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仁吾巴 妍 niaha ken
2024年6月8日 10:28
その年の冬は大荒れに荒れた。正月寒波を迎え豪雪下にある白馬山系の、標高一八〇〇メートルの分岐点にある避難小屋に、表層雪崩をかいくぐって辿りついた大勢の登山家が、偶然、閉じ込められることになった。 さきの見えない逗留生活は人を不安にさせる。過度のストレスを心配した医師が、毎晩、ひとりづつ、話をすることを提案した。最初の夜に話しを終えた医師が、次の夜の語り部として、若いカメラマンを指名した