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母の想いと看護師娘の経験から伝える♯2治療を決める 意思決定について

2013年4月下旬、母の病状説明を聞くために、夫と一緒に実家に向かう事にした。
偶然、夫も仕事が休みだった。
実家までは、車で2時間半ほどかかる。
私自身の気持ちも、決して元気な状態ではなかったのでありがたかった。

実家に着くと、私や夫に、忙しいのに自分のためにわざわざ来てもらい、申し訳ないと何度も誤っていた。
そして、母はお昼ご飯の準備をしてくれていた。
炊き込みご飯だった。
私や妹が実家に帰る、親戚が来るなど、来客があると必ず食事を準備してまっている。もてなしや気配りの人だった。
昼食をとり、父も一緒に4人で病院へ向かった。

いつもは、うるさいくらいにおしゃべりな母でしたが、やや緊張した様子で口数少なく、静かに待っていました。
私も、医師からの説明を聞くまでは、いろいろ考えてもしょうがないと思い、ただその時を待っていた。

しばらくすると、外来患者さんの診療が終了し、誰もいなくなった診察室に呼ばれました。
MRIの画像を見ながら、腫瘍のサイズや病理結果について説明をうけました。
MRIはエックス線ではなく、磁場と電波を使用した画像検査で、縦・横・斜め方向の断面で身体の内部を画像として見る検査のことです。

診断の結果、子宮頸がんでステージはⅡA期ということでした。
子宮頸がんでは、治療前に病期を決定する進行期分類を用います。Ⅰ期~Ⅳ期に分けられ、早期から進行するにつれて数字が大きくなります。
(がん情報サービス ganjoho.jp より)

治療は薬物療法と放射線治療を中心に治療をするという説明をうけました。
そして、医師はセカンドオピニオンについても話してくれました。

セカンドオピニオンとは、医師の診断や治療法が適切かどうかを判断するために、別の医師の意見を求めることです。
いろんな医師の意見を聴くのも、選択肢の一つだと思います。

医師の説明が分かりやすかったこともあり、母は治療をすれば、腫瘍も小さくなるということに期待し、父も抗がん剤治療を開始するしかないだろうと受け止めができていました。
セカンドオピニオンは、受けませんでした。
私は、二人が出した結果がすべてだと思い、何をどうするのか具体的には決まっていませんでしたが、支えていくしかないと思っていました。
入院のベッドが準備できたらすぐに治療をはじめようということになり、ゴールデンウイーク前に入院することが決まりました。

病院をでたあと、近くで少しお茶でも飲みながら話をしようと日本茶の喫茶店に入りました。
両親と私たち夫婦の四人で、緊張が解けたのもあり、大きな声でたくさん話をしました。
母は、もうやるしかないと、何度も口にしていました。
父はただ、黙って聞いていました。

今、元気なうちに母の気持ちを聞いておこうと、「この先、命に係わる状態になったとき、延命治療はしてもらいたい?」と、確認しました。
こんな時に、ひどいことを聞くと思われるかもしれませんが、命に直結する事態でもあるし、本当に死期が近い時に聞けない場合もあるので、考えは変わってもいいんだから、今の気持ちを知りたいと聞きました。
父も一緒に考えてくれ、両親ともに延命治療については希望しないけど、今できる治療はして、なるべく元気な時間を持ちたいということでした。

意思を伝えること

看護師の立場から。
いまでも、たまに耳にしますが「まな板の鯉だから」とか「先生にすべてお任せします」など、医療については患者さんは知識がないので医師の言うとおりにしますというような雰囲気があります。
患者さん自身の人生です。
病気の治療は、自分が行うことで、自分の体のことです。
とはいえ、治療の方法などは、分からないことも多く、イメージもつきにくいと思います。
・治療によってどんな効果が得られるのか。
・治療をしなければどいう状態になるのか。
・治療を行ったときには、どんなことに注意をしたらいいのか。
・治療に伴う危険性はあるのか。
・仕事を持っている人であれば、仕事を継続できるのか。
・治療期間はどれくらいなのか。
ほかにも立場や年齢などで、治療に伴う疑問や不安など出てくるだろう。
疑問に思ったことは確認し、何度でも聞いた方がいいです。
納得したうえで自分で決めてほしいです。
自分の人生ですから。

医師から説明を聞いているときは、納得している気持ちになったり、質問が思い浮かばないこともあると思います。
そんなときは、看護師でも大丈夫です。
医師からの説明に、必ず看護師がついているとは限らないでしょう。
本当は一緒にお聞きしたいのですが、できないときもあります。
そんなときは、言いにくいかもしれませんが、こんなことが気になった、まだよく分からないなど、そのままを伝えてください。
医師との時間を調整したり、看護師が答えられることを伝えたりします。
また、迷っているときなどは一緒に考えるお手伝いをしたいと思っています。





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