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【ニュース】新型コロナウイルス海外での影響(9) ~前例のない影響を受ける米国の消費財市場に迫る~

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、世界各国で社会経済の混乱が続き、比較的安定していると言える消費財業界も未知の領域で動くことを余儀なくされています。生命にかかわる懸念が拡大し、米国全体および各地域で移動制限措置が敷かれる中、史上最大かつ最速と言えるレベルで購買行動の変化が巻き起こっているからです。

オンラインショッピングは、テクノロジー、インフラストラクチャー、購買体験の向上、そして配送期間や配送コストといった障壁の減少により、特に過去2年間、持続的に成長を続けています。こうした要因により消費行動は段階的に変化してきましたが、新型コロナウイルス感染拡大によって、米国の消費者の購買方法には新たな次元の変化が起こっていると言えます。

2020年3月21日までの2週間で、米国の消費財の総売上高(オフラインとオンライン両方を含む)は、前2週間と比べ85億ドル増加しました。これは通常の2週間平均の15倍となります。この購買行動は、「強制的制約」のフェーズで起こるだろうと予測されていたものです。

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こうした状況であっても、すべてのカテゴリで同じような売上の急上昇が見られたわけではありません。例えば、米国全土でレストランやバーがしばらく閉店していることから、家庭での食事が増え、消費者が食料品店でより多くの食品を購入するようになったのは自然な成り行きです。ただし、トイレットペーパー(29%減)など、直近で売上が減少したカテゴリでは、店頭での品切れが売り上げ減少の要因になったのか、もしく短期的なニーズによる一時的な山場を超えたためなのか定かではありません。いずれにせよ、全体として店頭での消耗品の週ごとの売上は21%増加しましたが、非消耗品は2%減少しました。

注目すべき点は、 正反対の傾向がオンラインで起きていることです。オンラインでは消耗品の売上は減少し、非消耗品の売上が増加しました。配達の大幅な遅れと品切れのためキャンセルされた注文が多かったことも分かっており、オンラインでは販売増加を大きく超える需要があったのが事実です。

ニールセンの最新調査によると、3月中旬に新型コロナウイルス感染拡大に関する懸念が厳しさを増した際、約4分の1のショッパーが、公共の場での感染を避けるため、これまでよりも頻繁に、もしくは初めて、オンラインで買い物をしたと回答しています。オンラインショッピングへのニーズは今後も高まり続けることが見込まれます。 通常の週と比較すると、3月21日までの2週間で消費財をオンラインで購入した消費者は35%以上増加しました。 3月14日までの1週間では食料品が中心でしたが、翌週には非消耗品が多くの部分を占めるまでになりました。

これは米国のオンラインチャネルが重大な局面にあることを意味します。これまでのショッパーの購買行動を当てはめて考えると、オンラインショッパーは初回以降もオンラインでの購入を続けます。ただしそのためには、小売企業が品切れや配達の遅延などに適切に対応し、体制を整える必要があります。そうでなければオンラインショッピングへの悪いイメージが広まり、オンラインでのショッピングは定着しないでしょう。 

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今のところ、この先どうなっていくのかに関して不透明な部分が多いのは事実です。この状況がどのくらい続くか、それが引き起こす経済的影響によって今後の状況は違ってきます。すべての人がこの新たな局面におり、当分の間、状況は不安定なままだと考えた方がよいでしょう。3カ月後の売上と出荷の予測と、2週間後の予測は同じくらい難しいでしょう。

メーカーと小売企業は、利用可能な資産とリソースを活用し、状況に応じて迅速に調整しながら、最新の情報にもとづいた意思決定を行う必要があります。オンライン市場の成長は驚くべきものですが、購買時点はカテゴリによって違い、オンライン・オフライン双方を含めた市場全体における消費者行動の変化をタイムリーにモニターすることが重要であると言えます。

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急増する需要に対応するには? (英語資料)
サプライチェーンの混乱をナビゲートするには? (英語資料)

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