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ファンと芸人とハッピーアワー

 実は何かの熱狂的なファンになったことがない。エレカシが好きで10年以上ファンクラブに入っているが、まあ毎年やってる日比谷野音に行くくらいである。上には上がいるから、Mステが季節と季節の間の特集組みにくい時期にやってる季節問わずの重宝企画、「元気が出るソングランキング」第8位に入った「俺たちの明日」のPVがテレビで流れるということもチェックしている強者に尊敬する。
 PVなんてyoutubeで見れるのに、あえてMステでテレビで出ているものに価値を感じるとそういう人は話す。でもその気持ちはちょっぴり少しわかる。自分の意志で動いて見に行ったものでない、世間が選んでくれたものを見る感覚というのは嬉しい。直接おばあちゃんに元気か?って会いに行くのも幸せだが、町医者の前で仲良く仲間と話しているおばあちゃんをたまたま見かけるのも気持ちが幸せになる。みなさんの推しメンをおばあちゃんにして申し訳ない。

 今は「推し」という言葉が流行っていて、推し自体は多分「推しメン」から来ているのだろうが、自分の応援している人という意味から一人歩きして、もはや別の言葉になっている気がする。もうすぐしたら「推し」という言葉は広辞苑の扉を叩くだろうし、実はもうすでに叩いて入っていて掲載前の培養液の中かもしれない。「し」の払いの部分からブクブクと泡が出ている。

 横柄であるが、我々のことを「推し」てくれている方々も、もありがたいことにいらっしゃる。この現象は「ハッピーアワー」よりも「車で迎えにきてくれる」よりも遥かにありがたい。この2つは私の中で限りなくありがたいことだと思っているから、ハッピーアワーと一緒にするなは受け付けない。でも私たちにファンの方がいるのは奇跡に近い話であると思ってしまう。

 これは私が熱狂的に何かを応援する経験がないからだと思う。

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