ヒストリー7 〜3つの情報!ジンオウの思い〜

ネグロ山 長老の木

《ジンオウ視点》

長老の木の麓。
ひとりの男が、木にもたれて
腕を組み、目を閉じている。

長老の木の上から話し声が聞こえる。

ディエス『そして、先生に恩返しをする。
俺たちを育ててくれた先生に
最高の贈り物をするんだ!』

ノン『すげー、いいじゃんそれ!
俺たち、みんなで
ジンオウを驚ろかしてやろーぜ!』

ひとりの男とは、ジンオウだ。

ジンオウもディエスが、心配になり
探しに行っていた。

長老の木に、ふたりがいる事は知っていたが
話し声が聞こえたので
あえて、ふたりには声をかけずに
麓〔ふもと〕で待っていたのだ。

2人の話し声は、静寂の夜に漏れている。

ノン『ってか、ディエス。』

ディエス『なんだよ?』

ノン『俺より、強くなるは言い過ぎだな。』

ディエス『今はだろ?
近いうちにノンを超えてやる!』

ノン『おう。できるもんならやってみろ。』

ジンオウ『ふぅ。』

ジンオウは空に向けて、息を吐き
白い雲を創った。

ノン『そろそろ帰ろうぜ。
寒いし、みんな待ってるぞ。』

ディエス『みんな、心配してるかなー?』

ノン『あたりまえだろ!ほら行くぞ。』

2人が長老の木から降りてきた。

ジンオウは気づかれないように
木の裏に隠れた。

2人が家族亭の方向へ駆け去って行く。

ジンオウ『・・・ふー。』

また白い雲を創ってみる。

人の気配。

?『泣いているのですか?ジンオウ様。』

そこには、30代半ばの長身の男が立っていた。

ジンオウ『キューズか、泣いてねーよ。
ちょっと汗が目にはいっただけだ。』

キューズは、ジンオウが雇っている
スパイだ。
部下は、30人ほどで、チームを作って
活動をしている。

キューズ『汗をかくほど、暑くは
ありません。むしろ、寒いくらいです。』

ジンオウ『いきなり現れて、いやらしぃ奴だなー
お前は。ちょっとは空気を読め。』

ジンオウは頭を掻きながら言う。

ジンオウ『で、お前が現れたって事は
なにか情報に進展があったんだな?』

キューズ『はい。』

ジンオウ『場所を変えるか。
ここにいたら、心配してガキ共が
来るかもしれねぇ。』

ジンオウとキューズは、長老の木から
離れ、川の上流に向かった。
そこには滝があり、滝の裏は洞窟となっている。
その洞窟の中で、キューズや、その他の者と
よく、話し合いをする。
滝の音で、外に声が漏れないのだ。

ジンオウ『やっぱ、濡れずに入るのは
至難の技だな。』

洞窟に入った後、ジンオウが言う。

ジンオウ『まぁ、座れよキューズ。』

キューズ『失礼します。』

ジンオウは椅子に座り、キューズも
用意された椅子に座った。

ジンオウ『話しを聞こう。』

キューズ『3つほど、情報を持ってきました。』

ジンオウ『3つかぁ、
いい情報であってほしいぜ。』

キューズ『あいにく、いい情報では
ありません。少なくとも、ひとつは。』

ジンオウ『聞きたくなくなるような事
先に言うんじゃねーよ。まぁいい。話してくれ。』

キューズ『はい。ではまず、ひとつは
先日、ベルングが、ダウ教の聖地〝デルフィ〟を
強行で弾圧しました。』

ジンオウ『・・とうとう、ベルングは力づくで
ダウを抑え込みやがったか。しかも、聖地かよ。
いつか強行弾圧するのは時間の問題だと
思っていたが、時期が早すぎるな。』

ダウ教。
古代の偉人、ガウス一族が、築いた宗教だ。
ガウス一族は、非常に優秀な一族で、
古代から、世界成長や、法の樹立、
経済から発明、全てに関わってきたとされる。
ガウス一族の子孫は、一族婚を繰り返し
何千年を経て、
今では世界最大の宗教となっているのだ。
ダウ教
アルム教
メシア教
ピラート教
まだ、宗教は色々あるが
この4つが、世界四大宗教となっている。

つづく

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