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「足りない料理店。」/#完成された物語 ショートショートストーリー

「客足が落ちた理由というか、この店の足りないところがわかりました。」

そう言って私はオーナーに笑顔を見せた。

オープン当時は大盛況。すべて完璧とまでは言わないが、立地が良く料理も評判がいいわりに代金は高くない。ほぼ満点だ。だが、半年もすると客足が落ちてきて、この店に投資した金額を回収するどころの話ではないと言う。そこで私に依頼がきたのだ。

「まさか。人間味がないとか人工的すぎるとか言うじゃないですよね。」

「そういうことではありません。SFというコンセプトは面白いです。」

そう、SFにでてくるような料理店というイメージで人間や人間性は徹底的に排除してある。私は話しを続けた。

「テーマパークのようで良いのですが。」

私は再度店を見まわした。人間という生き物は自分の中にあるものにしか反応しない。良くも悪くも自分を投影できるものがないとダメなのだが、そういうものが一切ない。たぶん、数回来店すれば飽きてしまうだろう店内を。



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