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第30回: VR酔いの解決策は「バーチャル鼻」?! 斬新な対策は仮想現実市場を活性化させるか


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F1の「赤い皇帝」ことミハエル・シューマッハ。彼の名は誰もが聞いたことがあるだろう。だが、伝説的なレーサーである彼ですらF1のシミュレーターでは酔ってしまったという。酔いというものは、かくも人間が新技術へ適応することを妨害する。

F1シミュレーター以外にも「酔い」が我々の順応を阻害している新分野がある。VR、いわゆるバーチャルリアリティだ。PSVRの発売を皮切りに世界的な注目を浴び、その熱は未だ市場に籠っている。

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近未来を代表するこの技術だが、解決すべき喫緊の課題が「バーチャル酔い」なのである。それもそのはず。自宅にいるはずのプレイヤーがヘッドセットを被るだけでファンタジー世界の一員になってしまうのだから、脳みそにとってはオーバーワークという他ないだろう。

だが、それだけで人類にはまだ早かったと諦めてはせっかく勃興した市場がいたたまれない。この問題の解決策として頻繁に挙げられるのが、常に画面に「何か」を表示しておく、という方法である。その何かはVRの使用用途により異なる。

レーシングゲームであれば、各種メーター。FPSゲームであれば、残弾数。常に目に入る表示は、平衡感覚を司る諸神経にとっての「杖」になる。しかし、近年ではより現実性を追い求め、画面には非現実的なものは表示しないという方針が主流である。

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(写真: メーターや残弾数等が視認できるゲーム画面)

リアリティを追求した場合、画面に常時何かを表示させるのは難しい。そこで非常に画期的な解決案が編み出された。それは画面に「仮想の鼻」を表示させる、というものだ。何を言っているのか分からないだろうが、百聞は一見に如かず、実際にその方法を適用したゲーム画面をご覧いただこう。

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(写真: 「仮想の鼻」を利用したVR酔い対策)

これはバーチャル鼻を用いたジェットコースターゲームである。技術としてはまだお試し段階なので、リアリティに欠けている点はご容赦いただきたい。平面の画面で見ると、あまり効果が感じられないが、仮想鼻有りの場合は無しの時よりも酔うまでの時間が延びた、というデータが実際にある。

興味深いのは、体験者がそもそも仮想鼻の存在に気づいていなかったことだ。ただ、よく考えてみれば普段はその位置に本物があるのだから、当然と言えば当然だ。しかし、コロンブスの卵のようにどれだけ当たり前でも最初にそれを思いつくのは素晴らしい偉業なのである。

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もしかすると、現実世界の我々に付いているリアル鼻にもこういった役割があるのだろうか。神はこの世界をゲームとして作り、酔わないように鼻をつけたのかもしれない。だが、そうであるならこのゲームはあまりに不公平なクソゲーなので、至急改善していただきたい。

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参考文献

- PURDUE UNIVERSITY: 『'Virtual nose' may reduce simulator sickness in video games』, 2015年3月24日, https://www.purdue.edu/newsroom/releases/2015/Q1/virtual-nose-may-reduce-simulator-sickness-in-video-games.html




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