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2023 KYOTO GREAT ROUND 100マイルの部 でマイラーデビューできた話

2023年の年の瀬、12/29-30の2日間、KYOTO GREAT ROUNDというトレイルランニング大会の100マイルの部に参加し、ギリギリで完走し今年目標のマイラー(100マイル完走者)になることができました。この記事はそんなKYOTO GREAT ROUNDの100マイルの部のレポートです。100マイルにしては珍しくiTRAポイントや過去のロングレース参加経験が不要でエントリーできる門戸が広く挑戦できるので、今後参加される方の参考になれば幸いです。


どんな大会?

総距離164km, 累積8340m, 完走率設定20%, iTRA Finisher level 570

  • コース

    • 大会公式で総距離164km、累積8,340m

    • 自分のGarminでの計測では総距離174km、累積8,761mでした

  • iTRAのFinisher level

  • 設定完走率

    • 主催者のタグゾーさん曰く完走率20%を想定して設計しているようです。

    • 今回の2023年大会では52人エントリーのうち11人の完走(21%)を想定して完走盾は11個用意したとvoicyで言っていました。

    • また同じくvoicyで、UTMFで30時間切りできるかが目安と話していました。

ノンマーキング、制限時間31時間、エイド間の平均距離27km

完走率が低い要因は以下の特徴によるかと思います

  • ノンマーキングなので自分で地図を見ながらナビゲーションする必要がある

    • 僕は10回くらいロストし、特に制限時間ギリギリの終盤でのロストはかなり焦りました

  • 制限時間が31時間で、登り以外は基本走り続けないと間に合わない

  • エイド間の平均距離が27kmありある程度の携行食が必要

    • エイドは全部で6箇所で、130kmのコースと同じです

  • 真冬の京都なので防寒もそれなりに必要(ただし今年は暖かかったのでこの点は該当せず、なので想定完走率も例年より高かったのかもしれません)

詳細は以下公式ホームページをご覧ください

2023年大会の完走者は14名、出走者数に対する完走率は37%

全体的には、エントリー52人に対して出走が38人、完走が14人で、出走者数に対する完走率では37%でした。元々の想定は20%程度のはずなので、想定より倍の数の完走者数で、これはおそらく天候に恵まれて積雪がなかった(走行中はハーフパンツでちょうど良いくらい)ことが要因かと思います。具体的には最高気温は10度越え、スタートの08:10時点でも5度以上はありました。レース中も、一緒になった方と「今年は完走率がかなり高くなりそうだね」と話しておりました。

参加資格にiTRAポイントやxxkm以上完走などがない

以下のように、過去に100kmなどの超ロングの参加経験が一切なくても挑戦することができます。

■参加資格・参加条件(共通)

・大会当日に18歳以上であること。

・全コースを迷うことなく制限時間内に完走できる自信があること。

・コースは占有していないので、他の利用者や自然への配慮が出来る方セルフナビゲーションができ、自力で下山できること。

・時計、スマホ、アプリなどを使えること。(例:ジオグラフィカ、ヤマレコなど)

・フィールドで起こりうる問題(寒さ、天候、精神的、肉体的)に、他に頼ることなく自らの力で解決を図れること。

・自然環境の中で行う活動である事を認識し、参加者以外の利用者や運営、ボランティアに対しても十分に配慮した行動を取れること。

・大会出場中の選手の映像、写真、記事、記録についてのSNS、メディア、マスコミに対する掲載権は大会側に帰属します

https://trailfest.net/kyotoround/


筆者の事前実力&結果は?

マイル初挑戦、iTRAスコア515で30時間30分でギリギリ完走、ただし天候に恵まれラッキーだった

筆者のエントリー時点でのiTRAスコアは515、トレイル大会の最長距離は今年11月に参加した100km(OSJ KAMI)で約21時間かかっており、ランニング自体始めて1年くらいなので経験的にも実績的にも完走は難しい状況ではありましたが、結果として約30時間30分でギリギリなんとか完走することができました。完走できた一因としては、前述したように天候に恵まれて積雪が一切なく走りやすいコンディションだったことが挙げられ、本大会の難所の一つである「真冬の京都」要素が無かったからだと思います。去年のように積雪していたらもっと時間かかってアウトだった可能性が高いです。 (ただし、エイドでの運動停止中は寒くて手が震えてカップのコーヒーがこぼれるほどでした)

制限時間をクリアするための事前計画

第2関門を制するものがゴールを制す

この大会の制限時間は31時間ですが関門が2箇所あり、第2関門である第6エイドを通過できるかどうかが肝です(ただし後述するように、最後の第6エイドを通過した後の一番最後の坂がコース中で一番エグい急登なので決して安泰ではありません)

  • 第3エイドの嵐山(70.8km, 累積4240, 制限時間19時間50分)

    • 通過29人、通過率76%

  • 第6エイドの折戸公園(134km, 累積6490, 制限時間24時間)

    • 通過15人、通過率39%

GarminのPace Proでペース設定

このようにこの大会は第2関門である第6エイド折戸公園を制限時間内に通過できるかどうかでほぼ決まるため、エイドごとに何時に通過しないといけないかを、GarminのPace Pro機能を使って事前計画しました。

PaceProでペース設定

ゴールタイムを30時間30分に設定し、かつ各関門での制限時間に間に合うようにPacing StrateryとUphill Effortをチューニングして1kmラップごとの経過時間を算出してもらいました。Pacing Strategyのバーを見ていただくと分かるように、前半にかなり頑張って後半に緩める、かつ伸びりもそこそこ頑張る設定にしないと間に合わないです。

そして、PaceProの結果をエイドごとの通過時刻に計算し直して以下のような表にまとめ、スマホのロック画面の壁紙設定にしていつでも参照できるようにしました。

エイドごとの目標通過時刻や区間距離、区間累積標高などをメモ

計画と実際の比較

以下が、上記の目標とIBUKIでの実測値での通過時刻の比較です。亀岡まではほぼ目標通り進み、亀岡~淀川では1時間ビハインドするも、淀川~折戸公園の19kmロード区間でなんとか持ち直して、結果的にほぼ計画通りでゴールすることができました。PacePro機能を使うことで1kmごとに計画に対するズレを確認できてかなり参考になりました。

  • A1 比叡山

    • 目標 11:53 | 実際 11:30

  • A2 山幸橋

    • 目標 14:21 | 実際 14:27

  • A3 嵐山

    • 目標 20:05 | 実際 20:04

  • A4 亀岡

    • 目標 23:22 | 実際 23:33

  • A5 淀川

    • 目標  04:10 | 実際 05:12

  • A6 折戸公園

    • 目標 08:08 | 実際 07:45

  • ゴール

    • 目標 14:40 | 実際 14:36

ノンマーキングのツラみ、楽しみ

本大会の大きな特徴の一つ、ノンマーキング。
コースの多くは「京都一周トレイル」などの既存のトレイルコース上にあり看板などはあるものの、基本的には事前配布のGPXを各自注視しながら走ることになります。

10回くらいロストして心が折れかける

僕はナビゲーションは全てGarmin (Enduro 2)だけで完結しスマホや紙地図などは(準備はしていたものの)使うことはなかったですが、結果的に10回くらいロストしました。

分岐点で明らかに怪しそうな箇所でロストしたこともありましたが、過半数は「気づいたらロストしていた」で、気持ちよく下っている途中でふと時計を見たら外れていたり、蜘蛛の巣に引っかかって気づいたりしました。いずれも下り道でのロストなので、元の場所に戻るのに登らなければならず、いざ戻ってみるとちゃんと分かりやすい道があり「なんで間違えたんだろう」と不思議でした。事前の情報収集で「分かりにくい道がある」と聞いていたので、怪しい道があっても「はっはーん、これが分かりにくい道か」と突き進んでしまったこともありました。

特にA1比叡山とA2山幸橋の間で何度もロストし、A1の時点では5位だったのがA2につくと、誰にも抜かされた自覚がないのに15位まで下がってしまいました。

「この道はトレイルじゃない」

何度もロストして自信を無くして進み続けることに恐怖心を覚え始めていました。ですが途中で転機が訪れます。途中で一緒になった選手の後ろについて走っている際、ちょっと怪しい道があったのですが、一歩足を踏み入れた時点でその選手が「この道はトレイルじゃない」と言ってすぐさま戻って正しい道に戻る瞬間がありました。僕は正直全然気付かなくて「経験者の勘はすごいな〜」と思っていたのですが、これを機に僕もようやく「分かって」きて、足跡も参考にしながら、その後はほとんどロストせず進むことができました。明るいうちにたくさん失敗しておいて良かったです。。

確かに、道じゃないような道がコースなこともありますが、大抵は分岐点に気づかないだけで、道自体はトレイルの道です。頻繁にルートを確認しつつ、「この道はトレイルじゃない」と感じたらすぐに止まりましょう

迷って他の選手と一緒に道を探すのも、アドベンチャーレースっぽくて楽しい

場所によっては、Garminのナビゲーションだとうまく誘導してくれず、指示通りに進むと急にルートから外れて、戻ってもまた同じ場所に誘導されて…を繰り返して途方に暮れる場面もありました。そんな時、たまたま他の選手が追いついて同じ現象に戸惑い、お互いに「こっちじゃないか」と推測しながらスマホの地図アプリなども確認して正しい道を見つけられることがありました。ロストではあるものの、他の選手と一緒に道を見つけ出すのはなんだかアドベンチャーレースに出ているようで楽しかったです。(制限時間ギリギリの状況だったので、その選手に出会わなければパニックになっていたかもしれません。。)

その他ツラかった場面

亀岡エイドが激寒い

事前に「ドロップバッグ受け取り地点の亀岡エイドは寒い」とは聞いていたのですが、いざ23時過ぎに亀岡エイドについて携行食の入れ替えや補給をしていると、次第に身体が冷えて、寒すぎてホットコーヒーのカップを握る手が震えてコーヒーがこぼれてしまうほどでした。ストーブなどはあるものの、それでもマジで寒いので、ドロップバックの中にすぐに羽織れる防寒着を入れておくと良いかもしれません。これでも例年よりは暖かったので、例年はもっと寒いんだと想像するとゾッとします。

亀岡エイドを出てからの時間との戦い、20kmほぼフラットのロード区間が苦しくもあり助けにもなった

亀岡エイド(総距離88km, 累積5080m)までは特に意識しなくても予定通りのペースで進めていたが、ここまでくると流石に疲労も溜まってきたのかペースが落ちて、淀川エイドを4時頃までに到着するのが無理だと途中で気づきます。途中で「なんとか4:30までには」と下方修正するもそれも途中で無理と気づき「05:00までについてその後頑張ればなんとか」と最終下方修正をして下りでペースを上げて05:12に淀川エイドに到着。淀川エイドについた時点で1時間以上計画から遅れており、次の折戸公園がゴール前の最終関門(08:10)であと3時間。淀川エイドでもボラの方々に「やばい、このままだと折戸公園の制限時間間に合わないので補給など飛ばして出ます!!」と不安をぶちまけるも、「次のエイドまでは20kmで全部ロード、ハーフマラソンだと思えば良い、まだ大丈夫」と声をかけていただき、確かに地形を見ると20kmのうち最初の95%はほぼフラットなロードで最後に一つロードの登りがあるだけ。単純計算すると20kmを3時間で行ければ良いので平均9min/kmで進み続けられればギリギリで間に合う。ここで希望が生まれてバナナを両手に持ちながら河川敷のロード区間を無心に走り、ペースを確認すると7~8min/kmで走れている。このままで行けば間に合うと安堵し、終盤の200mくらいの登りと下りをなんとか終えて、07:45に最終関門の折戸公園にギリギリ到着できました(制限時刻は08:10。制限時刻は到着時刻ではなく出発時間なので注意)。

フラットなロード区間だからこそ現実的に「いける」と計算することができて希望を失わず走ることができました。

折戸公園エイドを出て最後の30km区間で「リタイア」の文字が頭に浮かぶも、一つ目の山を登り終えて再び希望が宿る

過去の記録からも、折戸公園の関門を通過できればほぼほぼ完走できるデータになっているので、この時点で安堵はするものの、いざ折戸公園から出走してみると、足が全然動かない。先ほどの淀川エイドから折戸公園までの20kmロード区間が着実に足の負担になり、ほぼ足の売り切れ状態になってしまったようです。この足の疲労状況と、地形を見るに600mアップの山を3回登らないといけない。しかも最後の急登がこのコース最大の難所と事前に聞いている。残り7時間。一回の登り降りで2時間20分。今の自分のこの足の状態でいけるのか。ロードと比べて実感としていけるかどうかが想像できず、「無理なんじゃないか」と正直何度も思いました。途中にエイドはないので途中離脱もできず、1時間遅れてゴールに到着して「初マイル失敗でした。。」と残念がる自分の姿をイメージしてしまう。同じく福岡から参加で事前に一緒に走ったことがある選手二人と出会うも、「厳しいかもしれないです。。。」と不安を吐露していました。

そんな中で最初の登りに突入するが、思いの外登りはまだしっかり登れる。130km以上の工程の中でポールの使い方が慣れてきたのかもしれない。登り終えてまだ30分しか経っていない。下りもまだ大腿四頭筋の痛みはなく、決して速くはないが極端に遅くもないペースで下れて、登り降りで合計やく1時間。当初は2時間くらいかかると思っていたが、意外に速いペースで行けた。これならいけるかもしれない!ただ、残り二つのアップダウンはもっときついし着実に足の負担は増えているので、本当にどうなるか分からない。

最後の急登は噂通りの急登だった

事前にvoicyなどで主催者から「最後の急登はエグい」というのは聞いていたが、いざその急登に差し掛かると、本当に急登でした。斜度はおおよそxx%で、上から5~6mのロープが垂れ下がっており、ロープを両手に坂を登る箇所が4箇所ほどあり、上を見上げても一向に終わりが見えず、かなり辛かったです。ですが登り終えると、別ルートから山頂についた130kmカテゴリの選手たちと出会い励ましてもらい、最後の力を出し切ってギリギリで完走することができました。

この大会が素晴らしいと思った場面

エイドのボランティアの方々のホスピタリティ

今回の大会で印象的だったのは、エイドでボランティアの方々が手厚いサポートをしてくれたことです。例えばボランティアの方々の方から「飲み物何入れましょうか、フラスク預かりますよ」と言っていただき、中には「走ることに集中してください」と言いながら僕がバナナなどを食べている間にフラスクをザックから取り出してくれて飲み物を入れてくださった方もいました。

司会進行のTOMOTさんや撮影部隊の実況リポート・応援

オープニングセレモニーおよび200kmカテゴリの出走から45時間ぶっ続けで各選手を追いかけながら司会・実況中継・応援をして下さっていた司会のTOMOTさんや撮影部隊の方々、本当にありがとうございました。後でインスタで実況中継のハイライトを見ましたが、本当にぶっ続けで色んな箇所で先回りして選手を応援し続けていたんだなぁと感動しました。

スタート地点での生バンド演奏

これも今回初の試みだったようですが、スタート地点で生バンドの演奏があり盛り上がりました。ボルテージ最高潮で走り始めることができました。

最後に

書いているうちにだんだんただの日記のようになってしまい想定以上に長くなってしまい疲れてしまったのでここで終了にします。

最後に、改めて、本大会の企画・運営に関わって下さった皆さん、本当にありがとうございました。おかげで、初マイルへの挑戦・達成という自身の目標を年内に達成することができてとても満足度の高い大会でした。

また、この記事が来年以降のKGRに参加する方の参考になれば幸いです。ご質問などもしありましたらコメントよりお気軽にどうぞ。

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