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超短篇小説4 "ダイイングメッセージ"

とある男性の遺体の側には  

ミレドシラファソラドレドレ.......
と続くカタカナが血で書かれていた。  

定期的に文字の周りには丸が書かれている。  

勿論、それが音階の事であるとはすぐに気づいた。
おそらく、これは何かの曲で丸が付いているところの歌詞が犯人を見付けるヒントになるのであろう。  

そして、この譜面の曲はおそらく"the vowel"というバンドの"cause of death"という曲だということまで辿り着いた。  

何故直ぐにここまで辿り着けたかというと、後輩の刑事がいつも鼻唄混じりに歌っている曲だったからである。
音程が刷り込まれるほどによく聞かされていた。  

でなければ、こんなよくわからない誰も知らないようなバンドの曲だと気付くわけない。  

ところが丸が付いているところに当てはまる文字を並べてみると、  

"けおにとであいいんぎうむえつせええざいをちおいてあこえいぞいそあんひえそあゆおうにあろあ"  

と全く文章になら無いのである。  

曲が間違っていたのか?それともそもそも歌詞に当てはめるという推理自体が間違っていたのか?  

確かによく考えてみると、
"the vowel"というバンドの"cause of death"とかいう誰も知らないような曲をダイイングメッセージにするわけがない。  

そもそもバンド名からしてなんなんだ?
日本語訳すると"母音?"
そして曲名は死因??
意味がわからな、、、、!?  

母音と子音??
並べた文字を見てみると、見事に母音と子音になっている!!  

それを当てはめていくと、、、、、!?  

いきなり、背中を刺されたような感覚に陥る。
というよりは実際に背中を刺されている。  

「先輩、、、正解です、、、」  

と笑みを浮かべながら言う後輩。  

ダイイングメッセージの答えは
"このダイイングメッセージを解いた刑事さんへ
さようなら"  

多分このダイイングメッセージを作ったのは後輩刑事なのだろう。  

"めあってあこうそいゆむいぬおわあるういけおうひあいをむおつてあ"
と薄れゆく意識の中思うのであった。

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