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母の想いと看護師娘の経験から伝える♯4気持ち

母のがん治療について、母の想いと娘で看護師の私が経験した、患者の家族としての行動や気持ち、時々看護師としての考えについて書いていきます。

母とのエピソードは、いいことも悪いこともたくさんあります。
母が、話したことで忘れられないことのひとつを残しておこうと思います。
それは、放射線治療が始まった病院でのことでした。

2013年4月に子宮頚がんの診断となり、4月下旬から始まった抗がん剤治療が終了しました。
6月には、放射線治療のため、実家のある街から車で1時間ほど離れた街の大学病院に入院しました。

面会のため、大学病院へ。
母は、少しやせてはいましたが、肌の色もよく、病気が見つかる前よりも肌のつやもある印象でした。
「お母さん、肌の調子いいね。つやつやしてるよ」と、母に言いました。
母とは以前から会うと、お互いに服装や髪型など、いいの悪いのと言い合っていました。
「時間もあるから、朝晩いつものクリームを丁寧に塗ってるだけだけど」と、言っていました。

放射線治療は、治療を開始する前に、放射線を当てる部分を正確に決めます。そのほかにも、放射線量・期間など計画を立ててから治療を開始します。

始まったばかりの放射線治療でしたが、母と退院の目安を立てたり、食欲が落ちているので、ご飯がすすむようにお漬物などのリクエストを聞いて別れました。

次の面会の時に、母から「この間、肌いいねって言ってもらって、あんたは特に意識してないと思うけど、嬉しかったわ。病気の時はなおさら嬉しいね。病人だって普通に生活してるんだから」「病気をして、迷惑をかけてばっかりだから」と言われた。

これは、母の素直な気持ちだろう。

もっと、どういう意味なのか詳しく聞いたら良かった。

母は、病気になって取り残された、自分だけみんなと違うところにいるような気持ちがあったのだろう。
病気で体の元気がなくなるのと一緒に、気持ちも少し弱くなっていたんだと思う。
病気はしているけど、他はいままでと一緒なのにと。

病気になると、孤独に感じたり、我慢することが増える。
入院するというだけで、いつもの日常を過ごせなくなる。
処置や検査で痛いことも、我慢がしなければならない。

病気が治るのか、いままで通りに過ごせるのか、仕事や学校に復帰できるのかなど、これからへの不安もある。

母は、病気があってもいつもの自分でいたいという気持ちがあったのだと思う。
不安や孤独を感じながらも、自分らしくいられるように。







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