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「第73回NHK紅白歌合戦」と「ねこの目ポリス」によせて - たまにのエッセイ テレビとラジオ no.14

 「silentに出てる目黒蓮ってSnowManだとこんな感じなの?」ラヴィットにSnowManが出ていることも知らなかった2022年の年末。会社の繁忙期を経て体のスイッチが切れたのか、クリスマスが終わって速攻高熱になり、いつも片付いていると自負できる自宅でAirPodsを失くした。ご飯を食べても全然味が分からず、倦怠感もすごい。そう、巷で流行のアレになったのだ。外出も出来ず、頭の中はまっしろ。耳も心も例年より随分静かだった。そんな大晦日に観た『第73回NHK紅白歌合戦』。目眩くお祭りムードに、その日は倦怠感が少しどこかへ行ったようだった。そして、2022年の流行を自分は全く把握していないことがよく分かる内容で、世間に目を向ける余裕も無いほどこの1年自分は働いていたのかと我に返る怖い体験でもあった。会社員になる前は現実逃避をするように観ていたテレビに現実を突き付けられるとは。

 どのアーティストも「紅白で最高のパフォーマンスを!」という勢いの中、有吉弘行さんの「白い雲のように」が個人的にはベストシーンだった。髪型やジャケットはいつもに増してスター感が強め。なのに舞台に立っているスタンスは「かりそめ天国」や「有吉クイズ」で垣間見える生活感が滲む。その謎に調合された佇まいに痺れた。最高にかっこいい人を大晦日に生放送で拝見できるのはご利益がありそうで有難い。紅白に価値を感じた。受信料はお賽銭だと思おう。そう思った。

 以前はM1グランプリのようなお祭り番組の後日にその内容を振り返って誰かと話すのが好きだったが、最近の評論や考察する流行につられたくなく少し抵抗があった。なので紅白の話も誰かと話したり、今回のように書いたりする気はなかったが、知人に教えてもらい聴き始めたPodcast『ねこの目ポリス』の紅白歌合戦総括がとても楽しくこのエッセイを久々に更新することに成功した。この番組、通称「ねこポリ」では、紅白の出演者がみな奮い立っている中で「小室さん眠そうだったね」という点や、AIユーミンの「NHKは(最新技術をすぐ)買っちゃう。(ホログラムは)減価償却」という具合の話をしていて、街を歩きながら声を出して笑ってしまった。「ねこポリ」の概要は「トミー警部とリョーチン巡査が 日常で感じる違和感を一網打尽にしている 夜回りバラエティーラジオ番組」だが、センスの良い面白い友達とゲラゲラ笑いながらテレビを観ているような感覚に近い。解剖・解説・裏話が面白い番組も悪くはないがそれ以上に、面白いものを面白れぇ〜、納得いかないことを納得いかねぇ〜と笑いながら交わせる時間は生きるパッションを保つのに重要なものだと思う。ありがとう、コンテンツを作ってくれている人たち。ありがとう、コンテンツを一緒に楽しんでくれている人たち。そんな気持ちだ。

 今年も良いことがありますように、そしてAirPodsが見つかりますように。そう願いながら失くしたAirPodsは減価償却できていたと思って新しいのを買った。その帰りにそのAirPodsで「ねこポリ」を聴き、笑いながら牛丼を食べている。山のように盛った紅生姜で舌も大喜び。今年は流行を知りつつ、流行に動じない、爆音パッションカラフルデイズを目指します。

2023.1.27



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