見出し画像

全てに色が紐づいたら、世界は美しく見えるのか?

「音に色が見える」
から説明しよう。
私の場合は
「黄、黄緑、緑、青緑、緑みの青、
青、青紫、紫、赤紫、赤、赤橙、黄橙」
の12色相環を見ると、
「レ、レ♯、ミ......」と
12の音が思い浮かぶ。
この音を弾けば、
色相環が思い浮かぶ。
 では「数字が色に見える」
とはどういうことか。
私の場合は1が白、
2が赤、9がピンクに見える。
そのため、

1×2=2とはならず
1(白)×2(赤)=9(ピンク)
となる。

「数字を見た瞬間に
それが脳味噌の中で
色として焼き付いて、
色同士を混ぜ合わせて
出来た色が答え」

檸檬先生

共感覚だとこうして見える
らしい

共感覚とは

音や文字に色を感じたり
味や匂いに色や形を感じるなど、
ある刺激に対して、
通常生じる以外の
感覚が得られる知覚現象。

そんな事があるんだぁ………
すごくカラフルなんだろうなぁ
と思ったら、
意外とそうでも無いようで
逆に、邪魔になって
混乱に陥っている

檸檬先生れもんせんせい」 
珠川こおり(著)


梗概

私立小中一貫校に通う
小学三年生の私は、
数字に色が見えたりする
「共感覚」を持っていた。
普通の人と同じように
絵画や音楽を楽しむことができず、
いじめを受けて、
孤立していた。
自称芸術家の父親は
世界中を旅して回り、
一方の母親は
風俗店で働くまでして
生活費を稼いでいる。
困窮した節約生活の中、
唯一心安らげる場所は
放課後の誰もいない
音楽室だった。

ある日、その音楽室で
中学三年生の少女と出会う。
彼女もまた孤独な
共感覚者であった。
私より共感覚に詳しい
物知りな彼女のことを
「檸檬先生」と呼び、
彼女からは「少年」
と呼ばれた。

檸檬先生と春にはホールで
音楽を楽しみ、
夏は海で過ごしたりした。
秋にある文化祭の
発表会では、
檸檬先生と共感覚アートを共作。
私は自分が共感覚者であることを
プレゼンして、
クラスメイトにも
受け入れられるようになった。
冬になると、
高校受験に専念する
檸檬先生とは
会う頻度が少なくなり、
次第に疎遠になる。

時は過ぎ、
私は共感覚を克服して、
浪人の末に芸術大学へ
入学することを決める。
入学を控えたある年の三月、
突然檸檬先生から
かかってきた一本の電話。
大企業の社長令嬢であった
先生は就職、
結婚が自由に認められず、
誰一人として自身の本質を
理解してくれない
ことに絶望して、
公衆の前で自殺を
図ってしまう。
私はその血液の
赤さに苛まれつつも
生前の美しい檸檬色を
忘れられず、
彼女への懺悔を込めた
作品を制作する。

tree

この物語は、
衝撃的なシーン
文の末から始まる

ハッピーエンドじゃないの?
なんて、思いながら

主人公は、このシーンを
美しいと言う

共感覚の世界
カラフルな世界

カラフルが故に
不自由さを語っている

読んでいる側は
そのカラフルな世界に
魅せられながら、
またそれを美しい!
とさえ思わせてくれる
不思議な感覚本

第15回小説現代長編新人賞受賞作
『檸檬先生』

今年6月15日に単行本になって
販売になっています

Z世代に読んでほしい
と言われている本

Z世代でなくても、共感覚
の世界や青春時代を
味わいたい人にも読んで
らってもいいんじゃないか?
と思います

まさかの18歳で、この文章力
圧巻です

受賞の言葉

このたびはこのような賞を
いただき本当にありがとう
ございます。
私の作品を読み
審査してくださった
選考委員並びに編集部の皆様に、
心より感謝申し上げます。

人の死を身近に感じる
事がありました。
その時恩師に言われたのが、
長生きをして、一秒でもいい、
他人を長生きさせる努力をしろ
ということでした。
それが医療関係でなくてもいい、
間接的にでも貴方達にはできると、
そう言われました。

夜になると漠然とした
不安に覆われて、
自分が一体何者なのか
わからなくなる時があります。
周りの人の勝手な理想像と
妄信で、
私は常識と普遍の枠組みの中に
捕らえられ
身動きができなくなる。
もっと自由に生きるべき
なのではないか。
こんな変な世の中だから、
生きることに不安を抱く
こともあります。

私はただの高校生で、
何をしたってどれも特別な
ことはなく、
平凡じみています。
そんな私でも、
何かをなすことで、
そうして間接的にでも
人を救えるのだろうか
と思いました。

私は「表現する」ことが
圧倒的に好きです。
本当に小さい時から、
今でも、ずっと。
表現というのは、
美術だとか、
音楽だとか、
勿論小説を書くことも
含まれていて、
大体の時間をそれらに
費やしています。

表現することは
芸術をすることです。

芸術は、太陽であり、
月である。
時に強く鮮烈に、
時に優しく静謐に。
人々はいつだってそれを
見つめる。
私の創る作品は
そんな人々を
照らし出すほどの力なんて
持っていません。
ですが、
本当に小さな小さな、
星の一欠片くらいには
なるのではないかと思います。
仄かな頼りない光しか
持ち合わせていない欠片では、
人をたすけることなんて
到底無理ですが、
この一欠片が一秒分の生きる
勇気になって、
積み重なっていけば
いいなと思うのです。

辛い、苦しい、死にたいという
感情はどうしてかすぐに
心から溢れ出して
私たちを支配します。
生きたいと思うのは
難しいことです。
人生で一番大変なことは、
生き抜くということ
かもしれません。

『檸檬先生』は決して
明るい物語ではありません。
それを読んで嫌な
気持ちになる人も、
きっと大勢います。
でも、負の感情も、
正の感情も、
未来につながりゆく
感情です。

私はそうして、
掌大の星の欠片を紡いで、
一秒分の光で人を照らしたい。
自己満足かもしれない、
けれど、
紡いだ欠片が、
一秒分の勇気になって、
それが積み重なって、
生きる希望になることを
願っています。

tree

次の作品も気になるところです
まだまだ若い彼女は、
今20歳かぁ……………

合わせて読みたい

本作品では、
冒頭の試し読みに加えて、
「受賞のことば」
や選評(抜粋)などを収録。

Amazon

珠川こおり
『檸檬先生』刊行記念

小説現代2021年8月に
寄稿された短編「一番星」
を特別公開!

俺たちの夏は熱かった。
合唱に絵描き、
燦々と輝く芸術の日々。

太陽が照りつける中一の夏、
合唱コンクールの
練習に行けなくなった
俺が出会ったのは、
薄緑の帽子をかぶった
絵描きのおっさん。
ひょんなことから
絵を教わることになって――。

Amazon

#わたしの檸檬先生

treeの特集で
#わたしの檸檬先生像

『檸檬先生』をモチーフに、
美大生や様々な
アーティストにレビュー
寄稿&イラスト制作されています

檸檬先生、沢山の方が
絵ががれてて
面白かったです

…………………
自己紹介
ノートがスキ❤️になってきた。より

#私の本棚
#本
#読書
#珠川こおり
#檸檬せんせい
#共感覚
#色の世界
#18歳が書いた本
#文章力
#表現力

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?