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「SMAP×SMAP」によせて - たまにのエッセイ テレビとラジオ no.7

 あの頃の未来にぼくらは立っているだろうか。いや立っていない。就職しているし、かと言ってまだ実家暮らし。そして月曜の22時にスマスマは放送されていない。てか解散してるやん!こんな未来は想像してなかったぞ!!

 さて。あれは2013年の秋。SMAP×SMAPの番組内で、彼らのデビュー記念日である9月9日に50枚目のシングルリリースを祝して、50曲のメドレーを40分近くノンストップで歌い続ける企画が生放送された。録画したその日の放送は、どうしようもなく落ち込んでいる夜や、ちょっとした特別な日の朝に流し観再生する程よく観ていたが、彼らが解散してから観ることはなくなった。観るとなんだか後ろ向きな気持ちになってしまう気がしたからだ。と言っても、ハードディスクから消えることは無く、うっかりデータ削除しないように保護保存し、今日までハードディスクの中に収めていた。その放送を今年の9月9日、久しぶりに観返してみることにしたのだ。その理由は、生放送があった後日に公開された生放送直後のアフタトークにある。

 草彅「2019年には(月曜日が)もう一回生放送と当たるんだよね。だからオリンピックの前にもう一回、この企画、チャンスあるんじゃないですか。次の年にオリンピック。」 中居「だから次、19年の6年後、60枚になってるか、なってないかぐらいじゃないかなぁ。」 香取「19年にさ、60曲ちょうどな感じになるとコレな感じになるからさ、ちょっとずらそう。」

 彼らがピンポイントに指している日付こそ、今年2019年の9月9日だったのだ。まるでタイムカプセルのような会話だ。そんな50曲メドレーを久々に観返した今、ただただ元気が出ている。あの頃に思い描いていた未来とは違うが、あの頃の未来にぼくらは確実に立っている。そんな当たり前のことが、なんだかめでたくも感じた。彼らをテレビで観ていた10代のぼくが、今のぼくに繋がっているという事を、彼らの途切れる事のない50曲の歴史とともに思い知る。移り変わる時間で生きてきた1人の「ぼく」が、時間を超えて「ぼくら」となるように、過ぎた時間すらも圧倒的な味方に感じられた。なんだかテレビの向こうから「夜空ノムコウ側にある朝日を見にいこうよ。」と言われているようだ。彼らはいつだって未来を向いているのだから無理はない。

2019.11.4




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