僕たちはこの世界に、頭から登場した
命をふたつ産み落とすまでの話をしようと思う。
兆候があったのは11月15日の14時。
大部屋の一角で、同室の妊婦さんたちーひとりは無遠慮に仕切りのカーテンを開けてくる若い女性、ひとりは挨拶をしても返してこない不機嫌な女性、ひとりは声の大きくガサツな女性ーの意識の視線をひしひしと感じながら、規則的にやってくる陣痛のためナースコールを押した。
数日前、同じような順序を踏んで陣痛室までいったものの、結局お産までは進まず大部屋に逆戻りしたため、今回もその二の舞になるのではという懸