹かれるのです。
わたしが自分の料理にいまいち自信を持てないでいるのは、和食が雑にしか作れない、丁寧に作ることにあまり魅力を感じることができないからかもしれません。
わたしの料理の腕前はさておき。
そして、『オズの魔法使い』になぞらえてまで、おうちがいちばんと言っておきながら。
「旅をするように暮らす」なら、時々は実践できていやしないかい?
だって、海外在住の友だちに感化されて、去年靴下編みを始めました。海外文学が好きな友だちに感化されて、この夏読み始めたのはフランスの本。先日作った料理は。いま飲んでいるのは、食べているのは。
そんな、海外にかぶれた我が家でも……わたしでも、いいじゃない……そうね、まあまあ、けっこうだわね。
つらつら考えながら書いてきましたが、地面に根を張って、ここで生きながら、少しだけ海外の風を感じて暮らしていく。どうやらそういう暮らしが、わたしは好きみたいです。
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