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大学受験生応援コラム4月・評論(1)

評論文を読むとは、いかなる作業なのか?


’***   はじめに   ***

当コラムに目を留めてくださり、ありがとうございます。

本コラムは、高校生や大学受験生の役に立てればとの思いから書かれています。主に大学入学共通テストの国語を素材として、問題の解き方や勉強法のヒントになりそうなことを書いていきます。

月ごとにテーマを決め、何回かに分けて掲載していきます。今回は「現代文・評論」を取り上げることにしました。

痒いところに手が届くような説明を心がけていきますので、どうしても文章量が多くなりますが、そこはご容赦ください。

’*** 1 今月のテーマ   ***

現代文の学習において、はじめによく言われるのが、

「文→段落→文章全体」

です。

まず一文(句点「。」で区切られる一かたまり。ちなみに「、」は読点。二つ合わせて句読点)の意味を理解し、その積み重ねで段落(いくつかの文を束ねたひとかたまり。ここでは一字下げて始まる形式段落のこと)の内容を理解し、さらにその積み上げで文章全体を理解する…

というような意味合いで用いられる説明です。

上では「→」を用いていますが、実際に文章を読む際には「←」という動きも当然起こります。つまり、3つの間を行ったり来たりします

ある段落の内容が分かって、初めて前に書かれていた文の意味が分かることもあります。

途中まで読み進めて、文章全体の主張の見当がつき、それを基に以降の文や段落の意味合いを考えられることもあります。このように、実際は「文」「段落」「全体」の間を行きつ戻りつします。

今月のコラムでは、この「行きつ戻りつ」を体験していただくことをテーマとします。

’*** 2 まずは一文の構造を取る   ***

文の構造は、基本的に核助詞が握っています。格助詞は助詞の一種で、主に名詞を含む文節の最後に陣取って、その文節を後続の文節に「主語ー述語」または「修飾ー被修飾」の関係でつなげる働きをします。具体的に挙げてみましょう。

主語を作る「

*主語を作る助詞としては「は」が有名ですが、「は」は副助詞に分類され、主語を作る専門職ではありません。例えば、「コーヒーは飲まない。」という文で、「コーヒーは」は主語ではありません。

ちなみに、このセクション2の冒頭の文「文の構造は、基本的に核助詞が握っています。」でも、「構造は」は主語ではありません。確かにこの文節は一文の話題を示してはいます。しかし、主語というのは「述語に対する動作などの主体(だれが、なにが、それをするのか)」です。述語(たいてい文末にくる)「握っています」→何が?→「格助詞が」。従って、この文の主語は「格助詞が」となります。

◆連体修飾語(名詞にかかる修飾語)をつくる「の」

連用修飾語(動詞などにかかる修飾語)をつくる「を・に・へ・と・から・より・で」

上に挙げた中で、今回は特に文の構造をつくる働きの強い「が(は)」「を」「に」に注目します。「を」「に」は英語で言う目的語を作る働きをするものです。

’*** 3 接続表現   ***

長い一文の場合、前半と後半の境目に「から」「(だ)が」などの接続表現が出現することがあります。

文と文の間には、「したがって」「ところが」など、何らかの接続表現が置かれるのが普通です。

文法的に正確に言うならば、最初の例は接続助詞、後の例は接続詞となりますが、今回はその区別には立ち入りません。大事なのは、接続表現の前後がどんな関係でつながれているのか、です。上の例の「したがって」が順接(因果関係)、「ところが」は逆接、などは有名ですが、接続表現の説明は実際に問題にあたりながら、出てきたその都度説明を加えることにします。

加えて、今回は「順序を示す語句」にも注目していただきます。「第一に」「第二に」などが有名ですが、これも文章読解上重要な目印となるものです。

「助詞に注目して、一文の構造を確認する」
「接続表現などに注目して、前後の文の関係をつかむ」

これが今月の目標となります。

今回は、問題にあたる前のガイダンスでした。次回以降、実際に共通テストの問題を用いて実践していきます。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。また次回(12日水曜日を予定)もお付き合いくだされば幸いです。

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