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ヒストリー5 〜ノンが帰ってきた!羊の肉の奪い合い〜

ネグロ山


《ノン視点》


日が暮れて、夜になり険しい山道を歩く、ひとりの少年。軽やかに、山道を歩いて行く。月の光が、少年の背中を、ほどよく照らす。

少年『ちょっと予定時間過ぎたなー。』

少年は山道を抜けて川のほとりに着くと顔を洗い喉の渇きを潤した。

少年『あー、スッキリした。』

鞄からタオルを取り出して顔を拭く。

少年『ん?くん、くん』

少年が周りの匂いを嗅いでいる。

少年『なんか、すげーいい匂いがするな。くん、くん、・・家のほうからだ。』

少年『間違いねー!焼いた肉の匂いだ!フィーアが作ってくれたのか!』

【ダッダッダッ】

走って家族亭に向かう少年。

少年『でも、この肉の匂いは、牛でも、猪でも兎〔うさぎ〕でもないよな・・、まぁ、美味けりゃなんでもいいか!』

家族亭の前に着いた。扉越しに、部屋の中からは賑やかな話し声が聞こえる。

少年(ジンオウも帰ってんのか。)

ドアを開ける。

【ガチャッ ギー】

フィーア『あ!ノン!おかえりなさい。』

ディエス『やっと帰ってきたなー。』

ライブ『おかー。』

レベン『おかえりっス。』

セイス『おせーぞ。』

アハト『・・・』

アハトは羊の肉に夢中だ・・。

先生『待ってたぜー、ノン。』

ノン『・・ただいま。ってか、時間通りに帰ってこれなかったから、先に飯食べてるのは、いいとして・・』

先生『なんだ?どした?』

ノン『何の肉食べてんの?鹿でも、猪でも、兎〔うさぎ〕でも、牛でもないよな。』

先生『ふっ、その質問を待ってたぜ。フィーア、言ってやれ。』

フィーア『アイロール産の羊の肉だよ。先生が塩漬けにして、持ってきてくれたの。』

ノン『羊の肉!?しかもアイロール地方の!?』

先生『うんうん、驚け、驚け。』

先生が笑いながら、頷いた。

ノン『マジかよ!俺のは!?もちろんあるな!?』

先生『わりぃ、全部食ったわ。』

鼻をほじりながら言う先生。

ノン『はぁ!?あり得ねえ!マジあり得ねえ!ジンオウ!マジあり得ねえわ!』

ジンオウ『名前で呼ぶなっつーの。一応俺は、先生してんだぜ。』

ノン『俺に匂いだけで我慢しろっての!?先生のやる事じゃないね!』

そんな、やりとりがある中、アハトがノンには目もくれず、肉を頬張っている。

ノン『ほら、アハト!吐き出せ!どうせお前が俺の分を食ったんだろ!』

アハト『ふがーふがー。』

ディエス『あははっ』

フィーア『先生!そんな意地悪しないでよね!お肉はちゃんと、ノンの分もあるよ。』

【ピタッ】

ノン『マジで!?』

アハトの口をこじ開けようとしていたノンの動きが止まった。

ジンオウ『あるに決まってんだろう。しかも、任務達成までしてんのによ。まぁ椅子に座って待ってろ。』

ノン『う、うん。』

ノンがセイスの横に座った。

ジンオウは、キッチンでノンの肉を再度焼き始める。

ノン『フィーアじゃなくてジンオウが作ってたんだ。』

フィーア『そだよ。先生の肉料理は美味しいから。滅多に食べられないけど笑』

ノン『楽しみだな。』

セイス『ってか、食べ物で、あんまり騒ぐなよなーガキじゃないんだから。』

ノン『うるせー、俺はガキだよ。』

笑うセイス。

ライブ『zzz・・』

ライブは、テーブルに顔を埋めて寝ている。

セイス『食ったら、とりあえず寝るなこいつは。』

レベン『寝るのが、仕事みたいなもんっスね笑』

ジンオウ『出来たぞノン!皿貸せ。』

ジンオウがノンの席まで来て皿に羊の肉を乗せた。

ノン『おぉーすげぇ。』

感動するノン。

ジンオウ『しっかり味わって食べろよノン。なかなか手に入らない物だからな。』

ノンは頷き、そして目を閉じて感謝と願いを込めて神に祈った。

ノン『いただきます』

・・
・・・
ノン『はぁー食ったー!』

ノンがお腹を触りながら、叫んだ。

ジンオウ『どうだ美味かっただろ?』

ノン『美味すぎ!羊の肉って、こんな美味かったんだな!』

ジンオウ『はっはっは!そうだろ、そうだろ、俺が調理した肉料理は世界一だぜ!』

みんなが笑う。

ジンオウ『よし!腹一杯になった後は会議だぞ!みんなで片付けして、終わったらテーブルに集合だ!』

フィーア『はーい。』

ライブ『眠い・・』

アハト『はい!』

レベン『片付け、面倒臭いっスねぇ。』

頷くノン。

セイス『わかりました』

・・
・・・
つづく。

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