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保育園看護師が思う保育園での『爪切り』について

こんにちは!保育園看護師のチロです。

今回は、保育園での『爪切り』対応について考えていきたいと思います。

保育園で働いていると、「先生!Aちゃんの爪が伸びてて…。切ってもらえますか?」と保育士さんから相談を受けることがよくあります。

爪が長いとなにがリスクなのか、爪切りの相談を受けたときに保育園看護師が考えていること、そもそも保育園で爪を切ってもよいのか、についてまとめてみました。

結論としては、怪我するリスクが高いときは切る、保護者にも定期的に切ってもらう、保育士も切って大丈夫の3点です。
以下の詳細も、ぜひチェックしてみて下さい!

爪が長いと怪我のリスクが増大する

園児の爪が伸びている、あるいはとがっているような場合、保育園では次のようなリスクがあると考えています。

・遊んでいる最中に爪が割れる(出血/感染等のリスク)
・自分自身を傷つける(自傷リスク)
・他のお友達を傷つける(他害リスク)

特に集団生活の場である保育園においては、自分自身が怪我をするだけではなく、故意でなくても他のお友達を傷つけるリスクがあるという点がポイントになります。

爪の伸びた園児がいる場合、怪我のリスクを考慮すると爪の長い園児の動きに注意して保育しなくてはいけなくなります。
通常の状態であっても、現状の法律上の配置基準では確実に保育士は人手不足です。ただでさえ負担度は高い中、爪の長い園児がいると、さらに負担感が増してしまいます。

また、園児は園庭で遊んだり製作をしたりするため、すぐに手が汚れます。そして、汚れを落とすための意識的かつ効果的な手洗いを毎回確実にできるのかと言うと、発達的にも環境的にも正直難しいです。

つまり、園児の爪は汚れている状態である可能性が高いということです。

汚れた爪で皮膚を引っ掻いてしまった場合、傷口からバイ菌が入り化膿するリスクが高まります。
さらに、爪が伸びていると思った以上に傷が深くなる可能性もあり、適切に治療しないと治癒後も傷が残ってしまうかもしれません。

まとめると、園児の爪が長いと、一生残る傷をつくるリスクが上がるということです。
ひっかき傷は、保育園ではあるあるのケガですが、通院率も高いためなにより避けたい怪我のひとつなのです。

看護師が爪を切る判断基準

僕は、上記のリスクと園児のタイプを考慮して、爪を切るか様子を見るかを判断しています。

汚れていたりとがっていたりして、皮膚を傷つけるリスクが高い状態の爪は切ります
また、リスクの高い状態の爪ではなくても、その園児の発達を考慮すべき場合、つまりお友達に手が出やすい状態にある(=怪我をさせてしまうリスクが高い)場合は、双方のために切ってあげることが多いです。

「でも、少なからず爪が長いことはリスクになるんだから毎回切ればいいんじゃない?」
…と、思いませんか?

確かにリスク回避を一番に考えると、爪が長ければ切ればよい話です。
しかし、僕の職場は保育園。子どもたちが集団生活する場であり、児童福祉の現場です。

園の規模にもよりますが、少ない園では20人弱、多いところだと120人以上お預かりします。伸びた爪を全数切っていたら、膨大な人数になるため他の業務に支障をきたすかもしれません。

また、本来ならばご自宅で定期的に爪を切ることを保育園から保護者の方にお願いしています。
しかし、忙しい日々の中では子どもの爪を切るというタスクをついつい忘れがちです。お子さんによっては、嫌がって切らせてくれないというケースもあるかと思います。

保護者支援という視点から、爪が伸びてきたら早めに声をかけたり、正しい爪切りの方法をお伝えしたりしていくことも、保育園の役割なのだと思っています。
なので、皮膚を傷つけるリスクが低い場合には経過を見ることもありますが、リスクが高い状態の爪であれば、軽く整えてあげるケースが多いです。 

何度声をかけても爪切りをお忘れになる家庭には、やはり繰り返しお伝えする必要があります。あまり頻度が多いケースでは、登園時(受け入れする際)にその場で爪を切っていただくこともあります。

まとめると、看護師が爪を切る判断材料としては、爪のリスクと園児の状態、保護者への支援的視点をもつことだと考えています。

保育園での『爪切り』は医療行為に当たらない

そもそも、保育園で『爪切り』をしてもよいのかどうか、心配になって調べたことがあります。特に看護師不在の際に保育士や管理者が爪を切ることが、『医療行為(医行為)』に該当するのかどうかが気になっていました。

結論としては、医療行為には該当しないと思います。
平成17年に発出された「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の 解釈について(通知)」にて、下記のように記載されています。

注1 以下に掲げる行為も、原則として、医師法第17条、歯科医師法第17条及 び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とする必要がないものであると 考えられる。
爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がなく、かつ、糖 尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合に、その爪を爪切りで切る 3 こと及び爪ヤスリでやすりがけすること

医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の 解釈について(通知)

https://www.mhlw.go.jp/stf2/shingi2/2r9852000000g3ig-att/2r9852000000iiut.pdf

原文も貼っておきますので、興味がある方は是非チェックしてみて下さい。主に介護現場を想定しての通知ではありますが、保育園も同じ社会福祉の現場として参考にしています。

まとめ

以上、保育園における『爪切り』についてまとめてみました。

リスクの高い状態にある爪は切るけど、様子を見ても大丈夫な場合は様子を見る。保護者に切ってもらうよう声をかけることも大切だと思っています。

正しい爪の切り方については、後日別の記事で紹介したいと思っているので、ぜひチェックしてみて下さいね。

ご拝読いただきありがとうございました!

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