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第19回 「世界最古の歌に関わった"日本人"がいた」


音楽はあらゆる知恵や哲学よりも、高度な啓示である。- ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

人類は人類としての自認すら無い時代から、木を叩き、石をぶつけ合い、そこから発せられる音に快感を見出した。長きに渡る人類の争いで数多くのものが失われたが、音楽だけは今日まで残っている。

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しかしながら、これほどまでに受容されている音楽文化の起源を知る者は多くない。時は遡り、1950年。「ウガリット」(※写真上)と呼ばれた古代都市の遺跡がシリアで発見された。そこで、それまでの人類史を覆しうる物が見つかった。世界最古の歌である。ウガリットから約3400年前の賛美歌を記した粘土板が出土したのだ。

驚くべきことに、現在その楽曲はYouTubeで聴くことが出来る。ぜひ、一度聞いてみていただきたい。


紀元前のリズムを感じることができただろうか。時代関係なく人々を魅了できるというのも音楽の素晴らしい点である。そして、この太古の音楽に心惹かれた一人の"日本人"がいた。

長崎で活躍している吟遊詩人のRueさんだ。彼女は2年ほどシリアに滞在した経験があり、そこで「世界最古の歌」に出会った。発見された楽譜からインスピレーションを得たRueさんは、そのメロディーに歌詞をつけ、ラヴソングを作り上げた。まさに「変わらない愛のかたち探している」と言ったところか。

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(写真: 吟遊詩人のRueさん)

彼女がやってのけた、時代を超えたリメイクというのは、非常に素晴らしい文化的営みである。『ターミネーター2』が公開されれば、前作の『ターミネーター』のDVDを皆が借りようとするように、旧い時代の産物を元にして新しい物を生み出すという行為は、現代の我々が歴史を振り返る契機となろう。

歴史科目が苦手な学生が多いのは、学習内容と現代との関連が薄いからであるとしばしば言われるが、Rueさんのような目に見える形で過去と現在を繋げる作品スタイルは、その問題を解決する糸口にも思える。「故きを温ね新しきを知る」をその身で実現し続ける彼女が、次はどのような作品を作るのか、今後の活動にも注目だ。


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[編集後記] 

さて、今回は最古の歌についての記事でございました。

皆さんも色々な物の起源が気になってきたのではないでしょうか。そんなあなたにはこの本がお薦めです。本当に多種多様なモノ・コトの「最古」が集まっています。ぜひ、良かったら。

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最後まで読んでいただき、誠に有難うございます。
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私がやっている企画に関しては以下の記事をご参照ください。


参考文献

- 長崎経済新聞: 『長崎の吟遊詩人が世界最古のラブソングを作詞か-遺跡で発掘された紀元前の曲に』, 2014年9月21日, https://nagasaki.keizai.biz/headline/886/

- Ameba 島原発♪吟遊詩人Rue, https://profile.ameba.jp/ameba/rue-nasim


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