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ヒストリー15 つづき⑤

レオ『僕の目が、赤いからみんな怖がるんだよね?
僕の目が赤いから、お父さんも離れたんだよね?』

お母さんは僕の目をじっと見て
話しを聞いてくれてる。だから、僕は安心して
思ってる事、感じてる事を話せたんだ。

レオ『5歳ぐらいの時に、人が話してるのを
聞いた事があるんだ。
その人達は、僕の事を話してた。
僕の〝赤い眼〟の事を話してた。
死神とか、人を傷つけるとか、
僕の目を見たら、不幸になるとか言ってたんだよ。
他にも色々話してたけど、
難しかったから、よくわからなかった。』

アイリ『・・そんな事があったのね。』

レオ『お父さんも、〝それが〟
怖かったんだと思う。』

涙は出ないんだ。
我慢してるわけじゃないのに。

レオ『お母さん、僕のせいで
悲しい気持ちになってない?
僕のせいで、お父さんと一緒に
いられないんだよ?』

ただ、お母さんにだけは幸せになってほしいから。

レオ『やっぱり僕って・・・』

ランプに照らされた2人の影が
壁に重なり合っている。

レオ『生まれないほうが、よかったのかなぁ?』

沈黙。

何やってるんだよ。
こんな言い方したら、お母さんが
もっと傷つくだけじゃないか。

アイリ『ううん。』

お母さんの手のひらが、また僕の頬を撫でた。

アイリ『レオが生まれてこなかったら
私は、幸せになってないよ。
レオが居てくれるから、毎日が
とっても楽しいの。』

お母さんの目は、真っ直ぐに
僕を見てくれてる。僕の心の中も、見てくれる。

アイリ『この目も、鼻も、口も、耳も
レオの存在全てを、お母さんは愛してる。』

お母さんは、僕のおでこにキスをした。

お母さんから感じられる、暖かくて
優しい空気。

レオ『お母さん。』

アイリ『どうしたの?』

レオ『やっぱり、、僕は僕が好きだよ。』

アイリ『そう。』

レオ『だって、僕は空にいる時、僕が僕の形を
選んでお母さんに逢いに来たんだよ。
自分の事が嫌いだったら、誰も幸せに
できないと思うんだ。』

アイリ『うん。もっと話しを聞かせて。』

レオ『目の色とかで、みんなに嫌われても
みんなが離れていっても、
僕は僕を嫌いになれないよ。
今の僕があるから、お母さんの子供になる事が
できたんだ。
ひとつでも何かがなくなっちゃったら、
多分、お母さんの子供になれなかったと思う。』

お母さんの手が、少しだけ震えている。

レオ『だから、僕は僕に感謝しています。
お母さん、僕の話しを聞いてくれて
ありがとう。
僕を、ここまで育ててくれてありがとう。』 

アイリ『レオ・・レオ、、、』

お母さん、すごく泣いてた。
だから僕は、泣くのを我慢して
お母さんを抱きしめたんだ。

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      回想終わり。


・・
あ。
雨が弱くなった。
さっきまで、外の景色が見えなくなるくらいに
降ってたのに。
10歳の誕生日は、僕が大人になった日。

だから、こんなに思い出すのかな?
お母さんに、ずっと言えなかった
本音を話せたから、思い出すのかな?
でも、やっぱり、お母さんを悲しませたくない
気持ちは変わらないよ。

つづく。

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