見出し画像

【実品レビュー】クリームインデイ <カネボウ白斑事件の影響>



はじめに。

━-━-━-━-━-━-━-━-━
僕がnoteをはじめたきっかけは、
どこに対しても忖度する必要がなく
バイアスのかからない環境で、
好きなことを好きなように
言ってやろーと考えたからだ。
内容が多少辛辣になっても
ただの個人の一意見と思ってほしい。
━-━-━-━-━-━-━-━-━

カネボウ クリームインデイとクリームインナイト。
どちらも実品を購入し、使い切ったのでレビューしてみる。

この両クリーム、
スキンケアクリーム界では長い間上位に君臨している、圧倒的人気商品だ。
僕は美容関連のSNS周回を日課にしているが、
この商品を見ない日はない。

美容感度の高い方たちに散々掘り起こされたこの商品を、なぜ今更レビューするのか?
それは僕がカネボウという企業に対して、
上手いな、やられたなと感じたからだ。
クリームインデイとクリームインナイトは売れるべくして売れた
相当に「やっている」商品である。

SNSマーケティングとは?


そもそも、バズる化粧品というのは、裏で誰かがそのバズるまでの過程、ムーブメントを作り出しているものだと考えてほしい。
僕たち私たちが自然に世の中に生まれたと思っているトレンド、ブームというものには、大抵どこかに仕掛け人がいる。
つまりバズったのではなく、正確にはバズらされたが正しい。

大手化粧品メーカーには、
マーケティングをインハウスで行うチームが必ず存在する。
電通やアサツーなどの代理店に外注することもあるだろう。
彼らがやることはシンプル。
あの手この手で製品をバズらせることだ。

マーケターは充てられた予算を使い、
どの媒体にどれくらいの予算を費やすか決める。
インスタにいくら、YouTubeにいくら、tictok、Lemon8、有名ブロガー、アットコスメ、それこそnoteにだって企業から一定のインセンティブを受け取って記事を書いてる人はいるだろう。

消費者を多くの媒体で囲いこめば囲いこむほど、バズる可能性は高くなる。
どこを向いてもその製品に対する肯定的な意見ばかりになるからだ。

企業から案件を受けたインフルエンサーは、消費者が商品に対して自然に好印象を抱くよう、あれこれと見せ方を考える。
メリットばかり紹介すると嘘くさくなるから、許容範囲内のデメリットをあえて紹介させる手法もあるだろう。
そんな風にして、僕ら消費者の印象は操作されている。

必然、予算を多くかけられる大手メーカーの商品は、バズりやすい。
余談だが、僕の愛する松山油脂などは、マーケに予算をかけてないからバズった試しがない。堅実で質の良い商品を作ってるのに残念だ。

実品使い切りレビュー


さて、前置きが長くなってしまったが、話を戻そう。
カネボウのクリームインデイとクリームインナイトは、そうした綿密な販売戦略によってバズるように計算されて売り出された商品だ。
僕はこのクリームを3カ月間使ってみて、コスデコのアドバンストリペアクリームを使っていた時と同じような感想を抱いた。

手の甲で伸ばして見ると、肌の上でスルスルとよく伸びる。
肌がふっくら柔らかくなり、もちもちとした質感になる。
使用感がとても良いのだ。
保湿効果は長時間持続するし、肌の負担になるような成分もほとんど入っていない。

主成分として配合されているマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルは、とても良い成分だ。
リッチなテクスチャー。肌を柔軟にする作用があり、しっとりと保湿する。
マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルを数パーセント配合しているクリームはよく見かけるが、カネボウほど高配合しているメーカーは他に無いように思える。

以上が、この商品に対するレビューである。

え、じゃあいいじゃん。
そう思うかもしれない。
僕もそう思った。
価格を考えなければ。

クリームインデイ 8800円
ナイトリピッドウェア 11000円

お世辞にも安いとはいえない。はっきり言って高い。
僕はこの価格帯のアイテムには、なんらかの特効がないと買う価値がないと考える。
肌を健やかに保つだけという化粧品の概念を超えた、肌に対して何らかの良いアプローチを行うもの。尖った製品。
それこそがプチプラにはない、デパコスの真骨頂だと思っている。

クリームインデイ、クリームインナイトは良くも悪くもお利口さんクリームだ。
しっかりと薬機法に準拠した化粧品である。
保湿し、肌を健やかに保つことができる。それだけ。
クリームの使用目的としてなんら間違ったことはしていない。
肌内部の水分を逃がさないようにエモリエント成分で保護し、夕方まで潤いが続く。メイクをすればノリも良い。

それが良きクリームの本懐だ。
それでいい。そんなクリームがいい。
そう思う方はたくさんいるだろうし、これからも是非使ってほしい。
ただ、僕には物足りなかった。
値段に見合う尖った効果を期待してしまった。

酷似商品と共存させる意味って?


そもそも、カネボウはどうしてこの商品を販売したのだろう?
カネボウには既存ラインとして、フレッシュデイクリーム、ナイトリピッドウェアというクリームが存在している。
この両クリーム、クリームインデイ・クリームインナイトと成分が酷似しているのは有名な話だろう。

どちらもマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルを主成分としていて、使用感が良く、保湿効果の高いクリームだ。
多少の違いはある。クリームインデイの方がフレッシュデイクリームよりもSPFが5ばかり高くなっていたり、細かなパールが配合されていて、塗布した箇所に自然なツヤを出すようになっている。

とはいえ、違いはそれだけである。
クリームインナイトに至っては香りの違いくらいしか差異を感じられなかった。
2000円近くの価格差が生まれるような違いではない。

そもそも普通のメーカーであれば、自社内の製品がカニバることを避ける。
スキンケアクリームという同じジャンルで、旧製品を販売したまま似たような新製品を投入することはまずない。
やるのであれば、旧製品と比べて明確な差異、特徴を新製品には付与するのが当たり前の話だ。
美白効果をつけて、医薬部外品として販売してみたり。
ペプチドを配合してエイジングケアラインにしてみたり。

カネボウはそれをしていない。ほぼ同じ成分のクリームを、異なる価格帯で共存させている。
僕はここに、カネボウマーケチームの妙を感じるのだ。

「クリームインデイ。これ、とっても良い商品だけど、値段が高くて普段使いするにはちょっと手を出しづらいよね? 大丈夫!フレッシュデイクリームがあるよ。ほとんど同じ成分で、2000円も安いよ! さあ、買って!」

こうなるようなロジックを、クリームインデイ、クリームインナイトのマーケティング戦略として初期から組み込んでいるように見えるのだ。
事実、両クリームの販売を開始してから、フレッシュデイクリームとナイトリピッドウェアの売り上げも伸びている。
カネボウにしてみれば、結果として自社のクリームが売れれば、どちらの商品が売れようが正直どうでもいいのである。
これを戦略と考えるのは邪推だろうか?


カネボウ美白化粧品白斑事件


もう一つ。
カネボウが毒にも薬にもならないお利口さん化粧品を連発するようになったきっかけは、同社が2013年に起こしたカネボウ美白化粧品白斑事件に起因しているように思う。

【カネボウ美白化粧品白斑事件】✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••┈┈┈┈••✼
2013年、カネボウの化粧品に含まれていたロドデノールという成分が、使用者の肌に白斑症状を起こしてしまった事件。
同7月にカネボウは8ブランド54製品100万個という大規模な製品の回収を行っている。
10万人を超える問い合わせがあり、中でも重い症状を訴える人たちは2200人にものぼった。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

この事件以来、カネボウの化粧品からは[絶対にリスクを踏まないぞ]という強い意思が感じられる。
決して無理をしない、リスクを廃した商品で、尖った効能を求める消費者たちの心を射止めるのは、並大抵のことじゃない。
クリームインデイ、クリームインナイトを大ヒットに導いたのは、ひとえにカネボウマーケチームの努力の賜物ではないだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?