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新卒で就職し、
順調に中年までキャリアを積んでいたのに
自己都合で退職する人がいる。
僅かだが、官庁にも。
 
僕の身近にもいた。
次の仕事を決めていないのに、辞めるとの噂。
すごい危険な選択だと思う。
誰かに相談したのかなぁー
 なぜ、辞めることを選択したのかなぁー

キャリアが勿体ない。
勤務評価も良好で、
後輩からも出世を嘱望されている。
取引先の評判も良好。
会社のゴルフ大会での話題も多かった。

 僕は、確証バイアスを張って、この人と他の中堅幹部を見比べていた。
この人が、役員にすり寄る姿を見たことがない。
服装は、デパートの社員のように決まっている。
役員会へも説明のため時々出席している。
部内での発言力も大きい。


謎が解けてきた。

一つ目は、モーム語録
中年期に見られる「迷い」が原因のようだ。

 モーム(1874年生、フランス)がいうには、中年は年齢を意識しはじめ、「…結婚や死と同じく、人生における避けがたい試練とでもいうようなものである。…気づかぬうちに青春が過ぎ去り、自分は年をとって ゆくのだという意識に常に悩まされる。…中年が何とか耐えられるのは、自分自身を素直に受入れたからだ」行方昭夫著「モーム語録」モーム自身57~62番(岩波現代文庫)
会社は今度、定年延長とセットで、役職定年が58歳に3年繰り下がった。
そのとき、役員になれれば良いけども、その後が長くて転勤、部署異動あり。
役員になるには、実力だけでは成れない。
40歳代になると、定年や寿命までが、見えてきて行き止まりを感じるのだ
子供は、高校、大学で教育費が大変なのに。
両親は70歳を超え健康が心配。

二つ目は、チエホフ(1860年生、ロシア)の名言
少し謎めいているが、「真の幸福は孤独なくしてはありえない。堕天使が神を裏切ったのは、おそらく天使たちの知らない孤独を望んだために違いない」とあった。
この キリスト教の堕天使は、自由になりたくて神の国の掟を破ったアダムとイブに似ている。
中年を堕天使に、神様を会社に置き換えたら、神様の知らない人間の自由が欲しくて孤独を選択したことになる。
チェホフは、自由は孤独と引き換えという。


自由と中年期の生活を引き換えるのは、リスクが高い。
孤独のコストは高い。
価値観は人の固有にして専有。

社会保険労務士パーソナルキャリア相談室
 


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