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ひとり日光社参!秋の関東平野を駆け抜けろ!!⑦【小原宿本陣編】(完結)

最終日の4日目は、八王子から相模原、そして山中湖を経て帰路についた。



4日目(10月10日)

おはよう秋川

道の駅八王子滝山

最初の目的地は、東京都内唯一の道の駅である八王子滝山だ。
東京と言うと高層ビル群が林立する都心部の印象が強すぎるが、圏央道の周辺地域は山と緑に囲まれた田舎そのものであり、八王子も例外ではない。
そういうわけで意外にも農業などが盛んなようで、この道の駅でも地元の農産物を売っていた。

かく言う私もシャインマスカットが安く売られていたので、この時に買って帰った記憶がある。
相模原産だったような気がするが

それでは八王子は田舎なのかと言われると、実はそうでもない。
東京都内においては東京都区部に次ぐ約57万人という人口を有するベッドタウンであり、地方都市としては大きい部類に入る。
これは愛知県で言えば県下二位の人口約41万人を有する豊田市と似た立ち位置にあり、決して単なる田舎町というわけではないのだ。


八王子千人同心

八王子と言えば、この地の警備や治安維持などを担った八王子千人同心と呼ばれる半士半農の武士が有名なのだが、この八王子千人同心は今回の旅と意外な所で接点があった。
八王子千人同心の役目は八王子付近の治安維持などだけでなく、日光勤番と呼ばれる日光東照宮における警備や消防業務を交代で担うことも含まれていたのだ。
現在も八王子市と日光市も、これらの歴史的経緯もあり姉妹都市提携を結んでいるそうである。

折しも、ちょうど前日に日光社参を済ませてきた私が八王子を訪れるというのは、期せずして縁のある地を巡っていたという事であり、今更ながらそれに気がついた。
この不思議な巡り合せのような事実が、何とも形容し難い愉快な気持ちにさせてくれたわけである。
これもまた、旅の醍醐味の一つなのかもしれない。

駐車場

ちなみにこの道の駅八王子滝山の駐車場は、ご覧の通り利用台数に対して圧倒的に容量不足である
上の画像は駐車場が満車で警備員が誘導しているところなのだが、この時間帯は一般的に道の駅が混み始める朝の9時や10時ではない。
朝の8時である。
営業開始時刻に間に合ってこの有様なのだ

ちなみに、ここより東側の離れた位置に第二駐車場が用意されている。
場合によっては最初から第二駐車場を利用したほうがいいかもしれない。


相模湖

下の方にある緑の湖面も相模湖だ

小原宿本陣へ行くために八王子ICから中央自動車道に入り、相模湖東ICで降りたのだが、小原宿本陣の営業開始時刻よりも早く到着してしまった事から時間つぶしをする必要が生じてしまった。
付近にはこれと言って時間を潰せる商業施設もないため、とりあえず観光スポットである相模湖を見渡せる場所を探して駐車したのが相模ダムの直ぐ側だった。

相模湖を見渡せるなどと言ったが、ご覧の通り全く見渡せていない
それもそのはずで、相模湖のイメージである広い湖面は南西側であるが、ここはその正反対の東の端なのだ。
本当は相模湖を見渡せる位置にある相模湖公園の駐車場に停めたかったのだが、当該公園の駐車場が有料であると判明したので止めたというケチくさい理由である

ちょっとした時間調整をしたいだけなのに、一時間300円もの駐車料金を徴収されることに納得がいかなかった
そういうわけで駐車料金を取られないような駐車場を探していたら、ダムの側まで来てしまったというだけの話だったのだ。

重力式コンクリートダム

小原宿本陣

江戸幕府が定めた日本橋から放射状に伸びる5つの街道を五街道といい、その一つが甲府へと至る甲州道中(甲州街道)だ。
その甲州道中にある宿場町の一つが小原宿おばらじゅくであり、ここには今も本陣と呼ばれる屋敷が現存している。

手前に見える道路が国道20号、現代の甲州街道だ

本陣というのは宿場町における宿泊施設の一つであるが、利用客は主に大名や旗本といった上級武士や幕府の役人などに限定されていた。
要するに、身分の高い者しか宿泊できなかったのだ。
現代風に言えば、さしづめ上級国民専用ホテルといった所だろう

小原宿本陣に駐車場は隣接していないが、少し離れた場所に「小原の郷」という観光案内所のような施設があるので、そこの駐車場を利用することになる。

本陣祭についての資料館のような場所

国道20号を西方向にしばらく歩くと、右手に小原宿本陣が見えてくる。
門前は石造りの斜面になっており、写真では分かりにくいかもしれないが傾斜がややきつい。
これはどうやら国道20号の拡幅にあたり本陣の入口付近が若干削られてしまったことによるものらしく、かつてはもっと緩やかな傾斜であったようだ。

シャイニー!
立派な門

門を抜けて敷地内に入ると存外屋敷の規模は小さく、こじんまりとした印象を受けた。

荷物を運ぶ人足や馬の料金が定められており、これを示した触書のようだ。
江戸時代の旅は基本的に徒歩であるため、荷物を運ぶ人足や馬は欠かせなかった。
有名なものとしては、大井川等の架橋が許されない河川を渡河する際に雇う川越人足が挙げられよう。

駕籠
落ち着く空間

襖に描かれた絵はいずれも凛々しい鳥類(鷹だろうか)だったが、素人目には若干傷んでいるようにも見える。
保管などは如何様にしているのだろうか。

戦前の小学校の教科書くらいなら資料館において有りそうだが、直に触れて閲覧する事が出来るというのは、なかなか無いのではなかろうか。
貴重なものを拝見したと思う。


深刻な老朽化

上の二枚の写真は、この本陣でも恐らく最も傷んでいるヤバい箇所を撮影したものだ。
残念ながら写真では殆ど伝わらないと思うが、この箇所の畳というか床は足をつくと若干凹み、体重をかけると今にも踏み抜いてしまうのではないかと思うほど傷んでいた

後で受付のおじさんと話していて知ったが、どうやらここは本陣内の北側にあって日当たりや風通しが悪いために湿気などが酷く、そのため傷んでいるようだとの事だった。
おじさんも少し遠回りでも板の間を通りたくなると言っており、危険性は理解しているそうなのだが、あまり保全に関する予算がつかないらしい。

この点だけに限らず、この小原宿本陣は至る所でガタがきており、次に大地震などがあったら倒壊してしまうのではないかと言われているそうだ
このような文化財はきちんと保全してほしいものだが、当の相模原市の財政事情が厳しいのだという。

観光客が少なく重要視されていないから予算が乏しいのかと思ったが、そうではないそうだ。
この日は偶然小雨が降っていた影響か、殆ど私しか居なかったため落ち着いて見学することが出来たのだが、普段は大人数の観光客が来るような人気スポットであるという。
見学者が多い時は人数制限をして、あまり多くの人数を一度に入れないようにしている程だそうだ。
その理由は先日まで口やかましく叫ばれていた感染症対策などではなく、老朽化した建物に過大な負荷をかけないためだ
それ程までに老朽化は深刻なようである。



二階部分は機織り工場になっていた
ほれてまうやろー

実は私がちょうど小原宿本陣に目をつけて旅行の予定を立てた直後に、テレビで小原宿本陣が紹介されたのだ。
所さんお届けモノです!」という番組で、芸人のチャン・カワイが小原宿本陣の庭で本陣祭と呼ばれるお祭りの出し物を体験していた。

そのため、テレビ番組がきっかけで訪れるようになった観光客も多かったらしく、案内のおじさんによると私が訪れる前日は大勢の観光客が訪れていたそうだ
私は偶然一日ずれて雨の日に行ったので、思いがけず混雑を避けて見学することが出来たというわけである。
意外な所で私は運がいいのだが、今回は日光社参のご利益があったのかもしれない。

後ろに見える高架橋は中央自動車道のものだ
小原宿本陣前の国道20号を挟んで向かいにあった。
なぜこんな所で冷凍ラーメンを売っているのかはよくわからない。

山中湖温泉紅富士の湯

小原宿本陣を出た私が次に向かったのは、日帰り温泉施設だ。
旅の最後は天然温泉の露天風呂でゆっくりしたいと思い高速道路の沿線で探していたところ、東富士五湖道路の山中湖ICから近いところに温泉施設を見つけた。

元々帰りは東富士五湖道路で新御殿場ICまで行き、そこから新東名を使って帰宅するつもりだったので、休憩がてらちょうどいい距離に位置していた事もポイントだった。

ギャラクシー!

山中湖

小原宿を出る頃には小雨が降っていたが、中央道富士吉田線を走っているあたりで雨が止み、先の温泉を出る頃には晴れ間が見えるほどに天気が回復していた。
曇天や雨天では、この山中湖の美しさも半減してしまったところだろう。


おわりに

三泊四日の行程も、これで締めくくりとなった。
思えば駿府城に御府内(東京都内)、日光東照宮に八王子と、全て徳川家康公に縁がある地に足を運ぶ旅となった。
言うなれば、徳川家康公聖地巡礼ツアーとも言えよう
聖地巡礼といえば、ラブライブスーパースターと鬼平犯科帳という通常は考えられない組み合わせの作品同士の聖地巡礼を併せてこなすに至った。

また、最終日は小原宿に居た時は雨のおかげで混雑を避けられ、山中湖に来る頃には晴れてくれたおかげで景色を楽しむことが出来た。
これは本当に運が良かったと、重ね重ね実感せざるを得ない。

どこの何に対して感謝していいのか分からないが、やはり日光社参のご利益だったのだろうか
当時はそこまで考えなかったが、今はきっと家康公、東照大権現様のおかげだったのではないかと思うことがある。

本当の信仰というのは、このような自然発生的な感情から出でるものなのかもしれない。
また日光社参をし、その際はぜひとも東照宮本殿にも詣でたい。

四日間という行程に比して走行距離は短かった



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