見出し画像

年の差婚ってぴんとこなかったけど

出会ったときはわたしは、33歳で夫は49歳で16歳の年の差がありました。2月に出会って、4月に入籍したのは幼稚園に勤めていたから、春休み中の引っ越しと、途中から苗字が変わり「結婚しました」というお知らせを出したくなかったから。新年度から新しい名前で新しいクラスと向き合いたかったから。

夫がバツ1で3人いる子どもたちのうちの長男が、隣りの家で義母と暮らしていました。自宅の1階が会社で2階が自宅でわたしが「いってきます」と家を出て幼稚園に行っていたので、なんだか合宿所みたいなところでした。

年の差婚なんてぴんとこなかった。わたしの身内は、あまりいい顔はしてなかったけど。年の差というよりバツ1子持ち姑つきが気に入らなかったのでしょうね。

父に紹介する前に、福岡の母のお墓に挨拶し父のつれあいにきて欲しくなかったので結婚式はしなかった。

義母に「ここには森英恵さんはいないけど、桂由美さんがいるから」とお金を包まれて桂由美さんのところで写真を撮っただけ。

やがて会社は自宅と別のところに移し、義母の介護のために家を建て替え、その家からも離れました。

30年近くの時が流れ、61歳と76歳の夫婦になりました。
ふたりで一緒に年を重ねてきたはずで、年の差を気にしたことはなかったけど夫に老いの兆しが見えてきてせつなく感じてます。

わたしより走るのが早かったのに、
トライアスロンのレース、完走するのが難しくなってきました。
一緒に練習していて、わたしはもっとやりたい、と思って
しまうのに、夫はここまでと。もういいと。
自分の練習はふたりだと難しいな、と思っちゃうこともあります。

一緒に歩いていて、気がつくと夫が遅れがち。
歩幅が狭くなってきました。

耳が遠くなってきました。

気分の落ち込み、鬱の兆しもあります。

年の差婚のせつなさに28年経って気がつくなんて。

せつないけど愛おしい。
49歳の夫より、目の前の76歳の夫がいい。

ふたりで歩んできた28年があるから。

笑ったり泣いたり怒ったり苦しかったりうれしかったり悔しかったり
傷ついたり傷つけたり。

たくさん遊んでたくさん食べて。

これからそんな日々をふたりで歩んでいきたい。

歩幅が違っても、立ち止まって振り返ってあなたを
待っているから、わたしが転んだらあなたも待っていてね。

あなたと結婚してよかった。
ありがとう。