アジャイルに否定的な現場を、隣の青い芝作戦で打開する

はじめに

非IT企業(製造業)で働いていると、どうしてもアジャイルに対するネガティブな意見を耳にすることがある。今も組織にアジャイルを広めるにはどうしたらいいんだろうと日々議論をしている。そういった活動を通して色々な意見や理由を聞いてきたが、僕はそれらはある意味でそれらは表層的な問題であって、本当の理由は別のところにあると考えている。短い記事であるが、僕がこの8年間に感じたアジャイルに対する反発と打開策をうまく説明できたと思う。

アジャイルに反対する本質的な背景

さっそく本質は何かというと、ウォーターフォール(Royceの意味する手法ではない)というプロセスに最適化が進んだ組織において、アジャイルを行うことは難しい、つまり今ある組織が最大のネックである、ということである。もしアジャイルへ移行したいのであれば、なによりまず必要なのは、アジャイルというプロセスを実施できる組織にリファクタリングすることである。

たとえば今、もしある企業がウォーターフォールを選択しているのだとすれば、要求分析、設計、開発、テスト、運用のように縦割りの構造になっていると推測できる。それはそのプロセスを実行するために組織化しているからである(コンウェイの法則なり逆法則がある意味近しい感じ)。

じゃあそこにアジャイルのプロセスを持ち込もうとしたら何が起きるかというと、賛成してやり方を改善したい人もいるだろうけど、組織を束ねている人を含め多くの反対を集めてしまうことになる。そこで出てくるのが表層的な意見だったりする。

うちではそこまでアジリティーを求められていないだとか、大規模な開発には向いていないとか、品質は担保できるのかとか、そういった類の話である。より良い開発をするために話をしたいのに、どれもどこかアジャイルを断るための理由を探しているのだ。

組織をリファクタするということ

建設的な話をするには組織をアジャイルに合わせてリファクタすることである。でもそれは組織が大きければ大きいほど難しい。巨大な泥団子をつくってしまった後にリファクタリングをすることが難しい以上に、人が関わる問題はさらに困難な状況を引き起こす。

じゃあどうするの?という問いに対して、僕が推進しているのは、アジャイルプロセスによる小さな孤立したチームを作り、それを次第に大きくしていくことだ。十分な大きさになった段階で、主要な既存プロダクトもそこに吸収していけばいい。手術というか臓器移植のイメージが近いと思う。肝臓を丸ごと入れ替えるなら、新しい十分に機能する肝臓を作って古いものと切り換えればいい。リファクタリングの考え方とも似ている。

細胞をつくるにしても何にしても、やっぱり核となる部分が必要になる。それもないのにアジャイルを推進しようというのは対立構造しか発生しない。だから核をもとにアジャイルでうまくいっている状態をつくって、そこに合流したくさせてしまえばいいのだ。そうしてしまえば何も勧誘しなくてもいい、勝手に仲間が集まってくるだろう。きっとその方が楽しい。アマテラスの逸話に近い、なんて日本的だろう。

隣の青い芝作戦

よくわからないけど先進的な企業がアジャイルでうまくいっている、というのは距離が遠すぎて嫉妬心もわかない。実感がないからだ。例えばテスラが一日に数回リリースしている(もっとかも)なんて聞いても、そりゃすごいな、まぁうちには真似できないだろうけどね!といった次第だ。ただもし、隣のチームやグループがアジャイルでうまく開発していたらどうだろう。楽しそうに仕事していたらどうだろう。製造業なのにWEB系にならんでFindy Team+ Awardで4Keyが評価されて表彰されていたらどうだろう(自慢)。

僕はこれを隣の青い芝作戦と名付けようと思う。
アジャイルをしようではなく、アジャイル良いでしょと感じてもらうことだ。人間の自然な性質、モチベーションを利用すればいい。そうすれば自然と勝ちへの流れができる。だから僕らは楽しく仕事をして、なおかつ成果も誰よりも出さなければならないのだ。

さいごに

やっぱりアジャイル開発をしてこなかった企業でアジャイルを導入するのはめちゃくちゃ大変である。気づいたらそんな活動をして8年以上経ってしまった。でも今うまくいっていることが多い。チームメンバーにも上司にも恵まれたと思う。僕らが経験したうまくいったことを一つ一つ共有して、みんながうまくいくようになれば良いと思う。

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