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25. 70歳で新たな一歩を踏み出す母の話

わたしの母が大きな決断をしたので、それを書いておこうと思う。

わたしの実家は小さな飲食店を営んでいて、両親とも70歳を迎えたところ。

父はまだまだ身体が続く限り、いけるところまでお店を続けたい、でも何十年も父と一緒に働きながら家業を支えてきた母は、数年前から「この仕事から足を洗いたい」と言っていた。

「もう十分頑張った、体力も衰えてきたし、もういいでしょ?」と母。

「仕事できるうちが華だよ」と父。

仕事、老後の話になると両親の間にちょっと不穏な空気が流れるけれど、変わらず明日は来て、いつも通り仕事に向かう二人がいて、そんなこんなで数年経っていた。

先日わたしが実家に帰省したときに、

「あと1年で仕事辞めます!そして孫のお世話をしに○○へ引っ越します。」と声高らかに宣言する母。

ちなみに○○は実家から新幹線で4時間ほどかかる。激務の娘(わたしの妹)をサポートするべく、引っ越すと。

「とにかく今の仕事は十分やったと思ってるから辞める!70歳だけど、まだわたしの人生やってみたいことがある。娘家族と同居はしない。姑が一緒に住むなんて娘婿にとってはストレスでしかないし。小さいアパートを借りる。雇ってくれるところがあったらパートもやってみたいな、違う地域で。もちろん、実家にもたまに戻ってくるよ。お父さんは付いてきてもいいし、残って仕事するのも勝手にして。とにかくわたしは来春から引っ越します!」

70歳のフツーofフツーのおばあちゃんである母が、いきなり来年2拠点生活をすることを決めたのである。なおかつ、まだ働こうと思っているようだし、何ならちょっとウキウキしている感じもした。

ちょっとびっくりしたけど、清々しくて、いいなあと思った。

「あやちゃんは反対しないんだね?お父さんはどうするの?とか家は!?離婚!?とか色々聞いてくるのに。」

まあそう聞きたいのはわかる。だけど、例えば熟年離婚的な決断であったとしても、賛成も反対も、母の決めたことである。母の人生は母のもの。どうせなら、どんな決断でも応援したい。

しかも、母がこの結論を出すまでにたぶん10年くらいずっと悩んでいたのを知っている。自分が仕事を辞めたら父にも子どもにも迷惑をかけてしまうとか、夫婦が離れて住むのを周りは受け入れてくれないだろうとか、その年で何言ってんの?って言われるだろうな、とか色々。

だけど、それを何周もぐるぐる悩んだ結果、母は変化を選んだ。やってみるほうを選んだ。

もし母と同世代の女性が母と同じ立場だったら、昔の人だし、嫌だと思いながらも何となく自分をごまかし、我慢して父と一緒に働く・・・っていうことを選ぶ人のほうが多いのでは?と思うんだけど、案外そうでもない?

自分のしたいほうを取りにいく母を誇らしくも思うし、とても嬉しい。

父はちょっとさみしそうで可哀想にも感じるんだけど、父は父の人生。この母の決断によって、ひょっとしたら仕事を辞めて、父も母と一緒に2拠点生活を楽しむことが出来るかもしれないし。

今いる場所に不満がある。何となく自分を鈍感にさせたり、我慢したりすれば今のところに居続けることも出来なくない。でも、それで自分は幸せなのかなあ?って考えること、誰でもあると思う。

だけど、そこで一歩踏み出してみるのか、留まるのか。正解はないし、どっちでも良いとは思うけど、わたしは母の血を引いてるので(笑)一歩踏み出すほうを選ぶな、例え失敗しても、怖くても。

母は来春からスーパーおばあちゃんとして、激務ワーママの娘(わたしの妹)の救世主となり、たまに息子(わたしの弟)の整骨院の受付やったり、孫たちと戯れながら、さらにどこかで今までとは違う環境でパートとかで働こうとしている。

ス、スゲエ…しかない(笑)

『場所を選ばす働き、何歳になってもどこに行っても大丈夫なひと』はわたしの人生の目標でもあるんだけど、すぐそばにいた、ロールモデル!



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