「男と女」(1966) 午前十時の映画祭 2023/10/29 バルト11
午前十時の映画祭にてクロードルルーシュ監督の「男と女」を鑑賞した。
前情報は全くなしで視聴したため、非常に楽しめた。
広大な埠頭の前で会話をするアヌーク・エメと娘の会話から始まるOP。次に映し出されるジャン=ルイの車内での喋り方にジャン=リュック・ゴダールの「勝手にしやがれ」(1960)のジャンポールベルモンドを思い出した。
夫と妻を亡くしたやもめ同士が出会い、愛を紡ぐ物語であるが、そう一筋縄では行かないのがこの映画の醍醐味。
アヌーク・エメの旦那はスタントマンをしており、映画の撮影の最中に事故で亡くなってしまう。ジャン=ルイの嫁はレーサーのジャンがル・マンで事故を起こしたことで心が乱れ、自ら命を経ってしまう。
配偶者と死別しているにも関わらずお互い結婚指輪を後生大事に身につけていることでお互いが忘れきれていないことがわかる。手元を執拗に映し出す演出はウォンカーウァイの「花様年華」を彷彿とさせる。
ラリーモンテカルロにて勝利を手にし、アヌークの元へいき、四人で抱き合うシーンは私も相当心震わされた。フランシスレイのbgmが魂を揺さぶる。
そんな感動シーンも束の間、濃密なベッドシーンでアヌークは死んだ夫のことを思い出し、それにジャンも勘づく。
そして、二人は別れてこのまま終わってしまうのかと思っていたところ、流石は巨匠、最後の最後にパリの駅にジャンを先回りさせ二人は抱き合って終わるという最高のハッピーエンドで安心した。この演出はエドワードヤンの恋愛時代のラストシーンと被る所がある。
私が個人的に1番好きな終わり方だ。
アヌークが過去を思い出すシーンで映画館にいた両サイドの女性がどちらも泣いていた。映画は時を超える。芸術は素晴らしい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?