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傾聴とは言葉を引き出すこと

 ご存知のとおり、他人の相談に乗るときや、他人を励ましたいときに必要になるのが傾聴術です。

傾聴の目的は、文字の意味を越えて、相手の言葉を引き出すこと。

引き出した言葉の意味は、サッチャーの名言にあるように「考えは言葉となり、言葉は行動となり、行動は習慣となり、習慣は人格となり、人格は運命となる」を期待するものです。
 
傾聴術を改めて学ぼうとすると必ずロジャーズの三原則「受容・共感・自己一致」の理解を求められます。
 
三原則を一つの言葉にまとめてみると、肝は「他人を尊重」ことに尽きるといえます。
 
従い傾聴の奥義は、相手を思いやるのではなく、相互に尊重し合いながら、心から認めあって励まし、話の主導権を相手に任せ、言葉を引き出すこととなります。
 
最近、私はLGBTQの方のお話を聴く機会がありました。
 
誤解を恐れずに正直に言うと、私はLGBTQの方に無意識な偏見(アンコンシャスバイアス)が働いているのを、感じていたので、その個人を尊重して言葉を引き出すことに徹しました。
 
結果、私には想像さえできない世界を生きており、間口が広く、話題が豊富で、感覚や解釈が優れて、終始早口、私自身も生き方について驚くほど勉強になりました。
 
傾聴は、互いの人権を尊重して、耳を傾けて聴くことによって相互に人として成長する機会となります。

注意を払う一点は、互い境界域を持っていること、共感を越えた関係を持たないことです。
 
境界域のない悪い例としては、真面目な中高年者が、相談に乗ると思うと、ついつい親切心が優先し、愛想良く、自分の意見や助言をしてしまう。

そこには、既に豊富な経験によってアンコンシャスバイアスが働いており、相手に対する共感は成立できません。

相手は苦痛であり、自分の潜在意識を深く探求して言葉を引き出すことができません。 

少子高齢化社会の年齢格差の拡大は、価値観の多様化によって発生するコミュニケーションギャップを生みます。解消する唯一無二の手段は、傾聴でしょう。
 
老若男女に関わらずインターネットという新しい学びの機会によってハイスピードで教養を身につけている人も多いので情報格差も生まれます。
 
何かの役目を引受けようとするなら、人の話を引き出す傾聴術を身に付けることが時代の要請となったように感じます。このスキルは自転車に乗るのと同じ頭の働きを使うので、ひたすら訓練です。 

他人の相談に乗る各種カウンセラーやコンサルタントを始め介護など相手に寄り添う仕事は、傾聴することが総ての始まりです。

言葉を引き出す聴く奥義は、相手を尊重し、励まし、成行き任せで言葉を積み上げてもらうこと。

本人が出した言葉で、サッチャーの名言のように人が成長することを期待しています。


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