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酒とタバコの真実:健康への影響を科学的にみると#食事編12

今回は「酒とタバコ」という昔から議論になる「THE 健康テーマ」にしてみようと思います。
タバコは皆さんもご存知の通り、不健康の代名詞ですが、電子タバコなども出てきた昨今、改めてタバコについて話してみたいと思います。
またお酒についても「酒は百薬の長」と言われて、少量であれば健康に良いと思われている方もいらっしゃると思いますが、近年の研究から飲酒と健康への関係についても理解が進んできました。
ではそれぞれいってみましょう!


タバコ編

タバコってやっぱり百害あって一利なし?

「タバコは百害あって一利なし」と言われますが、喫煙者の中にはタバコのデメリットはわかっているけど、 「喫煙者同士でのコミュニケーションがコミュニケーションが円滑になる」「気分転換ができる」などメリットを謳う方々もいます。 実際はそれらはメリットになり得ると思いますが、それらメリットに対してデメリットが圧倒的に多すぎるのがタバコです。

タバコのデメリット

  • 大多数のがんリスク増加

  • 脳血管疾患リスク増加

  • ぜんそくリスク増加

  • 歯周病の進行悪化

  • 妊娠に関連した様々な危険因子

  • 生活習慣病の悪化

  • etc… 

改めてタバコのデメリットを見ていくと、
タバコはあらゆる病気の原因になり得ることを「事実」として受け止めることが大事
かなと思います。

電子タバコは健康にとって大丈夫?

最近街でも見かける電子タバコに関してはどうでしょうか。
WHOでも、ニコチンを含有する電子タバコは中毒性が高く、健康に有害としています。長期的な健康への影響は完全には解明されていませんが、有害物質が発生することが確認されており、そのうちのいくつかはガンを引き起こすことが知られていて、心臓や肺の障害のリスクを高めるものもあります。 さらに、脳の発達にも影響を与えたり、妊婦を通じた胎児への悪影響の可能性も指摘されています。
電子タバコもやめるに越したことはないでしょうね。

でもどうやって禁煙したらいいの?

タバコが健康に害というのはわかっているけど、どうやってやめるかが大事ですよね。まずタバコの依存性が違法薬物のヘロインやコカインと同程度だと知ることも大事です。そうなると、もはや禁煙するには習慣化のテクニックなども大事ですが(別記事でも習慣化に関しては記載しています)、もし禁煙がどうしても難しい場合、禁煙外来など外部に頼ることが大事だと思います。自分の意思が弱いから禁煙できないのではなく、「病気の治療」だと捉え、外部の力を使って、禁煙を目指すのが最適なのではないでしょうか。

実際に薬など何も使わずに禁煙をする場合、最初の8日間に脱落する人が最も多く、6~12ヶ月後に禁煙を続けられる人は3~5%という研究もありますので。最近では禁煙外来は、一定の条件を満たせば「保険診療」で治療を受けることができますので、禁煙ができなくてお困りの方は調べてみると良いでしょう。

酒(アルコール)編

お酒に関しては「酒は百薬の長」や「酒は呑んでも飲まれるな」などの言葉を聞いたことも多いと思います。昔から適量のお酒は良いが、飲みすぎてはいけないという意味が広く浸透していたのだと思います。
では実際に最近の研究だとお酒と健康の関係とどのように捉えているのでしょうか。私もお酒を一時ほとんど飲まなかったのですが、ここ1年ほどでそこそこ飲むようになったので、結果気になっています笑

お酒は「飲まない」が一番健康に良い!?

そもそもアルコールは、喫煙や高血圧などといった危険因子と並ぶほど、世界でも死亡と病気に関与している原因と推定されています。
とはいえ、先に書いたように少量のお酒は逆に体に良いのではないかと思われる方もいらっしゃいますが、事実はどうやら違うようです。

健康被害を最小限にするなら、アルコール量0がベスト!

なんだって!?って思いませんか?私は腰が抜けました。
この結論は1990〜2016年の間に行われた大規模のデータと世界中の地域から集めたサンプルを使っていて、心疾患のリスクや、アルコールと癌の発症率や他の死亡率など、データとしてはかなり精度が高いものになっています。

研究では全年齢において、アルコールによるダメージは、主に心疾患か癌として現れることや少量のお酒で心筋梗塞や脳卒中などのリスクの低下も見られたましたが、その他の健康リスクをカバーできるほどの影響はないということでした。

つまり「健康に良い」と思って酒を飲んではいけないということですね。
中々私含めて辛い事実です。。もちろんアルコールを処理する能力には個人差があるので、一概に全ての人にとって少量のお酒が激しく健康被害があるというわけではありませんが。。とはいえ、このことからもお酒が飲めない人や、今飲んでいない人は、無理に飲む必要はないと思われます。

お酒の適量ってどの程度?

今までお酒を飲んできた方がいきなり禁酒することは難しいでしょう。そこで、どこまでのアルコール量が健康を激しく悪化させる境界線なのか興味がありませんか?そんなデータもありますので、一緒に見てみましょう。

1つ目のデータとして、世界19カ国で行われた研究のメタ分析(エビデンスが高い)で、60万人に上る数を基にアルコールと健康に関する関係を調べたものです。

結果として、簡単にまとめると

  • 基本的にアルコール量と死亡率は正の相関関係がある(飲めば飲むほど死亡率が上がる)

  • 1週間にアルコール量100g程度ならば、死亡率はそこまで上がらない

  • 1週間にアルコール300g程度を超えると、早期死亡率が一気に30%ぐらい高くなる

一方で2024年新たに公表された厚生労働省の飲酒ガイドラインによると、

  • 生活習慣病のリスクを高める量として、1日当たりのアルコール量が男性 40g以上、女性 20g以上と設定。

  • 男性だと、1日にアルコール量20g(週に150g)から、脳卒中や大腸がんなどの発症リスクが上昇。また、高血圧や胃がんは0gからリスクが上昇。

  • 女性だと、1日に11g(週に75g)から脳梗塞、14g(週に100g)から乳がんのリスクが上昇。また、脳卒中や高血圧は0gからリスクが上昇。

これらを踏まえると、男性か女性や個人の体質にもよるところですが、
私の結論としては、

  • お酒を飲むのであれば、1日にアルコール量20g、週に100g程度までにするのが健康上望ましい

*アルコール量100gとは

アルコール量100gとはどの程度の量かというと

  • 5%の缶ビール(500ml)で5本分

  • 7%のチューハイ(500ml)で3〜4本分

  • ボトルワイン(750ml)で1.5本分

お酒を普段から飲む人にとっては、週に100gに抑えるというのは大変ですよね。私もほどほどにしようと思いました。。

お酒の種類で健康への影響は変わるか!?

一方で「ワインはポリフェノールが含まれているから健康に良い」だったり、「ビールはプリン体が多いから日本酒などに変えよう」など周りが言っていることを耳にした人もいると思います。
結論から言うと、飲むお酒の種類によって健康への影響が変わるというエビデンスは強くありません。
お酒の種類に気をつけるよりは、アルコールの摂取量(アルコール度数と量)に気をつけるのが良いでしょう。

休肝日は本当に健康に良いのか!?

これも結論から言うと、普段週1日以上お酒を飲む人の場合、休肝日が週1〜2日ある人は、飲酒量に関わらず、がんや脳血管疾患による死亡リスクが低下することを示す研究もあります。とはいえ、飲酒量は少ないに越したことはありませんが。

お酒を何と食べるか

これも結構大事なポイントかと思います。皆さんの中にも、そのお酒に合った好みのおつまみなどがあると思います。一方でワインを好む人は、ビールを好む人よりも野菜や果物を好み、赤身肉や油で揚げた肉の摂取量が低く、より健康的なものを食べる傾向が報告されています。お酒の量だけでなく、何と一緒に食べるかというポイントも大事ですね。健康に気を使うなら、あまり悩まなくて済むように、ビールにはこのつまみ、ワインにはこのつまみなど、先にセットにする健康なつまみを決めておく(if thenルールについては別記事にて紹介しますね)と習慣化しやすく、よりヘルシーなお酒ライフを送れるでしょう。

今回はなかなかショッキングなデータもありましたが、いかがだったでしょうか。楽しいお酒ライフを続けていきたい方も、お酒を飲まない方も役立つ情報だったなら嬉しいです。


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