バーテンダーは「詐欺師」だと感じる3つの理由
(読了時間:約3分)
①美味しいお酒をつくれるのは技術の問題ではないと知っていること
②手慣れた仕草で演出していること
③言葉巧みに何でも語ることができること
①美味しいお酒をつくれるのは技術の問題ではないと知っていること
これ、ぶっちゃけそう思います。
どういうことかというとですね、
僕たちバー業界の人間がつくるジントニックと、居酒屋さんのアルバイトスタッフがつくるジントニックではもちろん味は違います。
でも、これってもともとの作成プロセスの問題だったり、単純に材料のクオリティーの問題がほとんどを占めています。
つまり、「技術技術!」「練習練習!」と言われてはいますが、その練習の成果がそのカクテルに直接反映されている割合なんてたかが知れているってことです。
より具体的に説明します。
ジントニックを例に挙げますと、僕たちバー業界ではジンは某有名銘柄数酒の中からマスターの好みのジンを使用します。
居酒屋さんは1000円以下の安いジン、または炭酸で割ればジントニックの味になる「コンクタイプ」なるものを使用します。
僕たちバー業界では、トニックウォーターも某有名銘柄の中からマスターの好みに合わせた商品を使用します。
居酒屋さんはペットボトルの激安トニック、または濃縮タイプのトニックウォーター(漫画喫茶とかで見かけるボタン一つで出てくるやつ)、または先述しました「コンクタイプ」であればトニックウォーター自体使用せずにつくります。
僕たちバー業界で使用する氷は「カチ割り氷」といって、氷屋さんから毎日納品された透明な氷を使用、または製氷機なる板氷ができる機会から生成された氷を使用しています。
-20度の冷凍庫で氷を「しめて」使用するため溶けにくいです。
※「しめる」とは、表面に霜が付くくらいに冷やすことを言います。
居酒屋さんの氷は自動でできる小さなブロックキューブアイスです。
できた瞬間から氷の表面が溶けていて、尚且つ小さいのですぐに溶けて飲み物が水っぽくなります。
もう少し話はあるのですが随分長くなったので割愛しますが笑、ここまで読んでいただいてわかりますよね?
もともとの土俵が違いすぎるためにクオリティーに差ができているだけなんです。
もし僕がこのような居酒屋さんのドリンク業務に携わったとしても同じ環境、設備、商品であれば間違いなく高クオリティーなジントニックなんてつくることはできません。
つまり、勝負は作り手に委ねられてないってことです。
②手慣れた仕草で演出していること
①で記したことを念頭に置いて読んでくださるとわかりやすいかもしれないですね。
僕たちバーテンダーは毎日の営業の中で数十杯、混雑する日であれば数百杯ものドリンクをつくります。
これだけ連日連夜、数ヶ月数年ドリンクをつくり続けていたらですね、ま、小慣れてくるわけですよ。
毎日チャーハンをつくっていたら中華鍋を上手に使いこなして米粒ひとつこぼさずに振ることができるようになるじゃないですか?
何度も何度も転んで、躓いて、そして最後は補助輪を外した状態の自転車に乗れるようになったじゃないですか?
この状態までなって、尚且つその小慣れたことを仕事として披露している人は「すごい!」ってゲストから賞賛されるわけですよ。
家でプロ並みに中華鍋でチャーハンを振りまくっていても、「すごい!」と言ってくれるのは家族だけですよね?
自転車を上手に乗りこなして「すごい!」って言ってくれるのは両親と兄弟姉妹くらいなものですよね?
つまり、小慣れたことを「プロ」がやるとより「すごい!」ってなるわけです。
それを「プロなんで」とか「たいしたことないですよ」とか言っちゃってるわけですよ?僕たちは笑。
あれだけつくってりゃ器用に使えるようにもなりますよって笑。
頑張りとかの問題じゃなくてできるようなシステムになっているだけです。
③言葉巧みに何でも語ることができること
これは数々のお酒を取り扱ってきたこと+さまざまな方との会話をストックしてきたことによって使えるようになる魔法です。
僕は業界にいること自体は長いですが、お酒自体にここ数年たいして興味がないので新商品の説明を求められたときに正直よくわかっていないことが多いです。
でもですね、僕はそのよくわからない商品の説明を求められたときに上手に答えることができます。
なぜかというとですね、すべての商品には何かしらの共通した箇所があるからです。
そして、そこから話を広げていくことによってあたかもその商品の説明をしているかのように聞こえるからです。
○○社のオレンジジュースの味を聞かれたとしましょう。
そのオレンジジュースを飲んだことはないですが、つくられた地域が南イタリアだとします。
南イタリアっていうのはよく白ワインを飲んでいるイメージを僕は持っていて、(実際にそのようですが←昔ソムリエ試験を受けた経験がオレンジジュースで活きるとは笑)その地域のオレンジジュースであれば、
「南イタリアは住みやすい気候と白ワインと魚を合わせるような土地柄です。そこでつくられているオレンジジュースですから、あまり甘すぎずにさっぱりとした、少し酸味の効いたテイストになっていると思います」
とか言えちゃうわけですよ。
よくよく読めばよくわからないことを言っていますが笑、プロのバーテンダーが言っていたらなんとなく納得できたりしそうじゃないですか?
わからないことも過去の知識や経験でカバーしています。
※基本的に「詐欺師」要素満載な職業ですが笑、もちろん基本練習もしてきましたし、テイスティングもしてきました。 数ある書籍も読みましたし、若い時は先輩のバーに足を運んで色々教えていただきました。 何もせずにこうなれるわけではないので厳密に「詐欺師」とは言えないのですが、ところどころ垣間見れる「すごい!」の中には「詐欺師」要素が織り込まれて
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