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超短篇小説12 "くれない?"

ある青年はある理由で人生に絶望し、
今日ビルの屋上から飛び降りようとしていた。  


青年は賭けとして友人4人にこのビルの屋上の住所と今日この時間だけをメールで送っていた。  


その時間になっても誰も来ない、、、  

青年は飛び降りようとした、その時、、、  


青年の友人Aが来た。
友人Aは言う
「自殺するならお前のそのブランド物の財布をくれない?」  

青年はガッカリしながら財布を渡した。
そして友人Aは去っていった。  


青年は再度飛び降りようとした、、、  


友人Bが来た。
友人Bは言う。
「自殺するんだったらお前のそのエアジョーダンの靴くれない?」  

青年はガッカリしながら靴を渡した。
そして友人Bは去っていった。  


矢継ぎ早に友人Cが来た。
友人Cは言う。
「なんか欲しい物くれるって聞いてきたけど、その指につけてる指輪くれない?」  

青年は内心キレながら指輪を渡した。  


その後、友人Dが来た。
「そのリュックくれない?」  

友人Dにリュックを投げつけた。  


どんどん腹が立ってきた。  


こっちは死ぬかどうか悩んで死のうとしているというのに、友人達ときたら!!


死ぬ前に一発殴らないと気が済まない!  


そうして、友人4人の家に行ったが、全てもぬけの殻である。  


最後に寄った友人Dの家には書き置きがしてあった。  


「絶対、お前は死ぬなよ」と、  


それ以来、青年は友人達と会うことは無かった。

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