知らなきゃ損!高速道路の「賢い料金」制度を活用しろ!!
サービスエリアにあるガソリンスタンドのガソリン価格は高いというのは世間一般の常識だ。
しかし、だからと言って目的地の途中にあるICで降りて給油していては時間の無駄になってしまう。
また、目的地よりも手前で高速道路の乗り降りをしてしまった場合、高速道路の通行料金も高くついてしまうのである。
これには2つの理由が存在する。
その一つはターミナルチャージの存在だ。
ターミナルチャージとは、高速自動車国道において走行距離に比例しない固定料金として徴収される通行料金のことをいい、一律150円として設定されている。
わかりやすく言えば、公共交通機関における初乗り運賃に相当するものであり、目的地へ辿り着く前に一般道へ退出して乗り直しをしてしまった場合、一回あたり150円分余計な通行料金を支払う羽目になるというわけである。
さて、ここでSAのガソリンスタンドと一般道のガソリンスタンドとの間におけるリッター単価の差額を10円だと仮定すると、20L給油した場合の差額は200円となる。
要するに一般道のガソリンスタンドで給油したほうが200円安くなるのだが、ここで乗り直した際に支払うターミナルチャージの150円を差し引くと、その差額は僅か50円だ。
SAを利用するよりも時間がかかることを踏まえると、到底割に合わない行為であると言っていいだろう。
もう一つの理由とは、高速道路の割引の一つである長距離逓減という制度の存在だ。
これは要するに長距離を走行した分だけ通行料金が割引されるというもので、走行距離が100キロから200キロの間は通行料金が25%割引され、200キロ以上だと30%割引される。(令和5年11月現在の制度。令和6年度中に制度が改正される予定だという。)
つまり、高速道路で100キロ以上の距離を走行する場合、一旦ICから退出して乗り直しをすると走行距離がリセットされてしまい、長距離逓減による割引を受けることが出来ずに損をしてしまうのだ。
100キロ未満ならば長距離逓減を考慮せず、ターミナルチャージの有無を判断材料にすればよい。
しかし、そもそも100キロ未満の距離ならば到着後に給油すれば済む話であり、基本的には途中で燃料切れを起こしうる距離でしか生じ得ない問題なのである。
そうすると、多少リッター単価が高いことを差し引いてもSAのガソリンスタンドで給油するのが最良の選択肢と言えるのだ。
さて、ここまでが高速道路を利用する際の一般的な給油事情である。
要するに、ターミナルチャージの発生と走行距離のリセットによる割引の適用除外が要因なのだが、これを回避する方法が一つだけ存在する。
それこそが高速道路の「賢い料金」制度である。
社会実験「賢い料金」制度とは
「賢い料金」と呼ばれる社会実験は、高速道路から一般道へ入退出をした際に、一般道へ降りずに高速道路を走行し続けた場合と同じ料金に調整をしてくれるというものだ。
つまり、乗り直し料金であるターミナルチャージは発生せず、一般道への入退出の前後の走行距離が一括して計算されることから、長距離逓減割引の適用を考慮した場合に有利となる。
ただし、この制度を利用するためには条件がある。
その条件とは次のとおりだ。
① 指定されたICから降りた後、指定された道の駅を利用すること
② 2時間以内に高速道路へ再入場しなければならないこと
③ ETC2.0と呼ばれる車載器を搭載していること
このうち、①と②については、特に難しいことはない。
問題は③である。
実はETC車載器にはバージョンがあり、新型である2.0のETC車載器を用いている車両でなければ適用を受けることが出来ないのだ。
平成28年にETC2.0車載器が登場して既に6年余り経過しているが、それでも未だに旧来のETC車載器を搭載している割合のほうが高い。
その場合だと「賢い料金」制度の対象車両とはならないので、①と②の条件を満たしたとしても通常の入退出と同様に扱われてしまうため、注意が必要なのである。
ぶっちゃけどれだけ安くなるの?
御託はいいから、どれだけ安くなるのかが知りたいんだよッ!というせっかちな人は、どうぞここから読んでほしい。
下図はETCマイレージのサイトで確認した私自身の走行記録だ。
備考欄中に「乗継調整」とある利用記録が、「賢い料金」の対象となる走行をしたものである。
今回は「賢い料金」の対象となる道の駅をそれぞれ三箇所利用しているので、それぞれについて見ていこう。
①猪苗代磐梯高原IC(磐越道)から仙台宮城IC(東北道)間 約138キロ
(対象となる道の駅:道の駅猪苗代)
通常料金 3650円
乗継調整 2700円(長距離逓減割引30%適用)
差 額 950円
乗継調整によってターミナルチャージの金額150円のほか、長距離逓減割引の適用により800円安くなっている。
猪苗代磐梯高原ICまでの走行距離が既に200キロを超えていたため、そこから仙台宮城ICまでの区間については30%割引の長距離逓減が適用されるというわけである。
②村田IC(東北道)から会津若松IC(磐越道)間 約137キロ
(対象となる道の駅:道の駅村田)
通常料金 2550円(休日割引適用後)
乗継調整 1910円(休日割引及び長距離逓減割引25%及び30%が適用)
差 額 640円
乗継調整によってターミナルチャージの金額150円のほか、長距離逓減割引の適用により490円安くなっている。
村田ICまでの走行距離が既に100キロを超えており、かつ村田ICから会津若松ICまでの区間は200キロを超える。
そのため、村田ICから会津若松ICまでの区間の通行料金については、連続して200キロまでの区間につき25%、200キロを超えた区間につき30%割引の長距離逓減が適用されるというわけである。
さいごに
「賢い料金」制度の最大のメリットは、気軽に一般道へ退出して安くガソリンを給油する事ができる点だ。
しかし、メリットは給油だけには止まらない。
例えば道の駅とガソリンスタンドへ立ち寄った後、道の駅以外の観光スポットや飲食店、商業施設などへ立ち寄るといった活用方法もある。
いずれにせよ、年間での走行距離や外出頻度が高ければ高いほど、こうした少しの割引額が大きくなっていくものだ。
選択肢はあるに越したことはないし、高速道路のヘビーユーザーほど恩恵を受けられるものだと思っているので、ぜひともこの機会に利用してみて欲しい。