超短篇小説14 "戦争"
ある戦場で敵対する2人の兵士が地雷を踏んでしまい、お互いに動けない状態になっていた。
どちらかを撃ち殺してしまうと地雷が爆発して2人とも死んでしまう状況となっている、
1人の兵士が言う
「もうお互いに動けないのだから、いったん殺し合いは辞めないか?」
すると、もう1人の兵士は
「確かにな、どうせ他の兵士が来るまでゆっくり話でもしようか」
兵士の2人は殺し合う事をやめ、お互いの家族の話、趣味の話をすることにした。
すると2人とも同じバンドの熱狂的ファンだと言うことがわかり意気投合した。
そのまま日が暮れるまで話は続いた。
次の日もそのまた次の日も話は続いた。
そしてしばらくして戦争が終わり、2人は家族をその地に迎え家を建て、地雷から足を離す事なく話し続けて生涯を遂げた。
各々が設置した地雷が偽物だったと言う事実は仕掛けた本人達以外は知る由もないことであったという。
彼らは死ぬまでその国の立派な兵士だったのである。
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