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本屋さんがある恋愛時代

渋谷に行くと迷子になる、と先日会った友だちが言ってました。街が新しくなり、古いものがなくなっていってます。

渋谷東急百貨店本店7階の「MARUZEN&ジュンク堂書店」が今月31日、明日で閉店します。

80年代、渋谷を闊歩していた頃はパルコのブックセンター、半蔵門線と東急田園都市線の乗り場近くにあった旭屋書店。公園通りにあった本のデパート大盛堂書店がお気に入りでした。

幼児教育の専門書があり、学生時代よく行ってたのが大盛堂書店でそこがこの本の舞台じゃないかな。

渋谷センター街のダンキンドーナツ。
本屋さんに勤める理一郎。
スポーツクラブに勤める水泳コーチのはる。
出会いは本屋さん。

私の好きなアイテムいっぱいのお話しです。

恋愛時代     野沢尚

21歳で出会って22歳で結婚して、24歳で別れて、現在26歳のはる。理一郎は8歳年上だ。だけどふたりとも幼い。幼いから結婚に楽しさだけを求めていた。お互い「別れても好きな人」。きちんと別れきっていない。なんだかんだ会ってしまう。別れたあともふたりで、友だちをふくめて、会ってしまう

別れたあともお互いが気になる。意地の張り合いといい加減な優しさ。お互いの幸せを見届けないと自分だけ幸せになれない。お互いにお互いの相手を紹介し合ってしまう自虐的なふたり。

脚本家として、TVドラマ、映画等数々のヒットをとばしていた野沢尚さんらしく、ドラマ的だ。イライラする。イライラさせるのが上手い。遠回り遠回りをしたすえの結末。

今回イライラしたのは、やっぱり理一郎のもてすぎ。登場人物女性みんな理一郎のこと好きだ。そんなにいい男か?優柔不断な男はドラマではもてる男なんだろうな。対するはるは、ふたり。ちょっと不公平。

はるをはじめ、女の打算的なところもイライラする。親兄弟に会わせたり、病気の看病、押しかけ、寝技となんでもありと怖い。でもそんな女をかわいいと思ってしまうみたいだ、男は。

みんな自分の「好き」って気持ちにまっしぐら。勝負をかけている。まぁ、私もやったことあるけどね、疲れる。

「好きなのに何もしないって、どういうことなの?」
「好きだから、何もしない・・・ってことかな」
「好きになったら何でもするママと、どっちが強いんだろう」
「負けてあげなきゃね、ママが・・ママは一晩泣けば直るの。ママはあたしがついているから大丈夫」

6歳のかすみの言葉がいい。かすみもママが好きだから。好きという気持ちは誰に、何に対しても最強だ。


本が好き。紙の本が好き。本屋さんが好き。

好きは最強なはずなのに。

本屋さんは、守れなかった。

本屋さんで出会うこともなくなっちゃうのかな。
本屋さんのある恋愛時代、わたしも経験しててよかった。


2004年 44歳で野沢尚さんが亡くなったとき、ちょうど私は「龍時 03-04)」を読んでいたときでした。野沢尚さんは「坂の上の雲」の脚本を執筆中でした。

野沢の事務所からは、何人かに宛ててメモ用紙に走り書きされた遺書も見つかっていた。NHKのプロデューサー宛には「途中で投げ出すことになってすみません。いい取材ができました。後はよろしくお願いします。『坂の上の雲』を傑作にしてください」、野沢が師と仰ぐ鶴橋康夫宛のメモには「ご迷惑をおかけします。夢はいっぱいあるけど、お先に失礼します。ここまで育ててもらってありがとうございます。あなたと闘えて光栄でした」と書かれていたという[6]

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