タクシー時代の怒鳴られ3選
半世紀生きてきましたが、タクシー乗務をしていたときほど人に謝ったことはありません。
特に新人の頃は、まだ道に詳しくなかったし、ビルの名前や有名どころの企業の場所など知らないことはたくさんありました。
そういう時は、
「まだ乗務が浅く勉強不足で大変申し訳ございません。教えて頂けますでしょうか?」
あるいは、
「道に不慣れで申し訳ございません。カーナビをセットしてもよろしいでしょうか?」
と言うように、会社から指導されていました。
それでも怒鳴られまくった経験の中で決して一生忘れないであろう上位3つを厳選してご紹介。
栄えある1位:この世の者とは思えない勢いで罵ってきたオババ
すいません、あえて「オババ」と言わせていただきますが、恐らく40前後。まぁ当時の私よりはオババである(笑)
これから死ぬまでの間、万が一どこかで見かけたら徹底的に罵り返してやりたいくらい、けちょんけちょんに罵られたのは、後にも先にもこのオババ以上の者は居なかった。
ちなみに私は探偵の特性で、一度対面した方は二度と忘れないという特技を持っています。なので満員の都営新宿線の車内だろうが、あのオババを見たら確実に断定できるのです。
まぁそれはいいとして。
そのオババ。あれはちょうど某地下鉄駅が出来たばかりの頃のこと。
夫婦で乗ってきて、「〇〇駅まで」と言われたものの、まだ出来て間もないことと、私の勉強不足だったこともあり、初耳の駅名でした。
「申し訳ありません、〇〇駅?でしょうか?」
と聞き返した途端、オババの猛攻撃が炸裂しました。
「おい!てめぇ!〇〇駅知らねぇのか?クソが!」(原文ママ(笑))
「おい!どこの車だ?!!足立か!!足立ナンバーが港区走ってんじゃねぇよ!クソが!!」(原文ママ(笑))
と、こんな感じでそりゃあもう怒涛の如く罵られまくりました。
カーナビにもまだ登録されておらず、無線室に連絡して聞いてもすぐには分からないくらいの〇〇駅出来立て時期。
暫くして無線が入り、乗車場所から1kmも離れていない場所だと判明しました。
無線で応答している間も、BGMではオババの怒声が。
「このクソ運転手、今すぐクビにしろ!」
「こんなバカに仕事させるな!」
無線室も反応に困りそそくさと場所だけカーナビに送り、ぷちっと切られる始末(笑)
走り出してものの数分で到着しました。
「こちらでよろしいでしょうか?」
と確認すると
「さっさとメーター切れよ!!料金上がるだろーが!!クソが!!使えねぇな!!このクソ!」(原文ママ)
いやいやこの距離でメーター上がるわけがない・・・・。距離も時間もワンメーターから上がりようもない・・・・。
ちなみに、きちんと場所を確認してからメーターを切らないとめんどくさいことになる。
「なんでメーター切ってんだ?ここで降りろってーのか!?」
と言われたりすることもあるのだ。
色々と理不尽でしょ?
「二度とこの辺、流すんじゃねぞ!!クソが!!!!」(原文・・・しつこい?w)
いちおう料金は支払って降りていきました。ワンメだし。
一緒に乗っていた夫はというと終始ニヤニヤして一言も発しませんでした。
このオババは、これ以上ないくらい口の悪いとんでもない人物でしたが、この場合私が〇〇駅を知らなかったという落ち度があったので、仕方がないかもしれません。
しかしモノゴトには限度があります。
今でもあのオババが一生不幸に見舞われることを願ってやみません。
2位:お前の心が許せない!!
とある西東京エリアの駅付近から乗ってきた酔っ払いの兄さんは、マンション名を告げてきました。
普段そのエリアで仕事をしていなかったのですが、たまたま送った先で乗せてしまったので、土地勘もほぼありませんでした。
そりやぁ主要道路や地域のランドマークくらいはわかります。が、さすがにめっちゃ有名な?マンションでなければなかなかマンション名だけ聞いてわかることはありません。
だいたいそのマンション、普通の小さな「第二〇〇マンション」なんていう、よっぽど地元のドライバーでなければわからないような場所だったし。
その時は
「申し訳ございません。ご住所を教えて頂いてカーナビにセットしてもよろしいでしょうか?」
と聞いたのですが、
「お前のぉ!!そのぉ!!プロ意識に欠けた心がぁぁぁ!その心がぁ!気に入らないぃぃ!!!!」
と、想定外の斜め上から攻撃が始まりました。
「プ、プロ意識に欠けた心???はて???」
と、思ったものの行き先が分からないと動きようがありません。
「プロ意識に欠けた心で大変申し訳ありません。ご住所を教えて頂いても・・・」
「本当にぃぃ、分かってんのかぁぁぁ!!」
「はい、分かっています。なのでご住所を教え・・・・」
「何をぉぉ分かったんだぁぁぁ!!」
「はい、私の心がプロ意識に欠けているということを理解しました。まずはご住所・・・」
「そのお前のぉぉ心がぁぁぁ気に入らないぃぃ!!」
このあたりになると、謝るというよりは笑いを堪えるのに必死でした。
「なんなんだ・・・・なぜ、俺の心の問題にのみフォーカスしてくるんだ?(笑)」と。
結局、なんだかんだで住所を聞き出してきっちり送り届けることはできたのですが、後にも先にも私の心問題に問いかけてきた?のはこの兄ちゃんだけでした。
ちなみに兄ちゃんにとって「プロ意識に欠けている」と言うのは、プロの運転手がカーナビを使うな!ということでした。
もしかしたら私が「カーナビにセット」などと言わず、「道順を教えていただけますか?」と聞いていたらこんなに「心の在りかた」を怒られなかったのかもしれません。
でもね。いいわけですけども、酔っぱらいの皆さまが最後まで道案内してくれることはまずないのです。
ひどいときは「まっつぐ。まっつぐ。」(なぜか、まっすぐ、ではない)しか言いません(笑)
それを信じてひたすらまっすぐ走り、目的地とはまったく違う場所まで走ってしまうのは目も当てられないミスになります。当然クレームになりますし。
また、最初は道案内をしてくれたとしても、だいたい信号3つ分も進まないうちに、爆睡してしまいます。
冬ならば暖房の効いた暖かい車内。
夏ならば冷房の効いた快適な車内。
そりゃあ寝ちゃいますよね(笑)飲んでるし、夜中だし。
こういう経験からとにかく住所を聞き出してカーナビにセットしてしまうのが安全策なのです。
なかには引っ越したばかりで、以前住んでた住所を言ってきて元の家に到着してしまったこともありましたが。それはレアケース。
この心問題にこだわった兄ちゃんも家に着いた頃にはイビキをかいて眠っておられました。
3位:俺の会社を知らねぇのか!!
タクシー会社にはお得意様があります。タクシーチケット(今、あるのかなぁ)を契約している会社がそれですね。
おおむね、名だたる企業が多く当然本社や支店などは頭に入れておかないといけません。
ある超有名企業の男性を乗せた時のこと。
「〇〇工場」とだけ告げられたものの、私はまったく聞いたことがありませんでした。
この頃は「新人なので」という言い訳は言わないようにしていました。
あっ、新人だからって理由が通用しないのは重々承知してます。
どんな仕事でも「新人だから」で許されるってことは良くないですよね。それは分かってます。
でも言わせてもらうと、タクシーの場合は新人だろうがベテランだろうが知らない場所には行けんのです。
勉強不足と言われようが、都内のすべてのビルや工場、企業を覚えることは私には到底無理。
この時は
「申し訳ございません、教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
と聞きました。
ところが、その〇〇工場こそ、うちのタクシーチケットを持っている企業の工場だったんですね。
途端にその男性は、
「おい!俺は〇〇の社員だぞ!!お前んところのチケット使ってやってんだ!!お得意様の工場も分からねぇのか!!」
と一瞬でキレて、「会社に電話しろ!!」と電話をさせられ、上司に散々文句を言って・・・降りていきました(笑)
これ、3位にはしましたけど実は私が最も嫌いな人種なので、例えワーストでも1位にしてやるもんかと、あえて3位に持ってきました。
内容もこれしかありませんけど、と・に・か・く、自分の社会的地位が高いのかなんか知らんけど
あからさまにタクシー運転手をバカにしたような態度も、大声を張り上げて威嚇するところも(あっ、えーっとあの口汚いオババは別格扱いとして)何もかもが気に入らない、許せない人種。
お前の会社は有名かもしらんが、お前個人は有名でも偉くもない。
部長だろうが次長だろうが知らん。それはお前の会社の中という狭い世界の、お前の社内だけの役職だろ?
お得意様だろうが知らん。あんたの名前も知らん。そもそも人として要らん。
書いてて思い出して腹立ってきて・・・どうもすいません。
体力(暴力)・社会的地位(そもそもそんなものに価値を見出さない)・大声
で威嚇してくる人種はほんとに許せない。
これに比べたら、心こだわり兄ちゃんなんかかわいいもんですし、改めて文字に起こしてみると、あの兄ちゃんの言いたかったことが時を経てわかったような気もします。
アウトプット、大事っすね。
それでも罵りオババだけはほんと許せん!(笑)
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