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「侵犯。」/ショートストーリー

軽く触れたつもりだった。

だが。
彼女はかなり遠くへはじき飛ばされたように見える。
かなりのショックがあったのではないかと心配になる。
怪我などしていなければよいのだが。

とにかく。
ひとでなしである私の力が発動されてしまった。
友達に対して、その力を発動してしまうなんて。
やはり。
私がひとでなしたる所以だ。

友達は驚いているだろう。
もしかしたら。
自分の身の上に何がおきたのか、わからないかもしれない。
友達は普通の人なのだから。

友達は私に近づき過ぎた。というか。
私が友達に気づくのが遅かった。

いつもだったら。
ひとでなしの力を制御できるし。
ひとが私のパーソナルスペースを侵犯しても、歯を食いしばって耐えるのだが。

言い訳になるが、不意を突かれた感じだ。私というか私たちは。
とてもデリーケートなところがあって。
パーソナルスペースをとても大事にしている。
私たちの間では、もちろん侵犯しないのが基本原則で。

もし。
侵犯された場合については、相手への攻撃は許されている。

しかし。
この世界でひとと共存しようとするならば。
ひとでなしの私たちが耐えるしかない。

だって。
この世界はひとが君臨しているのだから。
そうじゃないと異議を唱えるものが少なからずいたとしても。
今この時点ではね。

本当にひとは簡単に侵犯してくる。
ひとの友達も何がきっかけなのか。
完全に私のパーソナルスペースを侵犯していた。

友達にところへ駆け寄ろうとして、夢から覚めた。

それにしても。
夢の中だとしても、ひとでなしの力はちゃんと機能しているので友達の身体が心配になる。
もう少し経ったら、ラインでそれとなく聞いてみよう。

そういえば。
最近は、ひとの間でもソーシャルディスタンスという名前で距離をとっているがどうなのだろう。

ひとは犯してはならない距離というものがわかるのだろうか?








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